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Writer/Jitian

参院選2022でLGBTQを争点に!

2022年7月10日に参議院選挙が行われるにあたり、6月22日に参院選が公示されました。今回、経済対策や安全保障などに注目が集まっている中で、LGBTQがいまひとつ注目されていないように思います。参院選2022がLGBTQ当事者やアライとして声を上げていくきっかけになるように、今回は政党別に政策を確認します。

参院選2022でLGBTQや多様性が争点になっていない

掲げられる政策はあらゆる人の生活に関わることや、今起きている有事の方が注目される傾向にあります。

盛り上がっていない? 参院選2022

そもそも、参院選の争点以前に、参院選2022自体がそもそも盛り上がっていないように感じます。7月10日と言えばもうすぐですが、近日中に参院選が行われることを果たしてどれだけの人が知っているでしょうか。

投票率の低さがここ十数年の間ずっと叫ばれていますが、この一つの原因に、マスメディアが国政選挙についてあまり報道しないことがあると私は思います。

例えば、国政選挙が行われた当日の午後8時には、地上波テレビ各局がこぞって選挙特番を設け、開票速報を次々と流します。ですが、選挙日当日の午後8時は、投票所はもう閉め切られた後です。そこから国政選挙を盛り上げても、もう投票することはできません。

投票が終わってから国政選挙を盛り上げるのではなく、それ以外の期間にこそ候補者や政党を分かりやすく紹介することが必要なのではないでしょうか。選挙期間の報道制限もあり難しいですが、政治や選挙に注目が集まるようなコンテンツ作りを日ごろから行うことが重要だと思います。

参院選2022で注目されるのは、経済政策、安全保障・・・

今回の参院選で注目されているトピックは、経済政策と安全保障・外交政策でしょう。

経済政策の中でも物価高は、すべての人の生活に根強く関係する問題です。スーパーに食料品を買いに行くたびに、価格が上昇していたり、同じ値段でも量や数が少なくなっていたりしてがっかりしている人も多いはず。物価高を抑えたり、家計を支えたりする政策に自ずと注目度が高まることは間違いありません。

安全保障や外交政策も、今回においては重要視されるでしょう。ウクライナ侵攻が予想より長引いているからです。ロシアが隣国である日本にとって、ウクライナ侵攻は対岸の火事ではありません。

ロシア以外にも、中国や北朝鮮などのいわゆる権威主義的と言われる国々との地理的距離が近しい日本。最近は防衛費増額がニュースになっていますが、防衛費の増額を許容するのか否かも論点の一つです。

また、ウクライナ情勢は物価高にも関係しています。食の安全保障(食料自給率の向上など)も、物価高と安全保障の両方にまたがる問題です。

プライド月間なのにLGBTQが注目されていない?

経済政策、安全保障、どちらもとても重要なことは間違いありません。ですが、LGBTQや多様性に関する問題が、それらの陰によってあまり注目されなくなっているように感じています。

そもそも6月は、世界的なプライド月間(Pride Month)です。世界各地でLGBTQの人権向上のためのイベントが開催されています。

ですが、日本ではこのプライド月間の認知度が低く、イベントも注目されていないように思います。たしかに、日本最大のLGBTQイベントである東京レインボープライドは毎年ゴールデンウィーク頃に開催されます(2022年はゴールデンウィーク前の4月下旬に開催)。

また、東京レインボープライドの開催される前後の期間が「プライドウィーク」と称され、この期間にイベントが集中しています。しかしながら、東京レインボープライドやプライドウィークがプライド月間内に行われないことを差し引いても、参院選2022におけるLGBTQや多様性への注目度が、昨年2021年に行われた衆院選に比べるとかなり低いように思えてなりません。

プライド月間中に参院選2022が公示され、LGBTQへの注目度を保ったまま選挙当日を迎える構図を前々から予想していました。参院選2022ではLGBTQが注目されるものと思っていただけに、この注目度の低さには個人的にかなり焦りを感じているところです。

各政党のLGBTQに関する参院選2022の施策を知る

視覚的に分かりやすく政策やスタンスを紹介してくれるサイトが増えています。

LGBTQでもそれ以外でも、何か興味のあるトピックに絞る

「選挙に行こう」と言われても、何から始めればいいのかよくわからないという人もいるでしょう。そういう方には、まずは一つでも注目するトピックを決めて、自分の考えと近い候補者や政党に投票するのがよいと考えます。

例えば、NHKや各新聞社などのマスメディアが解説している参院選2022特設サイトには、各政党の政策を図や動画を使ってまとめています。

また、各政党の政策をまとめたサイト「JAPAN CHOICE」では、いくつかのトピックに対する考えを選択形式で答えることで、どの政党と自分の考えが近いかチャートで知ることができます。なお、この中にはトピックの一つとして同性婚が取り上げられています。

ここで重要なことは、すべてのトピックにおいて自分の考えとぴったり合致する政党は基本的にないことです。多少妥協しつつも、「ここは譲れない」という考えを重視して投票先を決めることが大事になります。

同性婚に注目するなら「マリフォー国会メーター」

LGBTQに関する施策の中でも、特に注目されていることの一つが同性婚です。この前の大阪地裁の判決も、全国的なニュースとして取り上げられていましたよね(判決は残念でしたが・・・・・・)。

同性婚についても、前に書いた通り各参院選2022用特設サイトでトピックの一つとして取り扱われていますが、同性婚を選挙の争点としてより細かく分析しているのが「マリフォー国会メーター」です。同性婚法制化に向けて活動している団体「Marriage for All Japan(マリフォー)」が運営しているサイトです。

マリフォー国会メーターでは、現状の国会議員や国政政党の同性婚に対するスタンスのほか、参院選候補者についても今後順次情報を更新してきます。同性婚に着目して投票したいという人は、マリフォー国会メーターをぜひチェックしてください。

参院選の投票方法は「選挙区」と「比例代表」

参院選の投票方法は「選挙区」と「比例代表」と2つあります。

選挙区では、お住まいの地域の選挙区で立候補している候補者名を記入します。比例代表では、全国区の候補者名または政党名を記入します。

候補者と、候補者が所属している政党のスタンスは、必ずしも同じではないことがあります。重要視している政策の優先順位も異なる場合があります。候補者と政党の掲げる政策、両方に目を通しておきましょう。

また、先ほど「すべてのトピックにおいて自分の考えとぴったり合致する政党は基本的にない」と書きました。「この問題ではA党を支持したいが、別の問題ではB党を支持したい」という場合には、選挙区と比例代表で投票する政党を分けるという方法もあります。

LGBTQや多様性に関する参院選2022の施策:自民、公明、維新、国民民主の政策

ここからは、各政党のLGBTQや多様性に関する政策を確認します。

与党・自民党と公明党

●自民党
自民党の「政策パンフレット2022」の中では、LGBTQに関する政策を確認できませんでした。自民党は、昨年2021年の衆院選でもLGBTQに関して言及している部分が最も少ない印象でしたが・・・・・・。

なお、今回の記事で取り上げる政党の中で、LGBTQにまったく触れていない政党は、自民党以外にはありませんでした。

●公明党
公明党の参院選2022特設サイトに掲載されているマニフェストの中で、LGBTQに関する政策を確認できました。基本的には「理解増進」のスタンスですが、同性婚についても「国民的議論を深めるとともに、国による具体的な実態調査を進め、必要な法整備に取り組みます」と記されています。

性同一性障害特例法の見直しやホルモン治療の保険適用にも触れており、LGBTQに関係する政策を具体的に検討していると言えるでしょう。

日本維新の会、国民民主党

●日本維新の会
参院選2022特設サイト上の「政策提言」に、「同性婚を認め(る)」とはっきり明記されています。それ以外にも「同性間に限らず使えるパートナーシップ制度」の導入など、多様性を広く認めるスタンスに見受けられます。

●国民民主党
「政策2022」のパンフレットにおいて、「人づくり」の一環として「LGBT差別解消法」の制定に言及しています。ただ、同性婚に対する立ち位置は確認できませんでした。

公明党や日本維新の会に比べるとLGBTQに割いている紙面の割合が少ないこと(昨年の衆院選でも同様)、マリフォー国会メーターによると現職の国会議員では必ずしも同性婚に賛成している議員が多くないことから、LGBTQに関する政策を重要視していないように感じられました。

LGBTQや多様性に関する参院選2022の施策:立憲、日本共産、社民、れいわの政策

そのほかの野党についてもLGBTQに関する政策を確認します。

各野党の政策

●立憲民主党
2022特設サイト内に掲載されている10個の柱のうち9つめ「人権・女性・障がい・多様性」の中で、同性婚や「LGBT差別解消法」に言及しています。

経済政策や安全保障、COVID-19が争点として注目されやすい中で、柱とする政策の中に「多様性」があることは嬉しく思います。

一方、公明党のようにより具体的な政策が記載されているとは言い難いです。昨年の衆院選から書かれている内容が基本的に変わっていないことから、 “とりあえず” 書いておいたようにも感じます。

●日本共産党
「2022年参議院選挙政策」の下部で、同性婚や「LGBT平等法」に触れています。昨年の衆院選ではSOGIハラなどより細かく文章量が割かれていただけに、重要度が相対的に下がったように見えます。

●社民党
最新の基本政策において、同性婚法制化、「LGBT差別禁止法」の制定を記載しています。

●れいわ新選組
「参院選選挙2022緊急政策」内では、LGBTQや多様性に関する政策を確認できませんでした。それ以外の政策として昨年の衆院選のマニフェストが引き続き掲載されていますが、そこでは「LGBTQ+差別解消法」の制定や、同性婚法制化などについて触れています。

なお、れいわからは、新宿区議の経験を持っているトランスジェンダー女性、よだかれんさんが比例代表候補者として名を連ねています。

読んでみると違う、各政党の政策

参院選2022に向けた各政党のLGBTQや多様性に関する政策を見てみても、取り上げ方や踏み込み方がこんなにも違うのだと感じてもらえたのではないでしょうか。

プライド月間終了まで残りわずか、参院選投票日もすぐにやって来ます。投票によって自分たちの声を上げ、LGBTQ当事者の存在を認識してもらうことからまずは始めてみませんか。

 

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