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Writer/Jitian

日本最大級のLGBTQイベント「東京レインボープライド2022」無事開催

日本最大級の規模であるLGBTQのための祭典「東京レインボープライド2022」が、オフライン(オンライン上ではなく、リアル)で2022年4月22日から24日に代々木公園にて開催され、無事に終わりました。今回は、3日目に参加した様子をレポートします。

データで見る東京レインボープライド2022

コロナ禍前最後のオフライン開催となった2019年との違いを比べてみます。

3年振りのオフライン開催となった東京レインボープライド

LGBTQ当事者への支持、連帯を特に示す期間として全世界的に有名なプライド月間(6月)とは別に、日本ではゴールデンウィークがプライドウィークと称され、各地でLGBTQ当事者やアライ向けのイベントが開催されてきました。

そのプライドウィークの前半または後半の週末に代々木公園で行われていたイベントが、日本最大級のLGBTQのための祭典である東京レインボープライドです。

東京レインボープライド主催者の情報によれば、2012年に最初の東京レインボープライドが開催されたときには、参加者はおよそ4,500人でした。私が最初に参加した2016年も、参加者総数は7万人を超えているものの、ささやかなお祭りといった印象でした。

しかし、2010年代後半から起きた多様性やLGBTの「流行り」を受け、毎年その規模は急速に拡大し続けていきました。コロナ禍前最後のオフライン開催となった2019年には、なんと20万人以上が参加。このときも私は参加していましたが、会場を自由に歩けないほどに人がぎゅうぎゅうに集まっていて、熱気が立ち込めていました。私自身も、「この勢いを一過性のものにはさせない!」と思ったことを今でも覚えています。

ですが、2020年が始まって間もなくコロナ禍になってしまい、東京レインボープライドも通常のオフライン開催を見送り、この年は初のオンラインイベントとして開催されました。

例年通りの開催を見込んで準備が進んでいたでしょうし、当時は今よりもまだオンラインイベントの知見も高くなかった頃。LGBTQに注目や関心が高まっている時期に二の足を踏むような状況に直面し、主催者は悔しい思いをしただろうと思います。

2021年4月も、まん延防止措置や緊急事態宣言が発令されていたこともあり、2020年に続き、オンライン開催となりました。正直、2年連続でオンライン開催となるとは私も思っておらず、残念に感じていました。そして今年である2022年、3年ぶりに東京レインボープライドをようやくオフラインで開催できたのです。

まずは、大きな事故や混乱もなく、無事に3日間開催されたこと、関係者の方々に感謝申し上げます。

東京レインボープライド会場への入場方法や人数の違い

コロナ禍での開催となった東京レインボープライド2022は、やはり2019年と全く同じ通りとはいかず、試行錯誤のなかで行われました。

東京レインボープライド2022では、まず開催前に入場申し込みの受付が行われました。平日である1日目の4月22日(金)以外の週末にあたる23日(土)、24日(日)に会場に入りたい人の事前参加申し込み受付が、4月6日~12日に実施されました。

ただ、募集終了後、参加方法が変更になり、この間に申し込まなかった人でも基本的に日時を問わず当日入場できることとなりました。なお、コロナ禍以前はもちろん申し込みなど不要で、当日誰でも自由に出入りできました。

プライドパレードへの参加方法や人数の違い

3日目午後に行われるプライドパレードの参加者も、3月22~4月5日に抽選申し込みがありました。コロナ禍前も事前に申し込みを受け付けていましたが、参加規模などがかなり異なりました。

コロナ禍前は、フロートと呼ばれるパレード参加団体単位で代表者が応募。当日の注意点などの研修を受けて、代表者と一緒に歩きたい人は個別に代表者と連絡を取って当日一緒に参加するという流れでした。それとは別に、当日飛び入り参加も可能でした。

私は2019年に、知り合いの出すフロートでプライドパレードに初参加しました。2019年のプライドパレード参加者は1万人超え。フロートの数、フロート一つ当たりの参加人数も大規模だったので、フロートによって集合時間が区分けされ、どんどん人が押し出されていくようにパレードが続いていきました。

ド派手な衣装を身にまとった煌びやかなドラァグクイーンや、筋肉隆々のゲイ男性たちの集まるフロートを見て圧倒されたことが、まるで昨日のことのようです。それと同時に、LGBTQ当事者やアライってこんなにもいるのだと、改めて思い知らされるとともに、勇気づけられました。

ただ今回は、コロナ禍前とは異なる方法でプライドパレードが実施されました。個人で参加する場合、1人または2人単位での受付となり、参加グループを任意で選ぶことはできませんでした。もちろん飛び入り参加も不可。結果的にプライドパレードに参加したのは約2,000人とのことですが、残念ながら落選して参加できなかった人もいたようです。コロナ禍ゆえ、安全に配慮されたかなり厳重な体制での開催だったと言えるでしょう。

東京レインボープライド会場の様子

2019年に比べれば空いているものの、お祭りの雰囲気はかなり漂っていました。

みんな「お祭り」に行きたい?

私は、最終日である2022年4月24日のお昼頃に東京レインボープライドの会場である代々木公園に入りました。会場内は、2019年に比べれば自由に歩けるほどの空間はあるものの、コロナ禍にしてはかなり混雑した屋外会場で、少なくとも私にとっては、コロナ禍後一番の人込みでした。

先ほど書いたように、整理券などによる入場制限は結局のところ行われず、参加申し込みをしていない人でも入場できたため、混雑していたものと思われます。ちなみに、主催者発表によれば、最終日の参加人数は約33,000人とのことです。

海外ではWithコロナを掲げ、様々な生活制限を解除する方向にある国々も増えています。日本では、コロナ禍前と同じような生活に向かうスピード感は海外に比べれば遅いかもしれませんが、2年以上に及ぶ「自粛疲れ」は誰しも感じているのではないでしょうか。そのため、東京レインボープライドそのものというより、「お祭り」に行きたいから来た、という人ももしかしたら少なくなかったかもしれません。

会場では基本的な感染対策が行われていました。入場口にはたくさんの消毒液が用意されていましたし、参加している人は皆マスクをしていました(虹色のマスクが多かったです)。とはいえ、持病をお持ちの方や、同居の家族に感染したら命の危険があるような方にとっては、やはり不安を覚えるほどの混雑ぶりだったと思います。

ただ個人的には、それなりに安心して会場を回れました。マスクを外して大声で騒いでいる人ばかりだったら早々に退散していたかもしれませんが、そのような羽目を外しすぎている人も見当たらず、皆が節度をもって東京レインボープライドを楽しんでいました。

コロナ禍でもオフラインの東京レインボープライドを楽しみにしていた人たちが、これだけいるのだと再確認できた、よい機会となりました。

東京レインボープライドの場だけでなく、いつでもどこでも主張して、自分らしくいられる社会に

東京レインボープライドには、やはり多くのLGBTQ当事者が参加しています。会場では、自分なりのおしゃれを楽しむトランスジェンダーと思われる方や、手をつないで歩いている同性カップルの姿も多く見受けられました。

このような様子は、東京レインボープライドというLGBTQ当事者の存在が尊重される場だからこそみられる光景だと思います。一方で、東京レインボープライドでしか自分らしくいられない社会とは、やっぱり残念なものだと思います。

周りの目を気にせずに自分らしくいられるような社会に変わっていって欲しいと、改めて強く感じました。そのためには、LGBTQ当事者でもアライでもないマジョリティの人々にLGBTQ当事者の存在や困りごとを知ってもらって、LGBTQ当事者が身近にいることを認識してもらうことも大事ですが、やはり法整備によって意識を変えることも絶対に必要だと思います。

一刻も早くLGBT差別禁止法や同性婚が制定されてほしいものです。そのようなムーブメントを起こすという点において、東京レインボープライドは大きな意味があります。

東京レインボープライド「プライドパレード」の様子

小雨の降るなか、参加者の皆さんがそれぞれ、思い思いのメッセージを発信していました。

プライドパレードには、沿道からの参加もおすすめ

今回、私は沿道からプライドパレードに参加(応援)しました。コロナ禍とは関係なく、2019年に東京レインボープライドのプライドパレードに参加してから、ずっと沿道から参加してみたいと思っており、ようやくその夢が叶いました。

東京レインボープライドのプライドパレードでは、渋谷、原宿の繁華街をゆっくり歩いていきます。2019年にプライドパレードに参加した際、その沿道にいる人たちから旗を振ってもらい、「ハッピープライド!」と声を掛けてもらいました。自らプライドパレードに参加して街を歩くのもいいのですが、過ぎていく様々なプライドパレード参加者に「ハッピープライド!」と声を掛けるのもまたいいのではないか、とそのときに思ったのです。

プライドパレードに参加してみたいけど参加したことがないという方は、まずはプライドパレードそのものに参加してみることをぜひともおすすめします。一方、街中を歩くのはなかなか勇気が要るという人や、一緒に参加する人がいなくて参加しづらいという方は、まずは沿道での応援から始めてみてはいかがでしょうか。

有名人の力は偉大

とはいえ、プライドパレード参加者が約2,000人と限られていることもあり、沿道から応援する人も、2019年のように歩道を埋め尽くすほどにはいませんでした。

しかしながら、やはり渋谷駅・原宿駅前にはコロナ禍前顔負けの無数の通行人がいました。カラフルなプライドパレードが通っていく光景や、レインボーフラッグが振られている姿は、東京レインボープライドのことを知らなかった人たちにも確実にインパクトを残せたことでしょう。

沿道を移動しながら感じたのは、パレードの先頭を行く有名人たちの「力」です。たまたまパレードルートの歩道にいた通行人の若い女性たちが、音楽を流しながらド派手なトラックに乗って沿道に手を振るryuchellさんを見かけ、黄色い声援を上げている光景を目にしました。

きっとこの若者たちは、なぜryuchellさんをはじめとする有名人たちがパレードをしているのだろうと少しでも引っ掛かりを覚えたはずです。こういった経験がLGBTQを身近に感じるきっかけになるのだと思うと、有名人の言動の影響力がいかに大きいかを、改めて思い知らされました。

ちょっと残念に感じたメディア関係者

今回、私は個人のライターとして撮影等を行いました。沿道には大手メディアの記者やカメラマンがプライドパレードを待ち構えていました。

そこで一つ感じたのが、メディア関係者の多くが明らかに「メディア然」としていたところです。プライドパレード参加者はもちろん、ボランティアや沿道から応援する人もレインボーな服を身にまとっていたり、レインボーフラッグを掲げたりしている人が大半。

一方、メディア参加者は普段着だけで、レインボーグッズも持たずに黙々と撮影し続けるばかり・・・・・・。第三者のような、浮いている感じが否めませんでした。

私は個人として沿道からプライドパレードを応援したいという気持ちもあったので、「ハッピープライド!」と声を掛けたり、レインボーフラッグやトランスジェンダーフラッグを振ったりしていたのですが、私の観測範囲ではそのようなメディア関係者は見かけませんでした。「ハッピープライド!」と言ったり、レインボーフラッグを振ったりすれば、プライドパレード参加者の関心を引けて、笑顔が溢れる、よりシンボリックな写真が撮れるだろうに・・・・・・。

もちろん、レインボーグッズを身につけることが「すべて」ではありませんし、参加者は皆そうしなければならないというわけでもありません。しかしながら、ぜひ発信力のある大手メディアの方々には、ただメディアとして取材・撮影しに行くのではなく、LGBTQへの連帯感も示してくれると嬉しいなと、いちLGBTQ当事者として感じました。

改めて、無事に東京レインボープライドが開催できたことを嬉しく思います。各地でLGBTQフレンドリーなイベントが開催されるプライドウィークは5月8日まで続きますし、6月24、25日のプライドトークライブ(オンラインイベント)など、多くのイベントがまだまだ待ち構えています。引き続き盛り上がっていきましょう!

 

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