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Writer/きのコ

ポリアモリーフレンドリーなイベント4選

私はポリアモリーについて10年間、発信を続けている。主な活動内容は、ネット記事やSNSでの発信、そして ポリアモリーに関するイベントの企画運営だ。具体的なイベントとしては「ポリーラウンジ」「ポリアモリー合コン」「ポリびっち」「ポリアモリーウィーク」などの運営に関わっている。今回は、それぞれのポリアモリー関連イベントについて説明していきたいと思う。

「ポリーラウンジ」日本一のポリアモリー交流会

「ポリーラウンジ」とは

ポリアモリーについて語り合う交流会「ポリーラウンジ」は、「セクマイ業界の『まったり脱力系』サークル」ROS(Rockdom of Sexuality)」のシロさん達が2010年12月に立ち上げたイベントだ。
ポリアモリーに興味のある人なら、ポリアモリー当事者でなくても、またジェンダーやセクシュアリティ、年齢やパートナーの有無などに関係なく、誰でも参加することができる。

関東と関西を中心に、全国に十数人の幹事がいて幹事会を作っている。そしてそれぞれの幹事の裁量で、1ヶ月〜数ヶ月に1度くらいの頻度で各地でポリーラウンジを開催している。

ポリーラウンジは10年以上継続的に開催されていて、日本のポリアモリー関連イベントでは最も息の長いものといえるだろう。

ポリーラウンジ参加者から幹事へ

私がポリアモリーについて発信を始める前、最初にしたことが「ポリアモリーの仲間探し」だった。

インターネットでポリアモリーやそれに類すると思われる言葉を検索しまくって、たったひとつ見つけたイベントがポリーラウンジだった。その時のポリーラウンジは大阪開催で、当時私は神奈川在住だったが、矢も盾もたまらず、夜行バスに飛び乗って大阪に向かったことを覚えている。

実際に参加して、生まれて初めて「ポリアモリー」という単語を使って他人と語り合うことができた。 しかもそこでは複数人を同時に愛する自分のあり方について、誰からも否定されることがなく、前向きな議論が展開していた。

その時の「救われた」という気持ち、やっと居場所を見つけたという気持ちを忘れることはできない。

そこから私は、ポリーラウンジには必ず参加するようになった。当時のポリーラウンジは関東と関西に数名ずつ 幹事がいて、各自の都合にあわせてイベントを開催していたのだが、関東にいた 幹事が引っ越して関東での開催ができなく なってしまった。そこで私は、 自分でポリーラウンジを開催したいと名乗り出て、ポリーラウンジの幹事会に入ってイベントを開催するようになった。

今でも、当時の私のようにポリアモリーに関する悩みを相談するなら、ポリーラウンジが適した場だと考えている。また 「パートナーに『ポリアモリーとして生きていきたい』とカミングアウトされたけれど、どうしていいか分からない」という悩みを抱えた人も、ポリーラウンジには多く集まる。

「ポリアモリー合コン」ポリアモリー的な ”出会い”

「ポリアモリー合コン」とは

ポリアモリー合コンは、私と対話力育成コーチの武つぐとしさんが2019年8月から共催で実施しているイベント。

ポリーラウンジは回数を重ね知名度が上がるにつれて、真面目に悩み相談などをする、いわゆる ”硬い” 会になっていった。それに伴って、参加者の一部から「心理的安全性が担保された状況で、ポリアモリー同士で出会える場がほしい」という要望が出てくるようになってきた。

そのニーズに対応するべく、ポリアモリーフレンドリーな人々が安心安全に出会える(必ずしも恋愛の文脈ばかりではなく、友達づくりも含めた幅広い意味での ”出会い” を含む)場として作られたのが、このポリアモリー合コンだ。

合意を大切にした安心安全な出会い

ポリアモリーの人々が安心安全に出会いたいというニーズは強くなってきているが、一方で心理的安全性を担保するのが最も難しいのもこのイベントだと思う。

ポリアモリーのコミュニケーションには「合意」が何より大切なものであるにも関わらず、ポリアモリーの概念をまったく理解していないまま浮気相手を探しに来たりしてしまう人がときたまいる。 場合によっては、そういう人は出入り禁止の措置をとらざるを得ないことがある。

このように最も運営に試行錯誤しているイベントだが、ポリアモリーフレンドリーな恋人や友人を作る上でポリアモリー合コンが最適な場となるよう、これからも模索していきたいと思っている。

「ポリびっち」安心安全に ”性愛” を語る

「ポリびっち」とは

ポリびっちは、私とずんこさんが2020年9月から共催で実施しているイベントだ。これもポリーラウンジからこぼれたニーズを拾うべく派生したイベントと言えよう。

ポリアモリーは恋愛のライフスタイルであるにも関わらず、当事者は「性に奔放」「ふしだら」「ビッチ」「ヤリチン」といった誹りを受けがちである。その反動もあって、ポリーラウンジは次第に真面目で ”クリーンな” イベントとしての立ち位置が強くなってきていた。

そうやってポリーラウンジの知名度が上がり、ポリアモリーに関する日本最大のイベントとして ”オフィシャル化” していく中で 「性にまつわる話がしづらくなった」という声が聞かれるようになった。

性愛やセックスについてざっくばらんに語り合う

ポリーラウンジが硬い イベントになったとはいえ、性的に自由でありたいとか、関係者全員の合意のもとでセックスを楽しみたいと願う当事者はもちろん(私自身を含めて)存在する。そのような「心理的安全性が担保された状況で、性愛やセックスについてざっくばらんに語り合いたい」というニーズに応えて生まれたのが、この「ポリびっち」である。

敢えて「ビッチ」という言葉を冠したイベントにすることで、合意のもとで性的に自由でありたいと願うポリアモリー当事者達の気持ちに 連帯しているつもりだ 。

ゆるく楽しく、でも安心安全に ”性愛” を語るならポリびっちだと思う。セックスからBDSMの話題まで、どんな赤裸々な話題であっても、ここでは否定されたりすることがない。

「ポリアモリーウィーク」オンラインイベント週間

「ポリアモリーウィーク」とは

ポリアモリーに関する日本初の複合イベントとして開催したオンラインイベントが「ポリアモリーウィーク」である。

今まで私が運営に関わってきたイベントはいずれもオフラインが基本のものばかりだったが、ポリアモリーウィークはオンラインを基本としたオフラインも含む複合イベントとして実施 している。

今まで、2021年と2022年の2月にそれぞれ1週間程度の期間を設けてイベントをおこなってきた。2023年は2月7〜13日にポリアモリーウィークを開催する予定だ 。

コロナ禍を機に始めたオンラインイベント

ポリアモリーウィークの構成は、いってみればフェスのようなものだ。1週間程度の期間中、オンラインやオフラインで毎日いくつかのイベントを開催する。その内容は、ポリアモリー研究者を招いてのプレゼンテーション、ポリアモリー当事者たちによる座談会、ポリアモリーにまつわる映画の鑑賞会など多岐に渡る。

ポリアモリーのイベントはこれまでオフラインのものがほとんどだったが、ポリアモリーウィークはコロナ禍を機に新しい形のオンラインイベントとして立ち上げたことで、地方の人達にも参加しやすいものになったと思っている。

ポリアモリーという概念の認知が広がってきて、地方の人達もポリアモリーについて語り合いたいというニーズが生まれたことに対応して立ち上げたイベントだ。

なお、ポリアモリーウィークの内容は講演録としてZineに まとめ、 オンラインで販売している。最も研究発表的な意義の強い、成果を蓄積することを意識したイベントだといえるだろう。

4種類のポリアモリー関連イベント

私が運営に関わっているポリアモリー関連のイベントを紹介した。

今後も、ポリアモリーについての発信を続ける中で、これら以外にもいろいろなポリアモリー関連イベントを企画していければと思っている。

「こんなイベントやりたい!」という人との共催もどんどんやっていきたいので、アイディアのある人はぜひ連絡してもらえれば嬉しい。

 

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