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Writer/Jitian

オンラインのLGBTQイベント参加のすすめ

コロナ禍になってそろそろ一年が経とうとしています。いまだにオフラインでのイベント開催が難しい状況が続いていますが、一方で、オンラインのイベントは定着してきました。今回は、LGBTQのオンラインイベントについて、オンライン・オフラインの実体験も踏まえつつ、書いていきます。

オンラインイベントのメリット

パソコンやインターネットに自信がなかったり、経験がないと敬遠しがちなオンラインイベント。改めて、その長所を見てみましょう。

①どこからでも参加OK

オンラインイベントの一番の利点は、対応するデバイスおよびソフト、そしてインターネット環境さえあれば、どこからでも参加可能なことです。

私がオフラインのイベントに参加していた頃は、東京で開催されるイベントにわざわざ北海道や四国といった遠い場所から、新幹線や飛行機、高速バスでやって来られる方も少なくありませんでした。

地方から参加された方の中には「地元ではLGBTQのイベントが全然ないから、こうして東京まで出て来るしかない」と嘆いている方もいました。また、遠くから参加するには移動や宿泊に丸1日~2日ほど確保する必要があるので、長期休暇中にしか参加できないという人もいました。

参加してみたいという気持ちはあっても、遠くまで足を運べる状況にないからと、今までは諦めていた方もきっといるのではないでしょうか。どこに住んでいるのか関係なく、参加できるようになったのは、本当に良いことだと思います。

②リーズナブルに参加、開催できる

2つ目は、1つ目のどこからでも参加できることにも関係しますが、オフラインイベントに比べてお金があまりかからないということです。

例えば、もし地方から東京などの都市部のイベントに参加しようと思った場合、交通費や宿泊代がかかります。チケットや宿泊場所を手配するのも骨が折れます。しかし、オンラインならばこういった手間は一切ありません。

また、オンラインイベントは、オフラインより参加費そのものも安いことが多いです。

オンラインイベントは、参加者だけでなく、主催者側にもメリットがあります。

オフラインで開催するとなった場合、まず会場を押さえる必要があります。どのくらいの規模で、どのくらいの人を呼びたいのかを考えて適切な場所を選ばなければなりません。土日祝日の場合、施設使用料は平日よりも高くなります。

予定している定員が多い場合には、主催者のほかにも誰かに手伝ってもらう必要があるか、検討が必要です。私自身も、主催者に簡単な受付業務をお願いされたことがあります。主催側として集まってくれた方が、無償で引き受けてくれることもありますが、場合によってはささやかでも謝礼を用意した方がいいかもしれません。

それ以外にも、長時間のイベントならお菓子や軽食、ケータリングを。ゲームをするならゲームに必要なものを、それぞれ用意する必要があります。最後に、イベントが終わったら会場をきれいに清掃して退出します。

③主催者、参加者それぞれにメリット大

オフラインでイベントを開催するとなると、事前準備や当日の運営、後片付けといった作業が膨大になります。

一方、オフラインであれば参加費を徴収する場合はオンライン決済サービスを使用し、ケータリング類は不要。会場はオンライン会議を予約(場合によっては有料サービスに加入)、イベントが終われば「退出」をクリックすれば即時終了です。

オンラインイベントに慣れていない方、パソコンやインターネットが苦手な方のサポートは必要ですが、それを考慮してもオフラインイベントの開催よりかなり楽なのではないでしょうか。

オンラインのLGBTQイベントに参加してみて

実は2020年の夏頃に、数年前から懇意にさせていただいている方からお声がけいただき、LGBTQオンラインイベントのパネラーとして参加しました。

事前準備から盛り上がる

参加したイベントの内容は、数名のパネラーがお題に沿ってトークを繰り広げるというものでした。その一人として参加させていただくこととなりました。

イベントの約1週間前、パネラーや司会者を集めた事前打ち合わせが行われました。もちろん打ち合わせもオンラインです。他の方は、懇意にさせていただいている方以外には、以前別のイベントでお顔を見かけたことのある方もいれば、初めましての方もいました。

最初は自己紹介から始まったこともあり少し堅かった雰囲気も、セクシュアリティや体験談を話すうちにすぐに打ち解けました。話し合いの中ではお互いの「あるある」が止まらなくなり、予定時間よりかなり話し込む結果になりました(笑)。

当日も、打ち合わせのときの空気感をすぐに取り戻し、時間があっという間に過ぎていきました。LGBTQオンラインイベントに実際に参加してみて、オンラインでも十分楽しめるなと強く実感したことを覚えています。

ただ私の場合は、何度もお会いしたことのある方が主催していたから楽しめた、という側面もあります。しばらく会ってないけど、あの人どうしているかな? というときにオンラインイベントを活用するという手もあるかもしれません。

デバイスやツールを熟知しておく必要性

一方、上述のイベントで、まったくトラブルや戸惑った点がなかったかと言えば違います。

例えば、私が自前のパソコンでBluetoothのマイク付きイヤホンを使用しようとしたところ上手くつながらなかったので、有線のイヤホンに切り替えたこと。

画面に表示される名前をどうやって本名からニックネームに変更するか調査したこと。

話が白熱しているときにどうやってタイムキーパーが介入するか考えたこと、等々です。

私は前職で複数のオンライン会議システムを何度も使用したことがあったので、操作には比較的自信があったのですが、自前のパソコンではほとんど経験がなかったため、他の参加者さんにご迷惑をかけてしまいました。

会社のパソコンで使ったことがある
スマホで使ったことがある
数年前に使ったことがある

という場合でも、デバイスが異なったり、最新のものではかなり仕様が変わっている場合があります。また、自分が不具合がなくても、他に参加される方がうまくいかない可能性もあります。

そういった場合に即座に対応できるよう、予定されているオンラインシステムを事前にリサーチしておいたり、ちゃんとテストをしておくことが重要です。

どこに参加したらいい?

私のように以前オフラインイベントに参加したことのある人も、オン・オフ問わずにイベントに参加したことがない人も、どこのオンラインイベントに参加すべきか、迷う場合があると思います。

いくつか参加してみる

LGBTQのオンラインイベントへの参加を迷っている方に一番お伝えしたいことは、オン・オフに関わらず、気軽にいくつかのイベントに参加してみて欲しいということです。

私の場合、最初に参加したイベントで楽しく過ごして、成功体験を得られたからよかったものの、その後いくつか参加してみて不快な思いはしないまでも「ちょっと自分には合わなかったかな・・・・・・」ということは何回もありました。

だから、もし最初に参加してみたイベントが自分にとっていまひとつだったとしても、別のイベントにまた参加してみて欲しいのです。

また、前述の私のオンラインイベント体験談のように、オフラインでお会いしたことのある主催者さんが開催されるオンラインイベントであれば、楽しめる可能性は格段にアップすると思います。

イベント参加前に主催者をチェック

いくつかのイベントに参加してみて個人的に思ったことは、初めて参加するイベントの前には主催者をよくチェックしておくことが大事だということです。

最近は大抵の場合、主催者はSNSをやっていることが多いので、そこでその人の意見や人となりをチェックすることができます。この人面白そうだな、会いたいなと思えたら、参加してみる価値があると思います。

なぜ参加前に調べることが大切かというと、私の経験上、イベントは主催者の雰囲気に左右されることが多いと感じるからです。

例えば、内向的な私が実際に行ってみて「ちょっと違ったな」と思ったのは、外交的でどんどん人を呼び込むようなパーティスタイルや、逆にあまりにも静かで無音の時間が漂う会、自分より若い人ばかりの会などです。

大抵、このようなイベントの主催者さんを改めて確認すると「確かに、私とは遠かったな」と思うことが多かったのです。

もちろん、SNSですべてが分かるわけではありません。しかし、まったく情報がない中で決めるよりは、何かしらの情報を手に入れて吟味する方が、より楽しい時間を過ごせる確率がアップします。

気軽さのメリットとデメリット

オンラインイベントのいいところは、やはり気軽さにあると思います。一方、改めてオフラインのイベントの貴重さも痛感しました。

自分を知らせずに情報だけ仕入れられる

LGBTQに限らず、私はコロナ禍になってから様々なオンラインイベントに参加しています。特に参加者が多い場合は、主催者以外の参加者は、ビデオも音声もオフで参加することが多いです。そうなると、参加者同士は、参加者の名前(ニックネーム)くらいしか分かりません。

LGBTQ当事者として顔や声を出したくない、実家などでは顔や声を出して参加することが難しい人にとっては、顔も声も出さないで参加できるのは救済策となり得ます。また、知らない人と話すのが苦手という人にとっても気楽に参加できるのがオンラインです。

参加者同士の交流から生まれるもの

しかし、参加者同士で直接交流できないのはオンラインイベントの最大のデメリットでもあると私は思っています。

オフラインイベントでは、ある目的で主催者とだけでなく、集まった人たちと交流が生まれることが大いにあります。私も、オフラインイベントで会った人たちが別のイベントを開催するというのでそちらにも参加したり、イベントで会った人たちと個人的に会うことになったりといった発展がありました。

こうした横のつながりの大切さは、コロナ禍になって改めて実感しました。

オンラインではなく実際に会う大事さというのは、LGBTQイベントだけでなく、皆さんもあらゆる場面において再確認されたことと思います。

しかしながら、いつかこの事態が収束したとしても、オフラインだけに戻るのではなく、オフラインでは参加しづらい人のために、オンラインイベントも併存していくといいなと願ってやみません。

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