レズビアンカップルの私たち。最近、ふたりで老後について話していると「同性カップルの私たちって同じお墓に入れるのかな?」という素朴な疑問が浮かびました。“ふたりで眠る場所” を選べるのか、そしてどんな選択肢があるのか。
LGBTのお墓事情。同性カップルは同じお墓に入れる?
私は30代のレズビアンで、付き合って8年の同性パートナーと暮らしています。つい最近、私のまわりで親しい人が亡くなり、自然と「人生の終わり」について考える機会が増えてきました。そこで、同性カップルのお墓事情について調べてみることにしました。
同性カップルが一緒に入れるお墓・霊園は増えている
調べてみると、近年は同性カップルでも一緒にお墓に入れるよう対応しているLGBTフレンドリーなお寺や霊園が増えていることがわかりました。
そもそも民法第897条には、お墓の所有権の承継に関する記述はありますが、納骨にまつわる明確な規則は書かれていません。
つまり、法律的には、婚姻関係のない同性であっても、祭祀主宰者(お墓・遺骨・仏壇などの祭祀財産を承継・管理する人)の同意があれば同じお墓に入ることができるのです。
第八百九十七条
1 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
引用:民法第八百九十七条
ただ、法律上は問題なくとも、慣習や墓地管理規則が壁となる可能性があるようです。
葬儀やお墓の現場では、法律よりも慣習が重視されることが多く、寺院や霊園によっては「原則、一緒に納骨できるのは血縁関係者」と定めているケースがあります。同性カップルの結婚が認められていない日本では、パートナーと一緒に納骨できない場合があるのです。
また、生前に同性のパートナーを祭祀主宰者に指定していない場合、近しい親族が祭祀主宰者になるため「パートナーと一緒にお墓に入りたい」という故人の遺志が尊重されないことも。
そもそも、セクシュアルマイノリティが生前のうちに、親族に自身のセクシュアリティを打ち明けられるとは限りません。亡くなったあとに親族が故人のセクシュアリティやパートナーの存在を知ることだってありえます。
実際、故人の親族から理解や同意を得られず、希望の納骨が叶わなかったという話も聞きます。
こうした事態を防ぐためには、生前に遺言書や死後事務委任契約を作成し、自身の意思を明確に残しておくことが大切だと、調べていくなかで知りました。また、霊園によってルールが違うことも多いので、事前にしっかり確認しようと思います。
お墓・葬送も「多様化」の時代
LGBTフレンドリーなお寺や霊園が増えていることを含め、近年、日本のお墓事情は大きく変化しています。
少子高齢化や単身世帯の増加、後継者不在といった社会背景から「お墓の管理が大変」「継ぐ人がいない」といった悩みを抱える人が増えており、最近は従来の「家墓」に代わる新しい供養の形が広がっています。
たとえば、墓石の代わりに樹木を墓標とする樹木葬。この埋葬スタイルは、遺骨が樹木の栄養となり自然に還るという点で「地球にやさしい供養」として注目を集めています。
基本的に墓石費用がかからず、承継者を必要としないほか、宗旨・宗派を問わずに利用しやすいため、近年人気が高まっているんだとか。
屋内に遺骨を安置する納骨堂も、管理の手間が少なくコストを抑えられることから、都市部を中心に広がっています。
このように供養の選択肢が増えていることを知り、同性カップルの私たちも「どんな形で眠りたいか」をもう一歩踏み込んで考えるようになりました。
同性カップルの私たちが考える、理想の「人生の幕引き」。お墓の選択肢
さまざまな供養のスタイルがあるなかで、同性カップルの私たちはどんな終え方を選ぶのか。パートナーと話し合いをした結果「これが現時点での理想なのでは」という答えにたどり着きました。
交際8年。人生のパートナーとして「最期の迎え方」を話し合った

交際8年を迎えた私たちは、30代にして「最期の迎え方」について話し合うようになりました。きっかけは、私の身近な人の突然の死です。そこに、お互いの親の老いを間近に感じるようになったことも重なり「自分たちはどう生き、どう終えたいのか」を考える機会が増えてきました。
「人はいつ何が起こるかわからない」という思いが強まるとともに、不安も大きくなっていきました。同性同士の結婚が法的に認められていない日本では、パートナーであるにもかかわらず、医療や葬儀の場で意思を尊重してもらえない現状があるからです。
そこで、私たちは今のうちにお互いの希望を話し合うことにしました。老いや死を語るのはまだ早いかもしれませんが、30代の今だからこそ冷静に現実を見つめ「ふたりらしい最期」を考えたいと思ったのです。
同性カップルの私たちが「お墓を残さない」と決めた理由
パートナーと話し合いを進めた結果、お墓を残さないという方向に落ち着きました。
私たちがそう決めたのは「寺院や霊園によっては、同性カップルの埋葬が認められない可能性があるから」ではありません。
理由はもっとシンプルで、お墓を維持する負担をパートナーや親族に託したくないという思いがあるからです。
そもそも私たちはモノに強い執着がないタイプで、形として残すよりも心の中の記憶として存在できれば十分だと感じています。
宗教的なこだわりもなく、ふたりとも無宗教。どちらかといえば仏教的な考え方には親しみがありますが、信仰にもとづいた供養を望んでいるわけではありません。
だからこそ「お墓」という形にとらわれる必要はない、というのが私たち同性カップルがたどり着いた考えです。
「循環葬」で自然に還る。現時点で私たちが検討していること
お墓を持たないと決めたあと、私たちは次に「どんな形で還るか」を考えました。そんななか見つけたのが、at FOREST株式会社が提案する「循環葬 RETURN TO NATURE」です。
循環葬とは、墓標を残さず森の土に還る埋葬方法です。
「循環葬 RETURN TO NATURE」では、土壌学の専門家監修のもと、遺骨を自然循環しやすい形で森林に埋葬します。墓地・埋葬等に関する法律にもとづいて墓地の許可を受けた寺院内の森林で埋葬し、売上の一部を森林保全に寄付します。
樹木葬が、樹木を墓標として「自然とともに眠る」埋葬方法であるのに対し、循環葬は「森の再生に貢献しながら自然に還る」埋葬方法で、遺骨や墓標を残しません。
このように、環境にも人にもやさしいという点で、循環葬は私たちにとって理想的だと考えています。
また「循環葬 RETURN TO NATURE」は法律上の夫婦だけでなく、事実婚のカップルや同性カップル、友人同士でも埋葬できるので、とても心強いと感じています。
同性カップルの私たちが「お墓」について話し合ったときのポイント
「自分、もしくはパートナーがいなくなったあとのこと」は、どんなカップルにとっても気が重い話題ですが、避けては通れないものです。事前にしっかり話し合っておくことで、将来の不安を減らし、未来に向けて前向きな準備を進めることができると考えています。
信仰、生死観・・・死後についての価値観のすり合わせ

お墓や供養の話をするうえで、まず意識したのは「信仰」や「死後の考え方」について、お互いの価値観を押し付けないことでした。
普段、あまり宗教や信仰について話す機会がないからこそ、ナチュラルに、そしてフラットに聞く姿勢を大切にしました。
相手の考えを否定せず「どう感じているか」「どんな終わり方が理想か」を一つひとつ確かめながら進めていく・・・・・・そんな丁寧な対話が、結果的に心の整理にもつながったように思います。
同性カップルも安心。LGBTフレンドリーな霊園・葬儀社を探す
話し合って意向が固まったあとは、LGBTフレンドリーな霊園・葬儀社をインターネットで探しました。「LGBT お墓」「LGBT 葬儀」などのワードで検索をかけると、LGBTカップルや同性カップルの供養を受け入れているお寺や業者が見つかりました。
リサーチの際は、葬儀やサービス自体の情報だけでなく、実際に利用した人の口コミや体験談も参考にしました。スタッフの対応や説明の丁寧さ、実際にどのような形で受け入れられているのかといったリアルな声は、とても参考になります。そうした情報を手がかりに、自分たちにとって安心できる場所を少しずつ絞り込んでいきました。
いま準備できる公的な書類をリストアップ
同性カップルの結婚が法的に認められていない日本では、たとえ長年連れ添ったパートナーであっても、法律上は「他人」とみなされてしまいます。
万が一のとき、葬儀やお墓に関する意思を尊重してもらうためには、公的な書類で備えておく必要があります。
そこで私たちは、現時点で選択肢し、準備できる公的な書類をリストアップすることにしました。
・任意後見契約
・死後事務委任契約
・公正証書遺言
任意後見契約は、認知症や障害などによって委任者本人の判断力が低下したときに、パートナーが代わりに医療や施設入所の手続きや、財産の管理を行えるようにするものです。
加えて、亡くなったあとの葬儀や納骨を任せられる「死後事務委任契約」、財産の引き継ぎ先を明確にする「公正証書遺言」などもあります。
公的な制度にもメリット・デメリットや注意すべき点があるようですが、今から調べたり、書類を整えたりしておくことで、親族とのトラブルなどを防ぎ、パートナーの死後の希望を叶えやすくなりそうです。
まだリストアップしただけですが、少しずつ情報を収集して、私たちなりの「未来への備え」を進めたいと思っています。
LGBT当事者が安心して最期を迎えられるように。同性カップルの私たちが望むのは「結婚」

私たちが「お墓」や「パートナーの死後」について考え始めて痛感したのは、法的に結婚できないという現実の重さでした。
生きているあいだは支え合って暮らせても、いざというときにパートナーとして扱われないことがある・・・・・・それは想像以上に不安です。
制度として結婚が認められれば、特別な備えをすることなく、セクシュアルマイノリティが尊厳を持ちつつ安心して最期を迎えられるはずです。
もちろん、異性カップルであっても、備えるべきことはあるとは思いますが、それでも異性カップルでは不要な「関係を証明するための手続き」や「親族への説明と理解を得る努力」が、私たち同性カップルには常に求められているのは事実です。
愛する人と人生を共にし、最期をどう迎えるかを語り合うことさえ、制度の壁によって複雑になってしまう。その現実を変えるためにも、法的な結婚の平等が必要だと感じています。
愛する人と「最期まで一緒にいる」ことが、特別ではなく当たり前に選べる社会を願っています。
■参考情報
・ライフドット LGBT×お墓|多様なセクシュアリティに対応した霊園やQ&Aを紹介
・千年オリーブの森(京阪奈墓地公園内) よくあるご質問
・循環葬 RETURN TO NATURE 公式サイト

