同性カップルにとってお互いの親への挨拶は一大イベント。いつ、どんな風に伝えるか悩みますよね。私たちレズビアンカップルも、家族に紹介するときにはいろいろと悩んだものです。今回は体験談を交えながら、挨拶のタイミングや家族の反応などをお届けします。
同性カップルが親への紹介を考えるとき
同性カップルがお互いの親に「パートナーを紹介したい」と考えるタイミングは、カップルによって違うでしょう。ここでは、交際期間8年のレズビアンカップルである私たちが、親への紹介を考えたきっかけをお伝えします。
お互いを人生のパートナーとして意識するようになったとき
私たち同性カップルが、お互いを親に紹介しようと考えるようになったのは、交際して半年に差しかかるころでした。そのころにはすでに同棲しており、お互いの存在が日常生活の一部になっていました。
生活リズムも一致していて、家事分担も問題なくできていたので、特にケンカすることなく平穏に日々が過ぎるなか、いつしかお互いを人生のパートナーとして意識するようになったのです。
そこから、「そろそろ親に紹介しようかな」という気持ちが自然と芽生えてきました。
同性カップルで親にカミングアウトを済ませたとき
私たちが同棲を始めたころ、その時点でお互いに自分の親にカミングアウトを済ませていました。つまり、お互いの両親やきょうだいが、私たちに同性のパートナーがいることを知っている状態でした。
カミングアウト後、お互いの家族が私たちの性的指向を受け入れる姿勢を見せたことで、その後はパートナーのことを隠さずに話せるようになったのです。
それから頻繁に「付き合っている人ってどんな人?」といった話題を振られるようになり、「実際に会ってみる?」と提案した・・・・・・というのが親に紹介するまでの流れです。
同性カップルはいつ親に紹介する? 家族の反応は?
私たちが、それぞれの親にお互いを紹介したのは別々の時期でした。それでは、いつお互いを紹介したのか、そのときの家族の反応などをお伝えします。
私の場合:付き合って半年後に母と姉に紹介
私はパートナーと付き合って半年後に、自分の母と姉に彼女を紹介しました。パートナーと「そろそろお互いの親に挨拶したいね」と話すようになってから、すぐのことでした。
当時同居していた母と姉は、私のパートナーに興味津々で、私が実家に帰るたびに「いつでも家に連れてきてね!」と言っていました。そこで、私はまず姉にパートナーを紹介し、その後別の日に、母にパートナーを会わせることに。
ちなみに、現在はまだ父にはパートナーを会わせていません。父は私のセクシュアリティに理解を示していますが、対人コミュニケーションに難があるので「失言があったら・・・・・・」という不安から、まだ紹介できていない状態です。
パートナーの場合:付き合って1年後に父と兄弟に紹介
パートナーは私と付き合って1年後に、私を彼女のお父さんとお兄さん、弟さんに紹介してくれました。
彼女の両親は関東圏から遠く離れた地方に住んでおり、お兄さんも関東圏外に住んでいます。弟さんだけが関東圏で生活している形です。
付き合って1年経ったころ、パートナーのお父さんとお兄さんが仕事で関東圏に来ることになり、そのタイミングで彼女が私を2人に会わせてくれました。その後、弟さんにも紹介してくれました。
同棲カップルが親にお互いを紹介したときのリアルな反応
実家に赴きパートナーを紹介したとき、私の母と姉は特にいつもと変わらぬ様子で「お仕事は忙しいの?」「休みの日はどんなふうに過ごしているの?」など、同性カップルだからといって不自然に気をつかうことなく、フランクにパートナーに話しかけていました。その歓迎ぶりに私もパートナーもホッとしたものです。
パートナーのお父さんとお会いしたのは本当に短時間で、交わした会話も少なかったのですが、「娘をよろしくお願いします」とほがらかに声をかけてくれました。
お兄さんとはパートナーと一緒に居酒屋でお会いしました。
お兄さんは気さくな人で、彼女の幼少期や学生時代の思い出話を教えてくれました。弟さんとはパートナーと私の3人で食事と買い物に行き、その際に3人の共通の趣味で話が弾んだのを覚えています。
こうして、家族への紹介は何事もなくスムーズに終わりました。その後、お互いの家族には会っていませんが、お互いの家族から私たちの家にプレゼントやお中元が届くなど、交流は今も続いています。
同性カップルが親への紹介で意識したこと
私たちは2人とも心配性な部分があり、親にお互いを紹介する前は「本当に紹介して大丈夫かな?」と、とにかく不安でした。そこで2人で話し合い、「どうすればお互いや家族が無理のない状態で家族と会えるか」を一緒に考えました。
焦らず家族それぞれのペースに合わせて紹介する
私たちがまず意識したのは、家族のペースに合わせてタイミングを見計らうことです。カミングアウトした際、お互いの家族は基本的に私たちのセクシュアリティを受け入れる姿勢を見せていました。
しかし、それは娘の手前、本心とは別に前向きに振まっていた可能性もあります。実際のところは、ショックを受けていたり、まだまだ受け入れられない部分があったりしていたのかもしれません。
そのため、私たちは無理にお互いを紹介するのは避け、家族の心の準備が整ったと感じたタイミングでお互いを引き合わせました。
また、家族が少しでも迷う素振りを見せた際には紹介の時期を見送り、家族のペースを尊重するよう心がけました。
実際パートナーのお母さんは、挨拶の話が出たときに「会うのはまた今度がいいかな」という反応だったので、まだ顔は合わせていません。
とはいえ、パートナーのお母さんからは毎月のように果物やお菓子とともに、「2人とも体には気をつけてね」というメッセージが届いており、直接お会いできていないものの、歓迎する気持ちが伝わってきて、うれしく思っています。
一度に家族全員と会わずに、何回かに分けて段階的に会う
私は姉、母の順番で、そしてパートナーは父、兄、弟の順番でお互いを紹介しました。一度に家族全員と会わずに、何回かに分けて段階的に会うようにしました。
その理由は、お互いが委縮しないようにするためです。
家族が複数人いる空間に、私もしくはパートナーがいるという状況は、あまりフェアではないと思ったのです。
家族同士で内輪の話を始めたり、紹介される側が疎外感を覚えたりすることも考えられます。また相手方の家族数人と、しかも初対面の人たちと話すというのは、やはり緊張するものです。
こうした懸念もあり、お互いがリラックスした状態で相手方の家族に向き合い、じっくりと関係を築けるよう、段階的に顔合わせの機会を作りました。
「同性カップルの親への紹介は義務ではない」と考えたうえで紹介する
同性カップルだからといって、「付き合ったら必ずパートナーを親に紹介しなければならない」「親に紹介できない=愛と覚悟が足りない」というわけではありません。
もちろん、相手に自分の存在を隠されたり、なかなか家族に紹介してもらえなかったりすると、不安や不満を感じることもあります。ただ個人的には、「(パートナーへの)愛情は、親に紹介するか否かで図ることができないのでは?」と考えています。
そのため、カップルのどちらかが親への挨拶に抵抗を感じている場合は、無理強いをしない、親に紹介するタイミングは各々が決める・・・・・・といったスタンスで、私たちはお互いの親への紹介に踏み切りました。
お互いの気持ちを尊重し、焦らず、それぞれのペースで家族やパートナーとのつながりを築いていくこと。
それが、パートナー、そして家族との関係を育むうえで大切なことだと感じています。今後も、私たちとそれぞれの家族との関わり方を模索していきたいと思います。