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セクシュアリティは変わってもいい、って思ってる。【前編】

爽やかな出で立ちの佐久間雄太さんは、撮影場所の海沿いがよく似合う好青年。現役大学生らしいハツラツとした雰囲気から、将来への希望があふれていることを感じさせてくれた。自分のセクシュアリティを受け入れるまでには、一途な恋愛体験と揺れ動く心への葛藤があった。いまだ道の途中。だからこそ、記しておきたい想いがある。

2018/12/30/Sun
Photo : Taku Katayama Text : Ryosuke Aritake
佐久間 雄太 / Yuta Sakuma

1997年、新潟県生まれ。高校生まで生まれ育った新潟で過ごし、青森の弘前大学に進学。現在3年生。女性に恋心を抱く一方で、男性にも好意に近い感情を覚えてきたため、今はバイセクシュアル、女性に対してのみノンセクシュアルだと自認。学業のかたわら、学生限定無料フリースペース「賢者屋」のインターンシップに参加している。

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INDEX
01 自然に囲まれて育った人見知りの少年
02 自分を変えてくれたチームプレイ競技
03 ほろ苦くあどけない恋心の思い出
04 ずっと続くと思っていた恋人との時間
05 本物に思えなかった「好き」という感情
==================(後編)========================
06 バイセクシュアルであることの葛藤
07 留学先で肯定してもらえた自分
08 カミングアウトする意義のある人たち
09 仕事選びの軸は “人と密に接すること”
10 セクシュアリティは揺れ動くもの

01自然に囲まれて育った人見知りの少年

おばけの絵を描きたがる子ども

生まれ育った新潟県新発田市は田んぼが多く、裏山には野生の猿が駆け回っている。

「実家は兼業農家で、米を作ってます」

「小さい頃は、農作業を手伝ったりしてましたね」

幼少期の自分は、よく人見知りをしていた。

「挨拶もできなくて、近所のじいちゃんに『挨拶しろ!』って怒られてました(笑)」

小学校でも、おとなしい子たちと一緒にいることが多かった。

「家が近い同級生のほとんどが女の子だったから、女の子としか遊ばなかったです」

「外で『どうぶつの森』ごっことかを、やってた気がします」

「よく家族から『雄太は変わった子だ』って言われてましたね(苦笑)」

ヒーローものの武器や変身グッズを、欲しがったことはない。

自分でダンボール製の家を作ったり、おばけの絵を描いたりすることが好きだった。

「『アンパンマン』の中でも、こむすびマンってレアなキャラが好きでした(笑)」

反りが合わない父との口論

父とは、幼い頃からあまり反りが合わない。

「仲が悪いわけじゃないんですけど、考えが合わないところがあって・・・・・・」

「ちょっとしたことで、口論になるんですよ」

父と自分は我が強い者同士、お互いに突っかかってしまう。

少し前も、一緒に見ていたテレビ番組で恋愛ネタが盛り上がっていた時に、言い合いが勃発した。

「父親が『お前も積極的に行けばいいのに』って言ってきたから、つい『うっせぇよ』って(苦笑)」

「でも、前よりは父子関係も良くなって、たまに電話しますよ」

母とは、何気ない日常のことも普通に話せる関係。

「『この間これ買ったよ』とか、プライベートなこともよく話しますね」

「母親は、やさしい人って印象です」

つかず離れずの兄弟

6歳離れた兄とは、幼い頃はよく遊んでいた。

「兄ちゃんの友だちが家に来て、一緒に遊んでもらう感じでした。兄ちゃんに彼女ができた時も、3人で遊んだりしてましたね」

「昔はケンカもしてたんですけど、年齢が上がるにつれてお互い無関心になりました」

仲が悪いわけではないが、特別いいわけでもない。
お互いの連絡先も、携帯電話の番号以外はずっと知らなかった。

「自分が大学進学で青森に行く時に、ようやくLINEを交換しました」

「その理由も、親に何かあった時のため(苦笑)」

兄は進学でも就職でも、新潟を離れなかった。

「交換して2年以上経つけど、兄ちゃんとLINEしたことはないです(苦笑)」

02自分を変えてくれたチームプレイ競技

ダイエット目的でのスタート

小学5年生になり、地域のバレーボールチームに入ることを決めた。

「実は、その頃の自分は太っててコロコロしてたんです」

「子どもながらに、これは痩せなきゃあかんわ、って何かやろうと思ったんですよね」

そのタイミングで、友だちに「バレーの人が少なくてさ、来てみない?」と誘われた。

ダイエット目的で、バレーボールを始めた。

「小学5年で始めて、高校生まで続けたんです」

「あれほどチームプレイが光る競技はないと思うし、楽しかったんですよね」

バレーボールは敵からボールが飛んでくるため、弱い選手は狙われやすくなる。

その穴を作らないため、チーム全体の底上げが必要になるのだ。

「どうしたら全員が上達するか、うまくボールを回せるか考えるところが、まさにチームプレイなんです」

話しかけられる自分への変化

バレーボールを始めて、大きく変わったことがある。

「コミュニケーションを取らないといけないスポーツだから、人と話すことへの抵抗感がなくなりました」

「バレーボールって、メンバー同士の声掛けがすごく重要なんですよ」

「コート内で目を見て、誰がボールを取るか言わなきゃいけないし、人見知りとか言ってられないんです」

人見知りでおとなしい自分ではなくなった。
学校でも、クラスの中心にいる賑やかな子たちと話せるようになった。

「中学に進んでも、わちゃわちゃ騒いでる系の人と一緒にいた気がします」

自分が変わることで、自分を取り囲む環境も変わることを知る。

裏切りたくなかった期待

高校では、バレーボール部の副部長を務めた。

新発田市の大会では優勝し、県大会でもベスト8に進むほどのチームだった。

「その中で、自分はすごく足を引っ張ってましたね」

「点数を決められなくて、みんなに申し訳なくて、どうしたら上手くなれんのかなって・・・・・・」

朝練はもちろん、放課後の部活が終わった後も自主練を続けた。
自棄になっていたかもしれないが、それだけ部に貢献したかった。

「頑張れたのは、部員も顧問も一生懸命だったからです」

「特にバレー経験者のマネージャーが、コーチ並みに本気になってくれたんですよ」

マネージャーは練習を見て、客観的にアドバイスしてくれた。

「みんながこれだけ頑張ってるんだから、みんなのために自分も頑張ろうって」

「自分に投資してくれてるみんなを、裏切ることだけは嫌でしたね」

今の人懐こい性格と諦めない精神を培ってくれたのは、バレーボールだ。

03ほろ苦くあどけない恋心の思い出

「好き」以上の関係

初恋は、幼稚園の頃。

相手は、近所に住んでいた女の子。

「好きって感情があったかどうかは、あんまり覚えてないです。でも、親に『あの子と結婚したい』って言っていましたね」

誕生日には、幼稚園で好きな子との2ショット写真を撮ってもらえた。

自分は、その女の子を誘った。

「ちゃんと恋愛感情を抱いたのは、小学5年生の時だったと思います」

同じ地域のスポーツ少年団に通っている女の子が気になった。

背が高く、すらっとした明るい子。

「虫とかも余裕で触れちゃう子で、純粋にかっこいいと思ったんです」

「自分は、虫が苦手だから(苦笑)」

周りから「あの子がお前のこと好きみたいだよ」と聞かされた。

「自分は単純なのか、その話を聞いていたら好きになっちゃったんですよ(笑)」

両想いであることは互いに気づいていたが、告白する勇気はなかった。

そもそも、小学生の自分には “つき合う” という概念がなかった。

「好きって感情だけで、先があるとは思ってなかったですね」

その子とは中学が違ったため、小学校卒業とともに疎遠になった。

3カ月の恋人

中学3年生になり、高校受験に備えて塾に入った。

そこで1人の女の子に、一目惚れをする。

「友だち経由でその女の子と仲良くなって、当時流行っていたSkypeのアカウントを交換したんです」

「その子とSkypeで話してる時は、むちゃくちゃ楽しかったですね」

最長で4時間話したこともあった。

仲良くなってから少し経った頃、告白した。
その女の子からは「YES」の答えが返ってきた。

「すごく好きだったから、常にキュンキュンしてましたね」

「話してるだけでも、一緒に塾に行くだけでも楽しかったです」

塾の友だちが、彼女に「話し方が佐久間に似てきたよね」と言っていた。

「影響を与えてんのかな、とか思ってうれしかったです」

このまま、2人の関係は続いていくと思っていた。

つき合い始めて3カ月が経つ頃、「クリスマスどうする?」というメールを送信。

彼女からの返信は「ごめん、別れよう」。

「まったく予感はしてなかったから、ショックすぎました(苦笑)」

別れる理由は聞けなかった。

ただ受け入れるしかなかった。

04ずっと続くと思っていた恋人との時間

変わらなかった互いの気持ち

中学時代の彼女とは、もともと「同じ高校を目指そう」と約束していた。

12月に別れたため、互いに志望校は変えず、同じ高校に進んだ。

「奇しくも同じクラスになったんですよ」

何度目かの席替え。
彼女の後ろの席になり、中学生の頃と同じように話すことが増えた。

「やっぱりすごく好きだったし、かわいいなって思いましたね」

バレー部の友だちから「あの子、お前のことが気になってるらしいよ」と言われた。

「自分もずっと気になってたから、めっちゃうれしかったです!」

帰り際に昇降口で鉢合わせ、そのまま「バイバイ」と別れようとした時。

彼女が後ろから「一緒に帰ろう」と声をかけてくれた。

「キュンとして、『いいよ、帰ろっか』って応えました」

翌日、再び一緒に帰る流れになった時に、自分から告白した。

「彼女は泣いて喜んでくれて、そのリアクションがうれしくて、復縁しました」

それから2年半、高校3年の受験シーズンまで関係は続く。

すれ違いの受験シーズン

「彼女はサバサバしていて、天然が入っている感じの面白い子でした」

「友だちから『2人の会話って漫才みたい』って言われるような関係でしたね」

部活終わりの帰り道が、定番のデートコース。

しかし、高校3年の冬、2人の関係は終わりを迎える。

「彼女は、早い段階で進路が決まっていたんです」

「でも、自分は国公立受験のために勉強してて、彼女はほったらかし状態でした」

「弘前大学に進むことも自分で決めて、彼女には相談しなかったんです」

彼女から、別れを切り出された。

「お互い、必要じゃなくなったんじゃないかな・・・・・・」

このまま関係を続け、遠距離になって彼女に寂しい思いをさせることは避けたかった。

「だから、別れました」

必要だった進路相談

進路を考える時、新潟から出たいという気持ちが強かった。

「新潟で就職するかもしれないなら、大学生のうちに外を見ておいた方がいいと思ったんです」

新潟を離れるということは、地元の短大に進む彼女とも離れること。

その不安が一瞬頭をよぎったが、自分には根拠のない自信があった。

「2年半つき合ったし、遠距離でも別れるはずがないって考えてたんです」

「でも、彼女には相談するべきだったな、って今は思いますね」

大学に進み、青森に移り住んでからも、彼女のことが好きだった。

「別れた後も何回か告白したんですけど、『どうしても無理』って言われちゃいました(苦笑)」

05本物に思えなかった「好き」という感情

湧いてこない欲望

別れてからも何度も気持ちを伝えるほど、彼女のことが好きだった。

しかし、自分自身の気持ちを疑う時もあった。

「彼女とは手をつないで、チューもしていたんですけど、それ以降がなかったんです」

「セックスをする気が起きないっていうか・・・・・・」

高校生にもなると、男友だちは顔を合わせれば下ネタで盛り上がる。

「やったの?」と話を振られることもある。

「友だちのコイバナを聞いていて、自分の好きはウソなのかなって思いました」

恋人ができたら、セックスするものだと思っていた。

しかし、その欲望は湧いてこなかった。

「それでも、彼女に対して嫉妬していたから、自分の気持ちが恋愛感情なのかどうか悩みましたね」

女友だちから、「あの子が『女として見てくれない』って寂しがってる」と言われたこともあった。

「そう言われても、自分がなんて彼女に説明したらいいか、わからなかったです」

恋愛と友愛の違い

女性とのセックスには、関心が湧かないに近い。

「女性との経験は一回あるんですよ(笑)。なので、『しなくていい』に近いのかもしれません。完全なノンセクシャルと言えるかわかりませんが・・・・・・(笑)」

「その場になったことがないので、嫌かどうかはわからないんです。でも、したくないって気持ちはあると思います」

男友だちとの会話で「あの子かわいいよね」と言われれば、共感できる。

しかし、「あの子エロいよね」という評価は、理解できない。

「水着の女性のグラビアを見て、顔はかわいいなと思うんです。でも、体を見ても、性欲は湧かないんです」

女の子に対して抱く感情は、友だちの延長なのかもしれないと思った。

「ほかの男の子と一緒にいたら嫉妬するし、やっぱり恋愛感情じゃないか、って葛藤しましたね」

自分の気持ちが理解しきれず、煮え切らないままだった。

男の先輩に抱いた想い

ふと自分自身を振り返った時、中学生時代の先輩のことを思い出した。

「背が高い男の先輩で、かっこいいと思ってたんです」

「純粋な憧れではなくて、恋愛感情に近いものだ、って捉えていたと思います」

「でも、まだバイセクシュアルって言葉を知らなかったので、深くは考えてなかったかもしれません」

仲が良かった先輩は、家に泊まりに来たこともあった。

並んで寝る時、先輩から「俺、手つないでないと寝れないんだよね」と言われた。

「いいですよ」と答え、手をつないで眠りについた。

「かっこいいと思っていた先輩だったから、嫌じゃなかったんですよね」

「むしろ、安心感とか充足感があって、落ち着いたぐらいです」

テレビ番組などを通じて、ゲイの存在は知っていた。

その先輩とは、手をつなぐ以上の関係になってもいいかもしれない、と感じた。

「自分はゲイなのかもしれない、って思いました」

「先輩とは何もなかったけど、自分が人と違うかもしれない、と思い始めたきっかけではあります」


<<<後編 2019/01/02/Wed>>>
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06 バイセクシュアルであることの葛藤
07 留学先で肯定してもらえた自分
08 カミングアウトする意義のある人たち
09 仕事選びの軸は “人と密に接すること”
10 セクシュアリティは揺れ動くもの

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