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男性との離婚を経て、女性と結婚。「すっごい幸せな気分」【後編】

男性との離婚を経て、女性と結婚。「すっごい幸せな気分」【前編】はこちら

2019/06/03/Mon
Photo : Rina Kawabata Text : Kei Yoshida
瓜本 淳子 / Junko Urimoto

1979年、大阪府生まれ。21歳のときに男性と結婚し、退職。その後、離婚して実家に戻り、SNSを通じてレズビアンのコミュニティを知った。足を踏み入れたところ、自身がレズビアンであると確信。現在、獣医師である同い年の女性パートナーと、動物病院で働いている。プライベートでは、パートナー・友人と「LGBTQ相互支援団体カラフルブランケッツ」を立ち上げた。また、心理面での手助けができるようになればと、この4月から通信制の大学にて心理学を学んでいる。

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INDEX
01 犬と猫とパートナーと
02 なんだか女の子が気になる
03 みんなと同じく自分も彼氏と
04 ガードマンの仕事を寿退職
05 レズビアンのコミュニティを発見
==================(後編)========================
06 女同士の恋愛に「しっくりきた」
07 女ともだちから恋人へ
08 両親に隠さず話せるという幸せ
09 ふたりの結婚記念日はいつ?
10 気を遣わず、自由に過ごすこと

06女同士の恋愛に「しっくりきた」

親に “おかしい” と思われたくない

「初めて女性と付き合ったときは、癒されたというか、自分に合うというかなんというか」

「男性との恋愛も、当時は違和感を感じなかったんですが、女性のほうがしっくりきました」

彼女と手をつないだ瞬間は、ドキドキと心が弾んだ。

もちろん、彼氏や元夫とも手をつないだことはあったが、そのときには感じることのなかった感覚だった。

「一緒にいて、すごいドキドキしました! 男性のときはなかったから、そういうところが、男性相手とは違う、女性相手の恋愛感情なんですかね」

しかし、女性同士の付き合いをスタートしたことで、不安な気持ちも感じていた。

いよいよ、人には言えないことになったぞ、と。

「特に、親には絶対に言えないと思いました」

「親に、おかしいって思われるのが嫌だったんです」

女性同士の恋愛は “おかしい”と、両親に否定されるかもしれないと思った。

それは、自分自身も、女性同士の恋愛が “普通ではない” という意識があったから。

でも、自分が女性を好きだということは間違いない。

この事実をどうしたらいいのか、持て余すこともあった。

しかし、好きな人と過ごす時間は楽しい。

「デートするときは、手をつないで歩いてました。周囲の目は、ぜんぜん気にならなかったですね」

二股でもいいや

北海道に住む女性と付き合っていたこともあった。

2〜3ヶ月に1度だけ会える時間を、とても大切にしていた。

「ふたりでカラオケ行ったりとかパチンコ行ったりとか(笑)」

「あと、毎回行っていたのが温泉です」

「異性の恋人だと別々になってしまうけど、女性同士だと、ふたり一緒に温泉に入れるので、楽しかったですね」

しかし、その恋人とも2年半で関係は終わってしまった。

実は、相手にはもう1人、女性の恋人がいたのだ。

「初めから知ってました。その時は舞い上がっていたので、二股でもいいやって思ってたんです(苦笑)」

「嫉妬は、なかったですね」

元夫との結婚生活は、相手の浮気で終わってしまったが、彼女の二股は許すことができた。

それほどに、相手を好きだったとも言えるだろう。

しかし、そんな二股の恋愛は、長くは続かなかった。

「一時は、北海道に住もうかとも思っていたんですが」

「もう1人のひとに私たちのことがバレてしまったのと同時に、結果的に相手が『もう1人の相手』を選んだんです」

28歳の頃、北海道に住む女性とは別れた。

そのあと、付き合った人は1人だけいたが、長続きはしなかった。

「実家に引きこもってゲームばかりしてましたね」

「アルバイトして、ゲームして、近所の友だちとたまにカラオケに行く」

「そんな感じの生活でした(笑)」

07女友だちから恋人へ

第一印象は、真面目そうな人

そして30歳になった頃、SNSで以前参加していた20代向けではなく、“30代の同性愛者” コミュニティに参加した。

「30歳になったし、もう20代の人たちとは話が合わないかなって思って」

「その頃は近くに住んでいるレズビアンの人もいなかったし、気軽に話せる友だちがほしいなって思ったんです」

すると、ちょうど同じように「友だちがほしいです」と書き込んでいる人がいた。

それが、現在のパートナーだった。

ちょうど大阪市内に住んでいる者同士ということで、早速会うことになり、天王寺あたりでランチをした。

「SNSでやりとりをしている段階から、仲良くなれそうな予感がしました」

「実際に会ってみた第一印象は、真面目そうな人(笑)」

「あと、私が人見知りなので、向こうがすごいしゃべってくれるのが良かったですね」

「しかも、なんでもしゃべってくれる(笑)」

「初めて会ったのに、当時付き合ってた人のこととかも話してくれて」

「すごく正直で、裏表がない人なんだなって思いました」

予感どおり、すぐに仲良くなれた。

「付き合っちゃえばいいんじゃない」

その後、パートナーも恋人に振られ、自分も告白した相手に振られたことがきっかけで、友だちと3人で “慰め会” をすることになった。

慰め合いながら、じっくりと話すことで、急速に仲は深まっていった。

「それで、次にふたりでビアンバーに行ったんですよ」

「そこのママに、『私たちに合うような人、いないですかね?』って聞いたんです」

「そしたら、ふたりが付き合っちゃえばいいんじゃないって言われて(笑)」

「そのときは、まだ会ってから間もなかったし、友だちとしてしか見てなかったので、『いやいや・・・・・・』って否定したんですけど」

それもアリかも、という考えが浮かぶようになった。

そして、ふたりが付き合う可能性を想像してから、それが現実になるまでは、あっという間だった。

「私がパートナーのことを好きになって、呼び出したんです。『付き合ってほしいんです』みたいなことを言いました」

「そしたら、『はい』と返事をくれたんです」

2011年の4月に出会い、6月から恋人になった。

2015年には「関西レインボーフェスタ!」で結婚式を挙げ、2018年に大阪市でパートナーシップを宣誓。

もう8年の付き合いになる。

「両親には、結婚式のタイミングでカミングアウトしました」

「なんか、みんな『あ、そう』って反応だったので、ちゃんと理解してるのかなって不安になるくらいで」

「でも、『結婚式の写真見せて〜』とか言ってくるので、あ、ちゃんと分かってはるんやなって(笑)」

08両親にも隠さず話せるという幸せ

結婚式に出るか出ないか

同性との結婚式を目前に控えた娘のカミングアウトに、あまり驚いた様子を見せなかった両親。

一度は男性と結婚したこともある娘だからこそ、「どうして?」という疑問は湧かなかったのだろうか。

「私がしたいんやったらいいよって、言ってくれました」

「あんまり質問されたりすることもなかったですね」

「でも、パートナーと付き合いだしてから、友だちとしてだけど、両親に紹介もしていたし、結婚前に一緒に住む家を買ったので、なんとなく予想はしていたのかもしれないですね」

家を買ったのは2014年。付き合いだして3年が経った頃だった。

一緒に住んで、この先ずっと苦楽をともにするということには、まったくためらいがなかった。

「とても信頼できる人だし、浮気もしそうにないし(笑)」

「初めて会った時に話していた当時の恋人のことも、本当に一途に好きなんだろうなって感じたので・・・・・・それも良かったですね」

「関西レインボーフェスタ!」での結婚式は、レズビアンの友だちから誘いがあった。

しかし当時は、自分がレズビアンであることは「親には絶対に言えない」と思っていたこともあり、出るか出ないか、とても悩んだ。

「ふたりで話し合った末に、こういうきっかけがないと、結婚式を挙げることもないかもしれないから、と心を決めました」

母が結婚式の写真を親戚に

問題は、両親に言うか言わないか。

しかし、イベントで結婚式を挙げたら、新聞にも載るかもしれない。

そこで、式の前日に両親に伝えた。

「父は来れなかったんですが、母は『そしたら行くわ』って言ってくれて」

「両親とも、喜んでくれました」

パートナーのお母さんにも会いに行き、結婚式を挙げることを伝えた。

それまでに何度か会っていたこともあり、特に緊張することもなく、反対されることもなかった。

「姉には、母が伝えてると思います。直接は言ってないんですよ」

「母が親戚に結婚式の写真を見せてるみたいなので、たぶんみんな知ってるはず」

自分が、好きな人と一緒になれたことを、家族みんなが知っている。

それが、とても幸せだと感じる。

「自分の気持ちを、家族に隠さずに話せるようになって良かった。それは、自分にとって大きいですね」

「両親にカミングアウトするときは緊張しましたけど(笑)」

子どもの頃からボーイッシュな格好ばかりしてきて、髪も短かったが、ドレスに似合うように、結婚式までは髪を伸ばした。

そして、頑張って髪を伸ばしたまま、結婚式の1ヶ月後には、友だちだけの披露宴を開いた。

09ふたりの結婚記念日はいつ?

結婚式は、絶対にしたほうがいい

「結婚式の1ヶ月後に開いた披露宴では、みんなにおめでとうって言われて、すっごい幸せな気分になりました」

同性同士で結婚式を挙げる人は増えてきているとはいえ、まだまだ挙げない人も多い。

「結婚式は、絶対にしたほうがいいと思う。何回でもしたくなる」

「実は、私たち何回か結婚式やってるんです(笑)」

イベントや結婚式場のモデルを務めたのだ。

「顔出しOKのレズビアンカップルの人って少ないみたいで、何度か、モデルどうですかって話がきたので、受けました」

「ウェディングドレスで4回、和装で1回、させてもらいました(笑)」

花嫁姿を合計5回披露し、そしてさらに大阪市でパートナーシップを宣誓しているふたり。

では、ふたりにとって、結婚記念日はいつになるのだろう。

「それはやっぱり、最初の『関西レインボーフェスタ!』での結婚式だと思います」

「パートナーシップのこともあるので、ちょっとややこしいんですけど」

結婚式を挙げたことで、家族や友だちに家族として認められ、パートナーシップを宣誓したことで行政からも認められた。

「大阪市では、家族として認められているので、ちょっと安心です」

「なんか病気しても、大阪市立の病院ならば、家族として扱われるので」

「一生一緒に暮らしていくことを考えると、家は持ち家だし大丈夫なので、やっぱり不安なのは病気とか怪我のことですね」

こんな風に幸せになれる

現在までに、自分のセクシュアリティのために嫌な思いをしたことはない。

「ガードマンをやってた頃の友だちにカミングアウトしたときは、びっくりされたけど、『どんな人?』って興味津々で聞いてくれたし、うちにも遊びに来てくれてます」

「自分がレズビアンだって気づいたのが遅いので、あんまり困ったことがなくて(笑)」

「あ、でも、レズビアンだと気づいたときに、どうしたらいいのか分からなくて、将来が思い描けなかったというのはあります」

「LGBTERのインタビューを受けたのは、同じように将来が思い描けないという人にとってのロールモデルになればいいなと思ったから」

この記事を読んでいる人に伝えたいこと。

それは、同性愛者とか異性愛者とかに関係なく、幸せになれるということ。

「同性愛者だから無理だって諦めている人もいるかもしれないんですが、私は普通にパートナーがいて、みんなに祝福されて結婚しました」

「自分を不幸だと思ったことはないし、こんな風に幸せになれるんだよってことを伝えたいですね」

10気を遣わず、自由に過ごすこと

動物看護師になったきっかけ

自分が動物に関わる仕事に就くなんて思わなかった。

もとは別の会社で事務の仕事をしていたが、パートナーが獣医師として勤める病院を手伝い始めたことがきっかけだ。

「開業したばかりで看護師がいなくて、最初は受付と会計だけを手伝ってたんですが、だんだん事務の仕事との掛け持ちがしんどくなって、病院も忙しくなってきて・・・・・・」

「事務の仕事を辞めて、病院の仕事1本に絞ったんです」

「それで、病院に3年務めて、動物看護師の試験を受ける資格を取得したので、試験を受けて、正式に看護師になりました」

「パートナーと会ってなかったら、動物病院で働くことなんてなかったと思う(笑)」

どんなきっかけが、どこで待ち受けているのか、人生とは本当に分からないものだ。

そして、今、本当の自分の想いに気づくことができ、心から信頼できるパートナーと、愛する犬と猫という家族とともに幸せに暮らしている。

「結婚生活が長続きする秘訣? お互いに気を遣わないことです」

「私たちならではなのかもしれないけど、本当に気を遣わないで、お互いに自由にしてますね」

休みの日が同じでも、一緒に過ごすことも、過ごさないこともある。

「でも、なんか、パートナーは私と一緒に出かけたいみたい(笑)」

「私は、どちらかというと引きこもりたいタイプなんですけど」

「だから、行ったり行かなかったり。あ、でも、本当に、ふたりで行かなあかんところは行きますよ」

たまにはふたりで旅行に

喧嘩をすることはほとんどないが、たまにイラッとすることもある。

「そんなときは無視です。そして、寝ます」

「寝たら、イラッとしたのも治るので(笑)」

「私たちは職場も一緒なので、喧嘩とかを長く引きずってられないんですよ。職場のみんなに迷惑がかかってしまうので」

近頃、パートナーや友人と「LGBTQ相互支援団体カラフルブランケッツ」を立ち上げた。

「悩みを相談できる場所づくりと、老後も安心して暮らせる仕組みづくりができればいいですね」

「それ以外にも、相談を寄せて下さった方に対して、より充実したお役立ちがしたいなと思って、心理学を学び始めました」

今の将来の夢は、「このまま歳をとって、たまにはふたりで旅行に出かけること」。

「今は一緒に住んでいる同僚に、犬と猫を任せられるので、ふたりで旅行にも行けるようになりました」

「同僚がいてくれて、ほんとありがたいです」

「新婚旅行は、温泉リゾートに行きました。やっぱり女同士だと、ふたりで温泉に入れるのっていいですね」

「今度は、沖縄に行きたいねって、パートナーと話しています」

あとがき
淳子さんがもつホンワリな雰囲気と呼吸のテンポは、取材場に穏やかな空気を運んでくれた。「怒」「哀」の感情を激しく表現することはあるのかな? 心が安定していると、なれ合いに陥りやすいパートナーやちかしい人とも楽しく生活できそうだ■人生なにが起こるかわからない。ならばせめて、好きな人にただ好きと伝えたい。好きな人と心から笑い合いたい。夜は心静かにしめくくり、明るい朝を一緒にむかえる。しあわせは、そんなこと。そんなことがしあわせ。(編集部)

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