INTERVIEW
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人と違う自分に、誇りを持って生きてきた。「ゲイって悪いことじゃないよ」と伝えたい【前編】

短髪にヒゲの端正な顔立ち。一見するとクールな印象の都雄介さんだが、ひとたび口を開けば、エンターテイナーとしての顔が覗く。重い経験も笑い話に変える明るさや、人懐っこくお茶目な振る舞いの根底には、自分を愛し、大切にできる人しか持てない強さがあった。そんな都さんを形作った、これまでの人生を振り返る。

2021/05/12/Wed
Photo : Rina Kawabata Text : Koharu Dosaka
都 雄介 / Yusuke Miyako

1982年、東京都生まれ。物心ついた頃からゲイを自認していた。高校1年生で新宿二丁目デビューし、ゲイコミュニティで出会った人々から多大な影響を受ける。20代には、ゲイクラブのGOGO BOYとして6年間活動。現在はフリーランスのクリエイターとして働くかたわら、俳優業にも積極的に挑戦中。

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INDEX
01 俳優・都雄介のルーツ
02 “ホモ” と呼ばれた小学生時代
03 変わり者の生存戦略
04 真夜中は別の顔?
05 ハプニング勃発!
==================(後編)========================
06 ゲイ業界のスター・GOGO BOYに
07 曲げられないアイデンティティ
08 ゲイをオープンにする生き方へ
09 LGBTに必要なのは「安心できる仲間」
10 人と違うことに誇りを持って

01俳優・都雄介のルーツ

38歳で叶えた俳優デビュー

デザインやコンサルティング業を主軸に、フリーランスで幅広く活動する現在。

2020年には「portrait(s)」という自主製作映画で俳優デビューも果たした。

「梶原大幹という、ゲイで花屋の男性役で出演しています」

「監督のむらかみさんとは、以前から知り合いで。LGBTをテーマにした映画を撮ると聞いて、当事者役なら出たいと思って立候補したんです」

昔から注目を浴びることや演じること、クリエイティブな活動が好きだった。

「いつかは俳優や声優をやりたい」という、20代前半からの夢がついに叶った。

「38歳ってもうおじさんなのかもしれない。この歳でのデビューは遅いのかもしれない。けど、まだまだ人生頑張りたいから」

「今回の映画は、制作陣にLGBTへの理解のある人が多いし、演じるのは当事者役。自分のセクシュアリティを曲げずに表現できるのがいいなと思って、勇気を出して参加しました」

自分にとって、セクシュアリティは置き去りにできない大切なもの。

近年は特に「人前に出る活動でもセクシュアリティをオープンにしたい」という気持ちが強くなっている。

「LGBTコミュニティに支えられたおかげで思春期を乗り切ったので、この業界に恩返しがしたくて」

今後もゲイであることを隠さず、自分が培ってきたものでいろんな表現をしていきたい。

好きだったのは「魔法使いサリー」

東京に生まれ、横浜で育った子ども時代。

「目がくりくりで、自分で言うのもなんだけど可愛かった。もちろんヒゲもなかったし(笑)」

「小さい頃から、普通の男の子じゃないのは明らかだったみたいです。どちらかと言えば女の子っぽい、マイルドな感じ」

好きだったのは「魔法使いサリー」などの女の子向けアニメ。
親に禁止されることもなく、好きなものを好きなように観ることができる環境だった。

「わりと自由な家庭で、親から男らしくしなさいって言われたことはなかったかな」

女の子向けのアニメが好きでも、女の子になりたい、スカートを履きたいといった気持ちはなかった。

一方で、男の子たちが履く「ザ・野球少年」な半ズボンには抵抗があり、一年中長ズボンを貫く。

幼少期の自分は、今振り返れば「不思議な子」だったと思う。

02 “ホモ” と呼ばれた小学生時代

「ホモだけど、なにか?」

小学校に上がってからは、柔和な物腰を周囲にからかわれるようになる。

お笑い芸人が、バラエティ番組でゲイを揶揄するようなキャラクターを演じた当時。

「ホモ」という言葉や、世の中には男性が好きな男性がいることは、自分もみんなも知っていた。

「いじめまではいかなかったけど、『お前ホモだろ!』ってイジられることは多かったかな」

「でも、傷ついたりふさぎ込んだりすることはなくて。からかわれても特に否定はしませんでした。『そうだけど、なにか?』って感じ(笑)」

ただ、仲良くしてくれている友だちも含めて「こいつらホモじゃない?」と、一緒くたに言われるのは耐えがたかった。

「自分は実際に男の人が好きだけど、友だちは違う。ただ仲良くしてくれてるだけの子が、自分と一緒にいるせいでからかわれるのが申し訳なくて」

自分にとって、男性が好きなのは自然なこと

物心ついたときにはすでに、男性が好きという性的指向を自覚していた。

「まだ恋愛感情ってほどのものじゃなかったけど、男性への関心がすごく強かったんですよね」

「先輩後輩の関係に憧れたり、野球部男子たちの輪を眺めているのが楽しかったり、男同士の親友関係っていいな、青春っぽい、男くさい絆っていいなって」

小学生の頃には、周りの子どもたちに先立って第二次性徴期を迎える。

「みんなより先に背が伸びたり、体毛が生えたり。そのせいか、性的な関心も早くから男の子に向いてました」

今も昔も、セクシュアリティについて思い悩んだことはない。
ごく自然に「自分はこうなんだ」と受け入れることができた。

女子のミニバスチームに参加

小学校では、ミニバスケットのチームに所属した。
自分以外のメンバーは全員女の子だったが、無理を言って入部許可を得る。

「バスケって体育館でプレーするから、練習や試合が終わった後に必ずモップ掛けをするんですよ。それにすっごく憧れて(笑)」

「でも、モップ掛けをしたいから入りたいっていうのも変じゃないですか。だから『バスケやりたいんです! 掃除だけでもいいし見学でもいいから入りたい!』って頼み込んで」

「女の子しかいないことには抵抗がなくて、普通になじんでました。みんなと一緒にプレーして、可愛く『ナイシュー!』とか言って」

「我ながら、変な子だったなと思います」

03変わり者の生存戦略

社交的な変わり者キャラ

中学に進学しても、物怖じしない性格は健在。
人前に立つこと、人を統率することが好きで、中高と生徒会に加入する。

「いわゆる人気者グループではなかったけど、変なほうに目立ってた子だったかも」

「口が上手いし、いろんな人に取り入るのが得意で、話し方もふわふわしてて。将来は詐欺師になるんじゃないの? って、冗談半分でよく言われてました(笑)」

傍から見た自分は、変わってはいるが話好きで社交的、みんなと分け隔てなく話せる子。

しかし、内心は少し違っていた。

「変わり者だから、いろんな人と仲良くしておかないと孤立しちゃうなって。自分からいろんな人に話しかけようと、結構意識してたかな」

誰とでも親しくできるが、特定のグループと常に行動を共にすることはない。

「遠足とかの班決めでは余るタイプでした。人数が足りていないグループに声をかけられて、後から入れてもらう感じ」

気に病むことはなかったが、どこか「人間関係をこなしている」感覚があった。

仲間の気配を感じたら即、アプローチ!

どの学校でも、いわゆる “スクールカースト” ができ始める中学時代。
自分の学校も例外ではなかった。

「チョイ悪の子たちがイケてると思ってました。自分が悪ぶりたいとか、そういうグループに入りたいって気持ちは全然なかったけど、かっこいいなって」

不良っぽい子に対しても物怖じせず、仲良くしたいという一心で平然と話しかける。

「ホモだろ」と言われることもあったが、親しみのあるからかいはあまり苦痛ではなかった。

「『気持ち悪いけど面白い奴』みたいな、憎めないキャラを確立してました」

「チョイ悪系以外だと、運動部の男の子を見るのも楽しかったですね。野球部、みんな坊主で可愛いな~とか思ってた(笑)」

誰とでも仲良くできる人柄のせいか、女の子に告白されたこともあった。

「とりあえず付き合ってみたけど、好きにはなれなくて。彼女よりもその子のお兄ちゃんが気になって、すぐ別れちゃいましたね」

セクシュアルマイノリティかなと感じた友だちも数人できた。

「当時は本人もはっきりした自覚はなかっただろうけど、MTFの子、FTMの子、ゲイの子、バイの子と仲良くなりました」

「大人になってから打ち明けられて、やっぱりなって」

「あの子は変わってる」という噂を聞きつけたら、部活やクラスが違っても、すぐに自分から話しかけに行った。

「やっぱり、仲間が欲しい気持ちがあったのかな」

04真夜中は別の顔?

そつなくこなした高校生活

中学卒業後は、高校の工業科に進学。
相変わらず、学校では「男が好きなんじゃないの?」とたびたび聞かれた。

「軽く『違うよ~』って答えるか、『友だちとして好きになることはあるよ。仲よくしよう』って言うか」

「彼女いないの?」と聞かれても「昔はいたことがある」と言えば、それ以上追及されないことがほとんど。

たまに深掘りされたときには、当時から通い始めていた新宿二丁目での経験を男女置き換えて話し、疑いを晴らしていた。

「年上の人に言い寄られた話とかしてたから、周りからは『年上殺し』って言われてて。そつなくやってました」

学校では気になる子もできたが、想いを打ち明けたことはない。

同級生と “そういう関係” になりたいという気持ちが湧かなかったからだ。

「青春っぽい友情ごっこをしたかっただけ。恋人同士じゃなくて、親友関係になりたかった・・・・・・」

「好きだった子が野球部だったから、『試合頑張って! 応援してるね!』ってメールしたり。『みーやのためにホームラン打つね!』って、言ってもらえたときは、すごく嬉しかったな」

新宿二丁目で出会った本当の友だち

二丁目に通い始めたのは、高校1年生のとき。
新聞で取り上げられているのをたまたま目にして、興味を持った。

「最初はすごく怖かった。勇気を出して行ってみたけど、高校生だったからお店には入れなくて」

「街をうろついてたら、同じような同年代の子たちと親しくなりました」

「そこで出会った友だちは今でも仲良くしてくれていて、親友だと思ってます。別の地域出身だったけど、成人式も一緒に出たんですよ」

セクシュアリティの話や恋愛トークができる友だちができたことで、学校での顔とLGBTコミュニティでの顔を明確に使い分けるようになる。

ストレートの世界はあくまでストレートの世界と割り切り、ゲイの自分は出さない。

完全に別物と考えていたからこそ、気になる同級生とも “お友だち” として仲良くできた。

「学校の友だちには、実は男の人が好きだとか、新宿二丁目に行ってるとか、話すことは一切ありませんでした」

「ゲイによくある『会社でストレートのふりをして、退勤後はLGBTのコミュニティに行く』みたいなのが自分の高校生活でしたね」

なんでも話せるLGBTの友だちのおかげで、二重生活の窮屈さはそれほど感じずにいられた。

05ハプニング勃発!

置きっぱなしのゲイ雑誌

二重生活を続けていた10代のある日、家庭内で大きな事件が勃発する。
ゲイであることを、意図せず父親に知られてしまったのだ。

「買ったゲイ雑誌を、トイレに置きっぱなしにしちゃったんですよ(苦笑)」

「後からしれっと自分の部屋に置いてあって、『あ、バレたな』と気付きました」

「でも、家族会議が開かれるわけでもなく、父親も平然としていて。どうしようと思ったけど、特に問題はありませんでした」

父親は型にとらわれないタイプの人で、子育てのスタイルも自由奔放。
子どもの行動にも寛容だった。

「我が家の教育方針は『隠し事なし』。親に隠れてこそこそ変なことするくらいなら、むしろ堂々とやれ、ってタイプの親でした」

「ゲイであることは、昔から薄々わかってたみたいですね」

だが、男が好きなんて気持ち悪い、そんなのやめろといったことは、一切言われなかった。

「父親に言われてすごく印象に残ってるのは、『変な男に引っかかるなよ』『男にばっか貢ぐ人生はやめろよ』って言葉(笑)」

「ゲイであることじゃなくて、変な男に引っかかって苦労することを心配してくれてたんだと思います」

LGBTを取り巻く現実に直面

父親にゲイだと知られてからは、二丁目で知り合った人たちを「友だち」として家に連れ帰るようになる。

事情を察していたのか、父親が彼らの素性について詳しく聞いてくることはなかった。

「『うちはラブホじゃねえ』『簡易ホテルじゃねえんだよ、泊まりたいときだけ帰ってくるな』とは言ってました(笑)」

「そのわりにちゃんと『よっ!』って挨拶してくれたし、二人分の朝ごはんを用意してくれてたんですよね。どんな人にもフランクに接してくれる父親でした」

だが、当時親しくしていたゲイの友だちは、自分とは真逆の環境にいた。

「ゲイであることが両親にバレて、大反対にあったみたいで」

「違う高校に通っていたけど、自分も怪しまれて、その子の親が強制的に連絡を絶ってしまったんです」

LGBTコミュニティで親しかった女の子が代わりにコンタクトを取ってくれたことで、なんとか縁が切れずに済んだ。

だが、この一件で受けたショックは大きかった。

「自分は運良くオープンな家庭で育ったし、セクシュアリティについて誰かに強く否定されたことはなかったけど、世の中にはそうじゃない人もいるんだ、LGBTへの風当たりってこんなにも強いんだって気がついて」

ゲイコミュニティでは偽名を使い素性を明かさない人が多かったのも、LGBTの現実を象徴していたと思う。

「みんなと違うだけで、悪いことをしているわけじゃないのに・・・・・・」

世の中の不条理を知ってもどうすることもできず、ただ落ち込んだ。

 

<<<後編 2021/05/19/Wed>>>

INDEX
06 ゲイ業界のスター・GOGO BOYに
07 曲げられないアイデンティティ
08 ゲイをオープンにする生き方へ
09 LGBTに必要なのは「安心できる仲間」
10 人と違うことに誇りを持って

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