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Writer/酉野たまご

レズビアンは女湯で何を感じるの? マイクロアグレッションな疑問と私なりの答え

「私、レズビアンなんです」とカミングアウトすると、相手によってさまざまな反応が返ってくる。そして時折「今の反応はマイクロアグレッションだな」と感じることもある。「女湯問題」に関する質問もそのひとつだ。

マイクロアグレッションとは

マイクロアグレッションとは、無意識の偏見や固定観念によって、悪気がなくても相手を傷つけてしまう、ささいな態度や言葉のことだ。

レズビアンである私が最も戸惑う「マイクロアグレッション」な反応

私はレズビアンであることを、周囲にオープンに話しているほうだと思う。

身近な家族や友人は私がレズビアンであることを知っているし、SNSや初めて知り合った人がいる場でも「私には同性のパートナーがいて・・・・・・」となにげなく話すことが多い。

たいていの場合、私がレズビアンであることを知った人は好意的な反応を示してくれる。

笑顔で話を聞いてくれたり、何も気にしない素振りをしてくれたりと、内心ではどう感じているかわからないけれど、私のカミングアウトをあたりまえに受け止めてくれるような、やさしいリアクションであることがほとんどだ。

ただ、ごくたまに、そうではない反応を返す人もいる。

「本当にそういう人がいるんだね!」とこちらが怯んでしまうくらい感心したり、驚いたり、とっさに眉をひそめたり・・・・・・。

それくらいわかりやすい反応であれば、多少は傷つくけれど「まだまだレズビアンに対する認識はそういうものなんだな」と納得できるし、相手から距離を取ったり、少しでも考えが変わるようにと言葉を尽くしたりすることができる。

個人的に、それよりも戸惑ってしまうのは、相手に悪意がないことはわかるのに、偏見を感じさせるようなリアクションをされたとき。

まさに、マイクロアグレッションをぶつけられたときだ。

レズビアンに対するマイクロアグレッションの具体例

レズビアンである私が実際に出会った、マイクロアグレッションの一例を挙げてみよう。

・「レズビアンは女湯で何か感じることがあるの?」「(レズビアンであるあなたと)女子更衣室で一緒に着替えたら問題があるかな?」と質問される

・「私にはそういう(レズビアン的な)趣味はないから、ごめんね」「私を(恋愛対象として)狙わないでね?」などと冗談交じりで言われる

・「僕は別にいいと思うよ」「差別されることも多いだろうけど、私は偏見がないから大丈夫」など、まるでレズビアンであることが大問題であるかのような前提で話される

最初に挙げた質問などは「セクシュアルハラスメントだ」と指摘することもできそうだけど、これらの質問をしてくる人のほとんどはまったく悪気がなく、素朴な疑問を抱いているようなのだ。

悪意がないことはわかるからこそ、こちらもつい返答に困ってしまい、とっさに上手く反応することができず、その場の空気がぎこちなくなってしまうことが多い。

「レズビアンは女湯で何を感じるの?」という疑問への私なりの答え

では、レズビアンと「女湯/女子更衣室」問題についての疑問に、私なりの回答を返してみよう。

レズビアンと「女湯/女子更衣室」問題についての答え

あなたがもし、異性に恋愛感情や性愛感情を抱く人なのであれば、想像してみてほしい。

もしも世の中の温泉施設や公衆浴場が「すべて混浴」だとしたら、あなたはそこで異性の体をじろじろ見たり、興奮したりするだろうか?

もちろん、その答えは人それぞれだと思うけれど「異性愛者だからって、公共の場で異性の体を性的な対象として見るわけじゃないよ」と主張する人も多いのではないだろうか。

私の答えも同じ。女湯や女子更衣室で、他人の体をじろじろ見たり、性的に興奮したりしたことは今までの人生で一度もない。

むしろ、レズビアンではない人たちよりも「相手の体を見たら申し訳ない」という気持ちが強い分、あまり周囲を見ないように気をつけている。

個人的に好意(恋愛感情)を抱いている相手であればなおさら、申し訳なさと恥ずかしい気持ちが強いため見ないように努力するし、そうでない相手であれば「そもそも興味がないから、見ない」というのが正直な気持ちだ。

「レズビアンである私」よりも「ひとりの人間としての私」。女湯でもほかの場所でも

ひとくちにレズビアンといっても、全員が女性の体に性的な興奮を感じるわけではないし、誰かれ構わず性愛感情を抱くわけじゃない。

むしろ、多くのレズビアンは幼い頃から「女湯」や「女子更衣室」に出入りしている分、そこでどのように振る舞うべきか、他人の体とどのような距離感で接するべきか、わかっているはずだ。

「女湯/女子更衣室」問題を話題にされると、レズビアンへの偏見よりもむしろ、「(女湯や女子更衣室といった)公共の場で他人の体を性的な対象として見るような人」として認識されたことのほうが、心のダメージとしては大きいかもしれない。

「レズビアンである私」として見るのではなく「ひとりの人間としての私」として見てほしいし、そうすれば「女湯で何を感じるの?」という質問をいきなりぶつけることはないのではないだろうか。

もしも仮に、私が女湯や女子更衣室で性的な興奮を感じる人間だとしたら、そういう場には決して行かない。それはセクシュアリティというより、マナーやモラルの問題だと思う。

マイクロアグレッションにどう応える? レズビアンである私の思い

レズビアンに対する女性スペース以外でのマイクロアグレッション。本当は相手にどのようなことを伝えたいと思ったのか、あらためて自分なりに考えてみた。

「私を恋愛対象として見ないでね」とレズビアンに言う冗談の乱暴さ

これも「女湯/女子更衣室」問題と同じように、身近な例に置きかえて考えてみると、レズビアンである私のモヤモヤが少しでも伝わるだろうか。

たとえば、あなたが「年上の人が好きなんです」と発言したら、その場にいる年上の人たちが「私は、年下は恋愛対象じゃないから、ごめんね」「僕は年上だけど、僕のこと狙わないでね」などと口々に言ってくるような状況を想像してみてほしい。

冗談交じりだとわかっていても、うんざりしてしまうのではないだろうか。
年上であれば誰でもいい、年上であればどんな人でも好きになるのだろうか。

ものすごく親密な友だち同士で「お前なんて全然好みのタイプじゃないよ!」なんて気軽に言い返せるような仲だったら、そういう冗談も(時と場合によっては)アリかもしれない。

ただ、多くのレズビアンは、その手の冗談を(あまり深い仲ではない人からも)何度も言われてきているし、全然おもしろく感じないどころか、心の底からうんざりしている場合が多い。

多くの場合、私は「自分の特徴のひとつとして、単に知っておいてほしい」という気持ちでレズビアンであることをカミングアウトする。

そこには、自分とパートナーの関係をほかの人に説明するためという実際的な理由や、身近にレズビアンが存在するということをできるだけ多くの人に認識してほしい、という思いがある。

「私はレズビアンです」という発言は、冗談のネタではないし、誰かを笑わせようとして言うセリフでもない。

そして、レズビアンだからといって、女性なら誰でも恋愛対象になるというわけではないのだ。

わざわざ「私を狙わないでね」なんて牽制されても、とっさに上手い返しはできないし、結果的に変な空気になってしまう。

「別にあなたは最初から恋愛対象じゃないです」などという冷たい返答はこちらもできればしたくないので、この手のセリフは冗談交じりでも言わないでもらえるとありがたい。

「自分には偏見がないから」という前置きは、いらない

一見親切そうに思えて、地味にダメージを受けるのがこういうリアクションだ。

「私はレズビアンです」というカミングアウトに対して「別にいいと思うよ」などという言い方をされると、レズビアンであることは「誰かに許可をもらわないといけない存在」かのように感じてしまう。

たとえば「私は血液型がB型です」と自己紹介して「ああ、B型なんだ。うん、僕はいいと思うよ」なんて返されたら、たいていの人はムッとするのではないだろうか。

「まるでB型であることが悪いことで、自分がそれを特別にゆるしたかのような口ぶり」に感じるのではないだろうか。

レズビアンとて、同じこと。「いいと思う」などと評価されたら、どうしてもとっさにイヤな気持ちになってしまう。

「私には偏見がないからね」なんて前置きも、いらない。「差別される存在」というレッテルを、わざわざ目の前にいる相手に自分から貼りにいく必要はないのだから。

できることなら、軽やかに「そうなんだね」とあたりまえのように受け止めてくれたらうれしい。「私はりんごではなく、みかんが好きな人間です」と言われたかのように。

私たちはマイクロアグレッションとどう向き合うべきか

マイクロアグレッションと聞くと「なんだか硬い言葉だな」と、敬遠する人が多いかもしれないけれど、日常のなかで何気なく出くわす、ちょっと傷つくような「小さな攻撃」には、誰しも心あたりがあると思う。

ほんのささいな違和感でも、何度も何度もぶつけられると、積もり積もってストレスになるし、とっさにイヤな反応をしてしまい、お互いに悪気がなくても仲がギクシャクしてしまうこともある。

レズビアンである私も、自分にあてはまらない属性に対しては知識が足りなくて、無意識のうちにマイクロアグレッションを相手にぶつけてしまうこともあると思う。

私たちがお互いにマイクロアグレッションを減らしていくためには、できるだけ幅広い知識を身につけること、そのうえで「わかったつもり」にならず謙虚な気持ちで相手に接すること、そして「相手を属性で見ないで、ひとりの人間として相対すること」が必要なのではないだろうか。

私でも難しいと思うし、まだまだ至らない部分はたくさんある。

それでもせめて、自分が実感として知っている「レズビアンに対するマイクロアグレッション」を減らすための行動ができれば、という気持ちでこの記事を執筆してみた。

私たちは傷つけあう生き物だけど、少しでもお互いにやさしくしあえる行動を選んでいきたいと思う。

 

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