INTERVIEW
等身大の「私」を、まだ出会っていない人たちへ届けませんか?
サイト登場者(エルジービーター)募集

生涯のパートナーを見つけたら、両親にレズビアンだと打ち明けたい。【前編】

持ち前の行動力で世界を広げ、セクシュアリティを認め、自分の道を歩んできた小島春菜さん。中学のときにレズビアンだと自認するが、セクシュアリティのことで深く悩んだことはないという。小島さんの目に映るLGBTの未来は明るい。でも、どこかで悩んでいる人がいるなら役に立ちたいと、自身の半生を語ってくれた。

2018/05/15/Tue
Photo : Rina Kawabata Text : Shinichi Hoshino
小島 春菜 / Haruna Ojima

1989年、栃木県生まれ。小学生までは男の子が好きだったが、中学2年の時、女の子に恋をして、レズビアンであることを自認する。現在は、茨城の実家で両親と黒猫と同居。夢は30歳までに生涯のパートナーを見つけること。そして、結婚式を挙げて幸せに暮らすこと。

USERS LOVED LOVE IT! 17
INDEX
01 いい子にしていた幼少期
02 転校先での戸惑い
03 はじめて女の子を好きになる
04 私もLGBTの一人なんだ
05 春菜って女の子が好きなの?
==================(後編)========================
06 セクマイの掲示板で出会った恋人
07 最初で最後のはずだった新宿二丁目
08 「レズ」ではなく「バイ」だとカミングアウトした理由
09 少しでも誰かの役に立てるなら
10 夢は結婚式を挙げること

01いい子にしていた幼少期

お母さんにはよく怒られた

独りっ子だったからだろうか。

小さい頃から、「周囲の顔色を見て動く子」だった。

母親は厳しい人。

教育熱心で、習いごとにもたくさん通わされた。

挨拶や礼儀作法など、日常生活のしつけも厳しかった。

飲み物をこぼして怒られたり、友だちと遊んでいて帰りが遅くなって怒られたり、テストの点数が悪くて怒られたり・・・・・・。

「子どもの頃は、お母さんに怒られてばかりでしたね」

だから、母親は怖い存在。

「お母さんに怒られたくないから、いい子にしようと思ってました」

母親は、常に「100点を取りなさい」「勉強すればいい学校に入れるから」という考えだった。

1対1で勉強を教えてくれることも多かった。

「勉強は好きじゃなかったけど、お母さんに怒られたくないから、嫌々勉強してた感じです(苦笑)」

一方で、父親は母親とは違う考え方。

「嫌々勉強させても仕方ないだろう」と、教育方針の違いなどでお母さんと口論することもあった。

「お父さんにとって私は、結構、年をとってから生まれた子なので、それだけにかわいかったと思いますし、私には甘いお父さんでした」

「だから、私は父っ子でしたね(笑)」

初恋は男の子

習いごとは、習字に英会話、ピアノに公文、夏季限定で水泳教室にも通っていた。

習字はいい先生だったから好きだったが、その他の習いごとは好きになれなかった。

ただ、同じ習いごとをしている友だちと遊ぶのは楽しかった。

おままごともしたし、ドロケイもした。

誰とでも仲よく、男女関係なくみんなで遊んだ。

「ごく普通の、どこにでもいる小学生だったと思います」

小学校低学年のとき、課題図書のなかに男の子が女の子をおんぶするシーンがあった。

「読書感想文に『私も、○○くんにおんぶされたいです!』って書いたんです(笑)」

「今思えば、あれが初恋だったのかなと思います」

恋としてはっきりと自覚があるのは、4年生のときの「ハラダくん」だ。

ハラダくんは、すごくのんびりした、ちょっと変わった男の子。

何人かの友だちで恋バナをしているときに、たまたまハラダくんが好きだという子がいた。

「そのとき、『私も』とは言わず、身を引きました」

「そんなにモテる子じゃなかったんですけど、かぶっちゃったんです(笑)」

高学年の淡いおもいも、ぼんやりと思い出せる。

みんなに慕われていた「オカノくん」が転校した。

「今考えたらおかしなことですけど、そのときはクラス中が泣いたんです(笑)」

「私も家でも泣いて、お母さんに慰められた記憶があります」

「そんなに好きだったわけじゃないんですけどね(笑)」

小学生の頃は、淡い恋だが男の子が好きだった。

02転校先での戸惑い

仲間外れが嫌だった

栃木で生まれ、小学校5年生までは栃木で過ごす。

6年生からは茨城に引っ越した。

「栃木には幼なじみの親友みたいな子がいたんですけど、やっぱり転校で離れるのは嫌でしたね」

その子とはしばらく文通を続けていたが、自然に途絶えてしまった。

「栃木のほうが栄えてたし、田舎に来た感じがして最初は茨城が嫌いでした」

初めての転校で、戸惑うことも多かった。

右も左も分からず、緊張していた転校初日。

クラスの一人の子が「こっち、こっち!おいでよ!」と声をかけてくれた。

「でも、そういうのが逆に引いちゃったんですよね」

「えっ、誰? 急に?みたいな(笑)」

転校先では、「ジャージ」でも嫌な思いをした。

前の小学校ではブルーのジャージ。

「あと1年で卒業だから」と、そのまま使うことにした。

しかし、転校先のジャージは通称「芋ジャー」。

さつまいもみたいな赤紫色のジャージだった。

「芋ジャーはダサいから、私のジャージはみんなに『いいね!』って言われました」

「でも、私だけ仲間外れな気がして、ダサくてもみんなと同じ芋ジャーがよかったんです(笑)」

運動会でも、ちょっとした疎外感を味わう。

転校先の運動会では、全員で地域ならではの盆踊りみたいな踊りを舞うのが恒例だった。

周りのみんなは1年生からずっと踊っているから慣れたもの。

「みんなが踊れてるのに、私は全然踊れなくて・・・・・・。それも嫌でしたね」

担任の先生への嫌悪感

転校先の学校では、担任の音楽の先生も嫌だった。

「先生、頭のてっぺんがハゲていたから、フランシスコ・ザビエルにちなんで「ザビオ」と呼ばれてたんです(笑)」

「何、この先生・・・・・・」と思ったのは、ピアノに合わせて歌う時間。

「私は音楽係で、ピアノを担当していたんですが、あまり上手じゃなかったんです」

「そしたら、『もういい、先生が弾くから!』って、急にザビオに怒られたんです」

体育の着替えのときにも嫌な記憶がある。

「ザビオが『早く着替えろ!』って、体を触ってきて・・・・・・」

「やたら、スキンシップが激しかったんですよね」

担任の先生が大嫌いになった、極めつけのエピソードがある。

茨城に引っ越してからも習字に通っていたが、習字の帰り道で痴漢に遭った。

そのことを母親に話したら、「学校の先生に報告しなさい」と言われて、先生に伝えた。

「そしたら、『小島さんが痴漢に遭いました』って、みんながいるお昼の時間に公表されたんです」

はじめての転校、そして最悪の担任。

小学校最後の1年は、全然楽しく過ごせなかった。

03はじめて女の子を好きになる

アヤちゃんに抱いた恋心

中学は地元の公立に進んだ。

セクシュアリティを語るうえでの大きな出来事は、中2のときに訪れる。

それまではずっと男の子が好きだったのに、急に女の子が気になり始めた。

相手は塾で同じクラスの「アヤちゃん」。

「小さい塾だったので、クラスは私とアヤちゃんの二人だけでした」

「すごくキレイで、すごく大人っぽくて、すごくスタイルのいい子でした」

自分は英語が苦手だったが、彼女は英語が得意。

「英語の問題が解けないとき、いつもアヤちゃんがフォローしてくれたんです」

交換日記もしていた。

共通の趣味は、浜崎あゆみ。

「私もアヤちゃんもあゆが好きだったから、あゆの話でよく盛り上がっていました」

CDを貸し借りしたり、塾がはじまる前にラジカセであゆの曲を流したり。

彼女と過ごす時間は楽しかった。

恋愛対象として好きなんだ

最初は、憧れのような気持ち。

だが、時間とともに、「もしかして、これは・・・・・・」と思うようになった。

鮮明に覚えているのは、塾が終わって帰るときの気持ちだ。

「毎回、お互いの親が迎えに来てくれていました」

「先にアヤちゃんの親が来た日は、塾の2階の窓から帰る姿を見送っていたんです」

彼女は付属の中学に通っていたから、塾でしか会うことができない。

見送るとき、すごく寂しいと思った。

恋愛対象として、彼女が好きだと思ったのだ。

仲のいい友だちでいられたら

同時に、「何でだろう・・・・・・」という気持ちも湧いてきた。

「今までは男の子が好きだったのに、急に女の子を好きになったんです」

「これはおかしい・・・・・・って、思いますよね」

「だから、理由探しっていうか、どうして?って考えるようになりました」

当時は、同性愛のことは知らない。

ネットも、今ほど日常的に使う時代ではなかった。

中学生ながらに「いけないこと」だと思い、誰にも相談できなかった。

「最初は悩むっていうより、自分を否定していました」

「やっぱり、女の子を好きになるって間違ってるんじゃないかって」

でも、彼女が好きな気持ちは変わらない。

「アヤちゃんには、ずっと片思いでした」

ただ、片思いで満足だった。

「想いを伝えて付き合うとか、そういうことは全然考えませんでしたね」

「付き合うだなんてそんな・・・・・・っていう感じでした」

交換日記をして、仲のいい友だちでいられたらいい。

それだけで満足だった。

04私もLGBTの一人なんだ

バイセクシュアルの子との恋

推薦で高校へ進学することが決まり、受験シーズンを前に塾を辞めた。

そこで、初恋は終わった。

高校は地元の共学へ。

もともと女子高だったため、男子の数は少なかった。

高校でも、また女の子を好きになった。

相手の性指向はバイセクシュアルだったが、当時は「バイセクシュアル」が分からない。

「たしか、タチとかネコとか、そういう話をしてたときに、『私、バイなんだ』って、急に言われたんです」

「たぶん、その子は打ち明けたかったんだと思います」

「私は、『あ、そうなんだー』って」

「全然意味が分からなかったんですけど、知ってるフリをしました(笑)」

「後でネットで調べました。バイって何だ?って(笑)」

そのときに、同性愛やバイセクシュアルのことを知った。

友だち以上、恋人未満の関係

バイセクシュアルの子とは、「友だち以上、恋人未満」の関係だった。

「同じクラスで、同じ文芸部に入っていて、ラブレターみたいなものを交換したりしてました」

お互いに好意を持っていて、親密にしていたが、ちゃんと付き合ってはいなかった。

そして、この恋がそれ以上、進展することもなかった。

「その子が、違うクラスの子と付き合いはじめて、3人でいることが多くなっちゃったんです」

「二人は付き合ってるけど、私との間柄は友だち・・・・・・」

「こういう状態はよくないなって思って、自分から身を引いたんです」

「私は彼女が好きだったから、別の子と付き合ったのはショックでしたね・・・・・・」

中学時代、初めて女の子を好きになったとき、「これは間違いだ」と自分を否定した。

高校時代、実らぬ恋に悩みはしたが、自分のセクシュアリティについて悩むことはなかった。

高校に入ってバイセクシュアルの子に出会ったり、LGBTの知識が増えたりして、考えが変わった。

「私は、おかしくないんだなって」
「こういう人たちもいるんだなって」
「そして、私もその一人なんだって」

自分がレズビアンだということは、比較的すんなり受け入れられた。

ただ、周囲に対して女の子が好きだとは口にできなかった。

「高校のときは、恋の話になると『小池徹平が好き!』って言ってました(笑)」

これはもちろん、話をかわすための逃げ口上。

「でもまあ、小池徹平は本当にかわいいなって思ってましたけど(笑)」

同性愛をかたくなに隠していたわけではなかったが、オープンにするのにはためらいがあった。

05春菜って女の子が好きなの?

楽しかったボランティア活動

放課後は友だちとプリクラを撮り、カラオケに行く。

傍から見れば、いたって普通の女子高生だった。

周囲と違っていたのは、休みの日にボランティアをしていたことかもしれない。

中学のときから、ボランティアに興味があった。

「高1のときに説明会に行って、楽しそうだなと思って、地域のボランティアに参加しました」

地域のゴミ拾いやビラ配り、イベントで子どもたちをサポートしたり、宿泊行事で子どもたちを引率したり。

「活動内容はさまざまでしたが、楽しくボランティアをやってましたね」

スクールカウンセラーに人間関係を相談

部活は、文芸部と茶道部を掛け持ちし、茶道部では部長をやっていた。

「私は、ちゃんと茶道を練習したかったんですが、みんなはおしゃべりばかりで・・・・・・」

部長としてどうするべきか悩み、スクールカウンセラーに相談したことがあった。

高2のとき、仲のよかった子と人間関係でトラブルになったことがある。

放課後、突然暴力を振るわれて、担任にも報告が行くようなちょっとした事件になった。

その子からは直接謝罪されたが、心の傷は簡単には癒えない。

「友だちを信じられなくなって、カウンセラーさんに人間関係のことも相談していました」

高校時代は、スクールカウンセラーに相談することが多かった。

相談を通して、「カウンセラー」という仕事に興味を持ったのも高校時代だった。

ただ、セクシュアリティのことを相談したことはなかった。

突然やってきた、初めてのカミングアウト

自分はレズビアンだと自認した高校時代。

周囲には伝えていなかったが、予期せぬタイミングでカミングアウトを迫られた。

「小学校からの親友に突然、『春菜って女の子が好きなの?』って聞かれたんです」

「もう、びっくりですよね(笑)」

ドキっとしたが、ズバリ聞かれたのなら迷いはなかった。

「私は『そうだよ』って答えました」

「彼女も『そうなんだね』って、予想が当たったって感じでした(笑)」

どうして女の子が好きだと気付いたのかは、後から彼女に聞いた。

「中学のときに、その親友と腕を組んだりしてたんです」

「私はそんな意識はなかったんですけど、『あの頃、腕の組み方が親密だったよね』って」

「その子はその当時から、これはもしかして・・・・・・って、思ってたみたいですね(笑)」

高校のときは、隠していたわけではないが、あえて自分からは言わないというスタンスだった。

「あのとき、彼女が聞いてくれたから言えたんだと思います」

「むしろ、聞いてくれてよかったなって」


<<<後編 2018/05/17/Thu>>>
INDEX

06 セクマイの掲示板で出会った恋人
07 最初で最後のはずだった新宿二丁目
08 「レズ」ではなく「バイ」だとカミングアウトした理由
09 少しでも誰かの役に立てるなら
10 夢は結婚式を挙げること

関連記事

array(1) { [0]=> int(27) }