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生涯のパートナーを見つけたら、両親にレズビアンだと打ち明けたい。【後編】

生涯のパートナーを見つけたら、両親にレズビアンだと打ち明けたい。【前編】はこちら

2018/05/17/Thu
Photo : Rina Kawabata Text : Shinichi Hoshino
小島 春菜 / Haruna Ojima

1989年、栃木県生まれ。小学生までは男の子が好きだったが、中学2年の時、女の子に恋をして、レズビアンであることを自認する。現在は、茨城の実家で両親と黒猫と同居。夢は30歳までに生涯のパートナーを見つけること。そして、結婚式を挙げて幸せに暮らすこと。

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INDEX
01 いい子にしていた幼少期
02 転校先での戸惑い
03 はじめて女の子を好きになる
04 私もLGBTの一人なんだ
05 春菜って女の子が好きなの?
==================(後編)========================
06 セクマイの掲示板で出会った恋人
07 最初で最後のはずだった新宿二丁目
08 「レズ」ではなく「バイ」だとカミングアウトした理由
09 少しでも誰かの役に立てるなら
10 夢は結婚式を挙げること

06セクマイの掲示板で出会った恋人

掲示板で広がった交友関係

大学は心理学を専攻。

高校時代、カウンセラーの仕事に興味を持ったことが大きな理由だ。

行動分析学を学ぶ傍ら、アルバイトにも精を出した。

一時期は、水戸の偕楽園とデパートのアルバイトを掛け持ちしていた。

「朝9時から午後4時まで偕楽園でバイトして、夕方5時から夜9時までデパートで働いてました」

アルバイトの掛け持ちは、原宿に通うお金を稼ぐため。

「昔から東京に憧れてましたし、多いときで月に3回くらい原宿に行ってました」

「原宿ではセクマイの友だちに会ったり、当時好きだったロックファッションの買い物をしたりしてましたね」

大学生になって、セクマイ系のネット掲示板を利用するようになった。

「掲示板は、セクマイのことを検索していたら自然にたどり着いた感じです」

同じセクシュアリティの人とつながりたいという気持ちがあった。

「掲示板を利用するようになって、セクマイの人との出会いが増えました」

はじめての交際はFTXの中性さん

掲示板でつながった人を好きになったこともある。

「告白して玉砕、なんてこともありました(笑)」

二十歳で初めてお付き合いをした。

「相手は、掲示板で出会ったFTXの中性さん。その人から、好きだって告白されました」

「私も好きだったから、嬉しかったですね」

二人でよく、水戸にあるゲイバーのイベントに行った。

「そのゲイバーでは、月に1回、ビアンバーに変わる日があったんです」

デートをしたりドライブに行ったり、楽しい恋人生活を送っていた。

しかし、性的な付き合いは苦手だった。

「そういうことに興味がなかったわけじゃないんです(笑)」

「・・・・・・その人とは相性がよくなかったのかもしれませんね」

「今もそうなんですけど、付き合う段階で、私自身が求めてないんじゃないかなって」

「嫌いじゃないけど、なくてもいいと思っちゃうんです」

幸せな時間を過ごしていたが、長続きはしなかった。

「私は学生で向こうは社会人だったから、時間が合わなかったんです」

「同じ茨城だったんですけど、距離もあったので会うのが大変で・・・・・・」

最後は、元カノに奪われる形で終わった。

「付き合ってるときに、元カノに私のことを相談してたらしいんです」

「そしたらメールで、『元カノのことが好きになったから別れてください』って」

返信する気にもなれなかった。

電話もメールも拒否した。

「ペアリングは、偕楽園の隣りの千波湖に投げ捨てました(笑)」

「今は笑顔で話せますけど、その頃は落ち込みましたね」

「初めての恋人でしたから」

07最初で最後のはずだった新宿二丁目

大学生活と恋愛は分けたかった

大学時代、同じグループの一人の女の子に好意を持っていた。

女の子っぽくて、かわいい子だった。

だが、その子に避けられるようになってしまう。

「たぶん、私に好意を持たれてるってことに、気付いたんだと思います」

「授業が終わったらすぐに出て行っちゃったりしたので、拒否られてるのかなーって」

大学のなかで好意を寄せたのは、その子だけだった。

「大学内で恋人を見つけようとは思っていませんでした」

「やっぱり、周りの目を気にしてたっていうのもあると思います」

大学では学生生活を楽しんで、恋愛はセクマイの掲示板で、とはっきり分けて考えていた。

「大学内の友だちって、セクマイかどうか分からないじゃないですか」

「同性愛かもしれないと思っても、それって簡単に聞けませんし」

「分かってる子たちのほうが、ある意味、手っ取り早いっていうか(笑)」

24歳、勇気を出して新宿二丁目へ

新宿二丁目に足を踏み入れたのは、24歳のときだった。

勇気を出して一人で行った。

実はそのとき、ある覚悟を決めていた。

「私、同性愛をあきらめようと思ってたんです」

「1回だけ二丁目に行って、そこでもう終わりにしようと」

「それからはもう、男を好きになろうと」

自分のなかで区切りにしたかった。

「独りっ子だし、やっぱり普通に結婚しないと、っていう気持ちもどこかにありました」

新宿二丁目は「心味」というおでん屋さんに行き、その後、オフ会に行った。

「でも、オフ会に行ったら、楽しくなっちゃったんですよね(笑)」

「オフ会で、『私、二丁目初めてなんですけど、今日で最後にしようと思うんです』って言ったんです」

「そしたら、『えー、もったいないよー!』って言われちゃって」

「それ以来、定期的に二丁目に行くようになっちゃいました(笑)」

最後のはずが、はじまりだった。

新宿二丁目の人は個性が強くてあったかい

二丁目は、昔から一度は行ってみたいと思う憧れの場所だった。

だが、早く行きたいと思ってはいなかった。

「二丁目って、クセが強い人が多いイメージがあって、そういうのに少し抵抗があったんです」

「学生時代は、学生の友だちといたほうが楽しい、って思ってましたし」

社会人になって、実際に二丁目に行ってみて「居心地がいい」と感じた。

「大人になると、なんかそういう ”クセの強さ” も心地よかったんです(笑)」

「個性的な人も多くて楽しいし、何より二丁目の人は、みんなすごくあったかいですよね」

08「レズ」ではなく「バイ」だとカミングアウトした理由

突然、心の不調に襲われる

大学卒業後は、事務の仕事に就いていたが、仕事でストレスを感じることは多かった。

「職場がすごい男社会だったんです」

「女だから何もできないだろうとか、女は何もしなくていいとか・・・・・・」

「新卒で入社したけど何も教えてもらえずに、ほとんど放置されていたような感じでしたね」

そんな環境のなかで、知らず知らずのうちに自分を追い込んでいた。

働きはじめて4年が経つ頃、異変を感じるようになる。

「強迫観念があったり、突然涙が出てきたり、急に不安に襲われたりするようになったんです」

「ひどいときは、雨が降っているなか裸足で外に飛び出して、ぼーっとしていたこともありました」

両親もすぐに気付くくらいの異変だった。

母親が、すぐに病院に連れて行ってくれた。

診断名は「統合失調症」。

「そのまま入院することになって、仕事は辞めました」

メモを見られてカミングアウト

統合失調症を発症してから、ノートにメモを書くようになった。

日記と呼べるものではない。

自分の考えを独り言のように書きなぐった。

もちろん、セクシュアリティのことも書いていた。

ある日、そのメモを母親に見られてしまう。

「両親とご飯を食べていたとき、お母さんに『・・・・・・そういえば、ノート見たんだけど』って言われました」

流れで、セクシュアリティの話になった。

「そのときは『私、バイセクシュアルなんだ』って濁したんです」

レズビアンだと言えなかったのは、その場に父親もいたからだ。

「レズだって言っちゃうと、結婚とか、そういう可能性がなくなっちゃうじゃないですか」

「でも、バイだったら、まだ男性を好きになる可能性があると伝わるかなって」

「お父さんに、娘が結婚できないって思わせたくなかったから、とっさに『バイだ』って」

実は、これより前に父親からお見合いを勧められたことがある。

父親の会社関連のお見合いサイトの資料を渡され、「登録してみたら」と言われた。

「そんなことに構われるのが嫌だったので、『そこまでしなくていいよ』って言ったら、お父さんもすんなり『分かった』って」

それ以来、結婚の話はしてこなかった。

「けど、お父さんは私に結婚してほしいんだと思います」

「独りっ子だから、結婚して、出産して、小島家を守ってほしいみたいな」

母親は、すんなり受け入れてくれた。

娘からの「バイセクシュアルなんだ」という告白に、「そうなんだ」というひと言。

「お母さんは、そういうことに理解のある人だと思います」

「バイだって言いましたけど、もしかしたら、お母さんはレズだって気付いているかもしれませんね」

09少しでも誰かの役に立てるなら

一人でどこでも行ける行動派

「自分でも、行動力があるほうだと思います」

思い立ったらすぐ行動。

一人でどこでも行けるタイプだ。

「ディズニーランドも一人で行くとき、ありますよ(笑)」

一緒に行く友だちもいるし、誰かに合わせるのが嫌なわけでもない。

一人が寂しいと思うときもある。

「でも、独りっ子だから、一人に慣れちゃってるんですよね(笑)」

あえて、一人を選ぶことは少なくない。

もっと女性が表に出てもいい

小学校5年生で好きになった浜崎あゆみ。

20代半ばで初めてライブに行き、さらにのめり込んでいった。

「あゆは、つらいときも私を支えてくれる存在です」

曲も好きだが、彼女の考え方や価値観も好きだ。

浜崎あゆみは、青春時代を新宿二丁目で過ごしていたことを明かしている。

バックダンサーにトランスジェンダーを起用していることにも共感できる。

昔に比べると、LGBTがメディアに取り上げられる機会が増えているのを感じている。

「でも、偏りがあると思うんです」

「メディアに取り上げられるのって、はるな愛さんとか、GENKINGさんとか、KABA.ちゃんさんとか、男性(MTF)の方が多いんですよね」

それに比べると、レズビアンやFTMは少ないイメージがある。

「芸能人も女性がカミングアウトしたり、一般人もメディアに取り上げられたり、もっと女性が表に出てもいいんじゃないかなって」

「今回、インタビューを受けようと思ったのも、どこかで誰かが私のことを見て、少しでもその人の役に立てればと思ったからです」

この考えは、セクシュアリティの範ちゅうにとどまらない。

「私は、総理大臣も女性になってほしいって思ってたりします(笑)」

「男尊女卑って言ったらあれですが、自分の経験からも、日本はまだまだ男社会だなって」

「もっといろんなところに女性目線が入れば、世の中、変わるんじゃないかなと思います」

LGBTの未来は明るい

今思えば、セクシュアリティのことで深く悩んだことはないかもしれない。

たしかに、初めて女の子を好きになったときは自分を否定した。

だが、知識を得ていくなかで「一人じゃない」と思えた。

「もし今、セクシュアリティのことで悩んでいる人がいるなら、『一人じゃないよ』『近くにいるよ』って伝えたいですね」

今は、ネットで何でも調べられる。

情報には偏りもあるが、LGBTの人たちがメディアに出るようにもなった。

「これから、もっとオープンになっていくんじゃないかなって」

「私は、LGBTの未来は明るいと思ってます(笑)」

10夢は結婚式を挙げること

新宿二丁目に行くようになって視野が広がった

つい最近、付き合っていたパートナーと別れた。

しかし、そのことは引きずっていない。

「デートをしたり、友だちと遊んだりで、ここ数ヶ月、家でゆっくりする時間がなかったんです」

「別れて、やっとゆっくりできるわって(笑)」

ただ、根っからの行動派だ。

オンとオフの切り替えはしっかりする。

休みの日は、新宿二丁目のイベントに出かけることも少なくない。

「今日もLGBTERの取材が終わったら、二丁目です(笑)」

「ダイヤモンドカッターっていうビアンバーのバレンタインイベントに行ってきます」

毎月とまではいかないが、新宿二丁目には定期的に足を運ぶ。

「行ける時間があれば行く、っていう感じですかね(笑)」

出会いを求めて行くわけではない。

「EDMとか音楽が好きなので、クラブイベントに行くのは楽しいですよね」

「チップを口に挟んで、ダンサーさんに渡せるんですよ(笑)」

「好きなダンサーさんとチューできそうな距離まで近づいたり、そういうドキドキ感も楽しんでます(笑)」

茨城から新宿は近くはない。

イベントは夜だから、その日のうちに帰るのは難しい。

「二丁目に行ったら、当然、オールです(笑)」

「飲んで、イベントに行って、また飲むみたいな(笑)」

最初で最後にするはずだった新宿二丁目は、今は、たまに行きたくなる場所になった。

「オフ会とか、イベントとか、二丁目に行くようになって世界が広がりましたね」

いつかきちんとカミングアウトを

今、統合失調症の症状は見られない。

病気で苦しんでいたあの日、両親に「バイセクシュアル」だと濁した。

今日まで、それを訂正できていない。

「いつか生涯のパートナーができたら、きちんとカミングアウトしたいと思っています」

二人とも、受け入れてくれると思っている。

「お父さんもお母さんも、そこまで偏見がある人じゃありません」

「『バイセクシュアルなんだ』って言ったときも、おかしいとか言われなかったですし」

「パートナーがいれば安心してくれると思いますし、『幸せになりな』って言ってくれるんじゃないかな」

今は、理想の相手が見つかる日を待っている。

「30歳になるまでに人生のパートナー見つけて、幸せに暮らしていけたらいいなって」

以前、日本のレズビアンカップルが、ハワイで同性婚の結婚式を挙げた記事を読んだ。

「私も、いつか結婚式を挙げたい」

「それが、私の夢です」

あとがき
ハキハキと明るく話す春菜さん。「根はネガティブ」と言うけれど、人がおもう自分も1つの本当かもしれない? だって、つられて笑ってしまうその場を作ってくれたのは春菜さんだから^_^ ■話題は社会における女性について。「女性がもっと輝いて、表に出られる社会を」と。その昔、女性論に触れて “男女は平等だけど、同質ではないなぁ・・・ そもそもみんな違うし” とぼんやり感じたことを思い出した。頂いた手作りのスイーツ、美味しくてホンワリした味わいだった。(編集部)

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