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ままごとでは「ママ役」だった。今はゲイバーのママ【後編】

ままごとでは「ママ役」だった。今はゲイバーのママ【前編】はこちら

2018/08/23/Thu
Photo : Mayumi Suzuki Text : Kamata Waka
岩田 翔夜 / Shouya Iwata

1982年、東京都生まれ。バー経営者。教育熱心な母と、自営業の父の元に生まれる。幼い頃から同性が好きだという自認があったが、周囲の人間関係にも恵まれ、特に大きな悩みを抱えたことはなかった。高校生の頃から長年続けてきたファ―ストフードの勤務経験を活かし、現在は横浜・野毛でゲイバー「BE★ST(ビースト)」を経営。

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INDEX
01 ゲイバーのママ。接客は天職
02 仕事も人間関係も恵まれてきた
03 両親の知らない一面
04 ゲイで「普通」の高校生活
05 恋愛と体の関係
==================(後編)========================
06 「悩まない」
07 仕事と人生
08 メディアに映る「ゲイバー」
09 普通と普通じゃないを分けないで
10 今日も、自分の居場所で

06 「悩まない」

自分の居場所は常にあった

セクシュアリティについて悩むことも、セクシュアリティのせいでいじめを受けたこともなかった。

そして、自分が「普通」と思うことに、疑問を持つこともなかった。

自分は自分。それが自然。
人間関係にも仕事にも恵まれ、特に悩むこともない。

「僕の場合はどこもいじっていないし、なんていうのかな。悩む人って、生まれたときは男だったけど女になりたいとか、そういう人が多いのかなと思います」

「僕は変わりたいとかがない。ただの普通の男子だから。だからあまり悩まないのかな」

「男の子になりたい、女の子になりたいっていう人のほうが悩むのかなって」

「僕みたいな場合、一体、何を悩むのかなって。何を悩むのか、逆に知りたいですね」

幼稚園時代は、おままごとで「ママ」役の男の子として、受け入れられていた。

小学校のころから、自分と似たタイプの男の子がそばにいた。
中学や高校ではゲイであることをオープンにはしなかったが、二丁目に行く友だちがいた。

アルバイトでは認められ、大好きな仕事がある。
自分の居場所は、常にあった。

だから苦しくないし、悩んだこともない。

相手が苦しい場合もあるから

もうこの世にいない父、離れて暮らす弟、一緒に暮らしている母。

家族には一度も、自分がゲイだと言ったことはない。

「人にわざわざ言う必要もないって思います。伝えることで、相手が苦しい場合もあると思うから」

「たぶん、うちの親に言ったらショックじゃないけど、苦しむと思うんです」

相手を苦しませるぐらいなら言わない。

「言えない自分も苦しいかもしれないけれど、言われた相手が苦しむこともありますよね」

「知らなきゃよかった、っていうこともあるわけだから、無理に言う必要もないし」

「彼女できた?」と聞かれるのも、適当に話を合わせるのもそれほど苦ではなく、悩んだことはなかった。

「でも僕が悩まないからといって、悩むのが悪いわけじゃない。なんだろうね・・・・・・」

もし誰かに、「親に言いたいけど言えない。言えないことが苦しい」って相談されたら、どう答えるだろう。

一番大切なのは、自分の気持ちに正直になること。

「隠していることが苦しかったら、ちょっと遠回しに言うのもいいかもしれない。ストレートに言うのではなくて、そういう人が

07仕事と人生

15歳で始めたバイト

「マクドナルドは、やって良かった仕事だと思います」

15歳でマクドナルドのアルバイトを始めた。

ポケベルや携帯電話の代金も、バイト代から自分で払っていた。
高校卒業後も継続。

途中で社員となり、一時ブランクがありつつも、34歳まで働き続けた。

25歳から始めたバーでの勤務と掛け持ちした時期や、「人が足りないから戻ってきてくれ」と言われたこともある。

「始めた理由は、たまたま家の近くにあって、他に思いつかなかったから。だけど、
思いのほか長く続きました」

学生時代のアルバイト。数カ月や、数回で辞めてしまう人だっている。

これほど長く続いたのは、やはり接客が性に合っていたからだと思う。
もしくは、職場運の強さなのかもしれない。

人に教わることや人に教えること、衛生管理、商品の管理など多くのことを学んだ。

当時のスタッフとは、今も交流がある。

男女問わず友だちが多い交友関係の一端は、当時から続いている。

「マクドナルドは、やって良かった仕事だと思います」

15歳でマクドナルドのアルバイトを始めた。

ポケベルや携帯電話の代金も、バイト代から自分で払っていた。
高校卒業後も継続。

途中で社員となり、一時ブランクがありつつも、34歳まで働き続けた。

25歳から始めたバーでの勤務と掛け持ちした時期や、「人が足りないから戻ってきてくれ」と言われたこともある。

「始めた理由は、たまたま家の近くにあって、他に思いつかなかったから。だけど、
思いのほか長く続きました」

学生時代のアルバイト。数カ月や、数回で辞めてしまう人だっている。

これほど長く続いたのは、やはり接客が性に合っていたからだと思う。
もしくは、職場運の強さなのかもしれない。

人に教わることや人に教えること、衛生管理、商品の管理など多くのことを学んだ。

当時のスタッフとは、今も交流がある。

男女問わず友だちが多い交友関係の一端は、当時から続いている。

いろんな人と出会って勉強したい

野毛のバーで働き始めて3年目で、前のオーナーから店を引き継いだ。

前店の常連だったお客さんも、半分ぐらいは今も来てくれている。

「お客さんが第一。長く続くコツとか秘訣とかはないですね」

「結局、ちゃんと接客することが一番だと思います」

自分がされて嫌なことはしない。されてうれしいことをする。

迷うことなく選んだ接客の仕事だから、シンプルに、今日の仕事を一つひとつを大切にこなしていく。

「でもまあ、今は出会いを求める場所がバーとかじゃなくてスマホで出会えちゃうから、飲みに出ない子もいるし」

「昔に比べたらひまですよ。こういう業界はこれからどうなのかなって思っちゃうけどね」

そう言いつつも、やっぱり接客の仕事が好きだ。

はっきりした目標はないが、いつかはフードを出す飲食店も開いてみたい気持ちがある。

「今のお店に、ゲイの方にもっといっぱい来てほしいっていうのはあります。いろんな人と出会って勉強したいし、吸収したいのもあるから」

店はお客さんの居場所であり、出会いの場でもある。
そして、自分にとっては仕事の場所であり、勉強の場。

人生がここにある。

08メディアに映る「ゲイバー」

「特別な人」扱いは違和感

LGBTへの偏見や差別について、個人的にはあまり感じたことがない。

たとえば、とんねるずの「保毛尾田保毛男」の件も、当時周囲で流行っていた記憶がないので、特に何か思ったことはない。

「だけど、最近のメディアでの取り上げられ方については、少し気になることもあるんです」

メディアがLGBTを取り上げたことによって、認知は広がった。
一方で、LGBTが「特別な人」扱いされることには、違和感がある。

だって生まれたときから、自分は「ただの普通の男子」だったから。

「メディアで取り上げられて、受け入れられるようになってきたと感じます。昔と比べたらね」

「でもやっぱり差別する人はいるし、気持ち悪いとか言う人もいる。そういう人に、普通の人間だよっていうのを伝えてほしい」

「一般から外れてると思っている人たちへの差別をなくしてほしい」

「LGBTの良さとかっていうよりも、同じ人間だよ、同じ人だよっていうのをわかってほしいなと思います」

ドアが開いたら「キャ~~!」のイメージ

メディアが「ゲイ」や「ゲイバー」を取り上げることで、先入観を持って自分の店に来る人もいる。

「メディアで見たままのイメージで来る人も、やっぱりいるんです」

「ドアが開いたら『キャ~~!』って、テンションの高いお姉さんたちが出迎えるような。そういうイメージで来る人も前にいましたね」

そういうときは、すべての店がそうとは限らないよと話す。

「うちは普通の接客をするお店だから、そういうのをイメージすると期待外れかもしれない(苦笑)」

メディアでのイメージは強い。

「テレビでは面白く演じていたり、オネエキャラでテレビに出る芸能人だって、いろんな意味で普通の人。同じだよって思いますね」

09普通と普通じゃないを分けないで

メディアはちょっと、騒ぎ過ぎ

ままごとでママ役を選ぶことも、男の子が好きなことも、二丁目に通うことも、自分にとってはすべてが普通。

自然ななりゆきだった。

けれど、テレビはマジョリティの目線から「普通」とそうでない人を切り分ける。
そして一部のマイノリティをカメラの前に立たせて、「普通ではない」ように脚色する。

悩んでるわけじゃない。
死にたいわけじゃない。
普通に楽しく生きている。
そんなマイノリティもいる。

同じ人間だから、「普通」と「普通じゃない」を分けないでほしい。

「メディアはちょっと騒ぎ過ぎですよね、と思います」

自分を形容するときに、繰り返し登場する「普通」。

込められた思いは強い。

普通の自分

「周りからどんな人と思われているかって? どうだろうね(笑)」

あまり怒らない。
進んで自分から自分を語ることはしない。
だけど人と騒ぐのは好きで、接客業も好き。

選んできた道の中で仕事や人間関係に自然と恵まれたことは、「普通」からしたら不思議なのかもしれない。

「普通と言いつつ、これまで経験したいろいろなことは、他の人たちにとっては普通じゃないのかもしれないですね」

「でも、これが普通の自分だから、本当に」

10今日も、自分の居場所で

淡々と現状維持

弟が家を出たから、母親の面倒をみるのは自分しかいない。

「・・・・・・父のことはどうでしょう。離婚前も離婚後も、あまり思い出がないのでわからないですね」

両親が離婚したときも、さみしいという感情はなかった。
父に対してはずっと、好きではないけれど嫌いでもない。

自分が家族をつくることについては考えていない。
実は、恋人についてもあまり期待をしていない。

「なんだろね、恋愛とか考えてないです。今すぐ恋人がほしいとかないし。できればいいかなぐらいなので」

「あんまりほしいって考えちゃうと、できなかったときにダメージ大きいし(笑)」

淡々と店を続けていくこと。現状維持。

今が楽しいから、変わりたいとも思っていない。

多くを求めない。

飲食店を見てまわるために、全国を巡るのは好きだ。
これまで訪れたのは、北海道、仙台、名古屋、大阪、沖縄など。

去年少し付き合った恋人は沖縄出身だった。
今年は九州に行きたいと思っている。

「話を聞くぐらいなら」

「仕事にだけは恵まれたと思っています。接客が好きだから、結局続いてますね」

好きな仕事に恵まれて、運が良かった。
仕事に関する人間関係についても恵まれていたと思う。

高校時代から続けた仕事も、バーの仕事も、自分でバーの経営を始めてからも、仕事を学べる環境があり、仕事を教える相手がいた。

仕事の後も、一緒に遊ぶ付き合いがあった。ときには好きになってくれた異性もいた。

自分の居場所を作ってくれたのは、一緒に働いてきた人たちだったのかもしれない。

だからこれからも、店にたくさんの人が訪れてほしい。

「店を大きくしたいとは思わないけれど、もっとゲイのお客さんにたくさん来てほしいですね。ゲイバーはたくさんあるけど、自分の店はここ」

「話を聞くぐらいならできますよ」

あとがき
もしあなたが「なにをしても、居心地が悪い」というなら、そこは “私” のいる場所でないのかもしれない。翔夜さんの話しには、それぞれの時代に築いた心地のよい場所があった■「何を悩むんだろう・・・」。セクシュアリティに関して発した翔夜さんの言葉は、自然で、LGBTERの取材ではあまり聞くことのないものだった■たどりつく場所は、偶然も重なる。大切につむぐ人との交わりもある。いずれも “ここしかない” は、想像か、空想か、妄想か。(編集部)

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