6月はLGBTQ+の権利向上を目指すプライド月間。アメリカのクィアバーにおける抵抗運動であるストーンウォール事件が起きた6月27日にちなみ、国際的にさまざまなクィアイベントが開催されます。日本でもパレードや上映会、パーティーなどが目白押しでした。
プライド月間!! 東京プライドと西湘クィアプライド、2つのパレードに参加してきた
わたしは、東京プライドと西湘クィアプライドに参加してきました。
プライド月間に開催された東京プライド
東京プライドは、昨年からプライド月間の6月に開催されています。
今年の東京プライドの主なイベントは
・6月4日~6月28日 Queer Exhibition
・6月6日~6月7日 プライドフェスティバル
・6月7日 プライドパレード、プライドナイト
・6月13日~6月14日 ユースプライド
・6月20日 Human Rights Conference
わたしは、プライドフェスティバルに加え、プライドパレード、14日のユースプライドに参加してきました。友人たちとQueer Exhibition にも足を運びました。
プライドフェスティバルでは、代々木公園に並んだNPOや企業、大学のブースをまわったり、プライドパレードではノンバイナリーフラッグを持って、表参道や渋谷の街を歩いたり、ユースプライドでは、クィアユースのトークショーを聞いたり、Queer Exhibitionでは、クィアなアーティストの作品を楽しんだり。
今年のプライド月間は、わたしにとっても盛りだくさんの1ヶ月でした。
プライド月間の開催4回目の西湘クィアプライド
西湘クィアプライドは、神奈川県の真鶴町(まなづるまち)で行われるプライド月間のイベント。
今年は、6月28日に西湘クィアプライドパレードとアフターパーティーが開催されました。
西湘クィアプライドは、真鶴町民のLGBTQ+当事者が4年前に立ち上げ、2023年に初めてパレードを実施したそうです。
わたしは神奈川県民であるということもあり、ずっと気になっていたのですが、パレードが朝11時半からと比較的早いため、今回が初めての参加になりました。
パレードを歩いたあとにアフターパーティーにも参加し、こちらもとても充実したプライド月間の1日になりました。
東京プライドは企業がたくさん? プライド月間に気づくこと
2つのプライドに参加してみて、印象がだいぶ違ったように思います。
企業のブースの多い東京プライド

東京プライドフェスティバルとプライドパレードに足を運び、一番印象に残っているのが、企業のブースや人の多さです。
プライドフェスティバルでは、NPOや大学、企業のブース、飲食のための屋台、パフォーマンスステージが、代々木公園にぎっしり並んでいます。
そして6月7日は、プライドパレードも同時に行われていたため、参加したいグループを決め、歩くこともできました。
代々木公園内のブースを歩いてまわっていると、さまざまな企業がブースでステッカーや試供品を配っていて、そこに長い列ができていたり。
パレードでも、ブースを出展している企業の人たちがまとまって参加していたり。
東京プライドでは、企業の存在感が大きいイメージがありました。
東京プライドパレードでは企業のかけ声が起こる場面も
わたしは当日、東京プライドフェスティバルで飲食やステージを楽しみ、パートナーと一緒に「東京レインボープライド:Trans Rights」のグループでパレードを歩くことにしました。
パレードに参加する場合は、代々木公園から出発する少し前が集合時間になっています。
わたしたちは早めに列に並び、各グループが次々と代々木公園から出ていくのを見ていました。
そんなとき、近くのグループから、大きな声でかけ声が。
最初は、クィア系のかけ声かなと思って聞いていましたが、どうもそのかけ声は企業名のよう。
おそらくその企業で働いている人たちがパレードに参加するために集まって、自分たちの企業名を叫んでいるのでしょうが、プライド月間が、LGBTQ+の権利向上のためのものと考えると、クィアの権利や可視性についてのチャンツではなく、企業名を宣伝(?)するようなかけ声に、少し白けた気持ちになりました。
東京プライドパレードを歩いていると、あるお店から・・・
代々木公園をようやく出発し、表参道や渋谷の街の車道を歩いていくと、歩道でプライドフラッグを振っている人がたくさんいました。
かれらの「ハッピー・プライド!」という声かけに、パレードを歩いている人が言葉を返している場面もあり、本当にたくさんの人がこのパレードに関わっていること、いつもは見えなくてもクィアやアライはこんなにたくさんいることに、少しジーンときました。
パレードの道のりの半分くらいになったとき、前の方で歓声が上がったので目を向けると、ディズニー・ストアの前、スタッフとおぼしき人たちが大きなプライドフラッグを掲げて、手を振っていました。
わたしはうっすらうれしい気持ちがこみ上げる一方で、複雑な思いにもかられました。
というのもディズニーは、2024年以降、東京プライドのスポンサーから外れていたからです。
ディズニーがスポンサーを下りた理由ははっきりしていませんが、2024年に、パレスチナに連帯するクィアたちが、東京プライドのスポンサーから、ディズニーを含めたイスラエル支援企業を外すことを求める運動を展開したことや、ディズニーが多様性・公平性・包摂性(DEI)の取り組みから手を引いていることが、関係しているのかもしれません。
そんな「LGBTQ+の権利向上に逆行している」ようにも見えるディズニーが、プライドフラッグを掲げて、わたしたちに手を振っている。
それだけを見たら「ディズニーってLGBTQ+フレンドリーなんだ!」と思ってしまう人もいそうです。
今年はほかにも、辺野古基地建設を行っている企業「大林組」が東京プライドの協賛をすることで、基地建設の加害性をうすめようとしている、として沖縄出身のクィアを中心に、抵抗運動が行われていました。
東京プライドがこのように、ディズニーや大林組といった「企業のイメージアップに利用されてしまっている」印象もありました。
西湘クィアプライドは、地域に根差したプライドパレード
企業の存在を強く感じた東京プライドと比べて、西湘クィアパレードは地域の温かさを強く感じました。
真鶴のお店にプライドフラッグやトランスジェンダーフラッグ

西湘クィアプライドパレードの参加者は、朝11時、真鶴駅に集合。
プラカードやフラッグを用意しながら、西湘プライドの常連なのか、顔見知りの人たちがおしゃべりしている姿もありました。
パートナーが何も持っていないのを見て、スタッフの人がプライドフラッグを貸してくれたり。
高揚した雰囲気のなかで、パレードが始まりました。
まず駅から歩き始めて驚いたのが、地元のお店に飾られているプライドフラッグやトランスジェンダーフラッグの多さです。
渋谷や表参道でも、もちろんプライドフラッグを大企業が飾っているのを目にしていましたが、トランスジェンダーフラッグを見かけることは、すごく少なかったように思います。
一方、西湘クィアプライドでは、プライドフラッグだけでなく、トランスジェンダーフラッグやプログレスフラッグ(プライドフラッグとトランスジェンダーフラッグを合わせたデザインのもの)もいくつか掲げられていて、トランスジェンダーの傘(アンブレラ)の中にいるノンバイナリーとしては、とても勇気づけられました。
わたしたちを出迎えるように、地元のお店が飾ってくれていることで、地域コミュニティにクィアやトランスが受け入れられていることを強く実感できたのです。
地元の人もフラッグを振って声をかけてくれる西湘クィアプライドパレード
驚いたのは、フラッグの数や種類の多さだけではありません。
パレードしているわたしたちを、お店の前で待ち構えてくれている地域の人たちが大勢いたのです。
小さなフラッグを振りながら笑顔を向けてくれたり
三味線のような楽器を持って道路に出てきて演奏してくれたり
「おしゃれねえ!」と声をかけてくれたり
雨だったにもかかわらず、たくさんの真鶴町民の方たちが、道に出てきてわたしたちと交流していて、町全体でクィアパレードを応援してくれているのが伝わり、胸が熱くなりました。
楽しそうにフラッグを振る地域の人たちに呼応するように、わたしたちも、どこからか始まった「We are here! We are queer!(わたしたちはここにいる!わたしたちはクィアだ!)」のかけ声に合わせて声を上げたり。
クィアな仲間がいて、クィアなわたしたちにもこの街に居場所がある。
そんな感覚になったのは、わたしにとって初めてのことでした。
西湘クィアプライドのアフターパーティーは地元のジムで
西湘クィアプライドパレードが終わり、お昼休憩をはさんで向かったのは、アフターパーティーです。
足を踏み入れたのは、真鶴町の一角にあるフィットネスジム。
ジムに音楽機材などが持ち込まれ、人工芝生の上にビニールシートがひかれ、新しいスタイルのパーティー会場ができあがっていました。
わたし自身は、あまりパーティーなどで踊るのがすきではないのですが、このパーティーは、ジムで開催されているということもあり
ボードゲームや子ども用のダーツゲームがあって遊べたり
ぬいぐるみが置いてあって癒されたり
芝生に寝っ転がれたり
いつもとは違った雰囲気でパーティーを楽しむことができました。
普段は地域でジムとして使われている場所が、パーティー会場へと様変わりし、クィアにとって楽しみ、社交し、ゆっくりできる場所になっている・・・・・・。
クィアが主役として楽しめるだけでなく、地域の人のサポートも感じられる場になっていて、西湘クィアプライドに「また来たい!」と強く思いました。
せめてプライド月間は、クィアのためになっていると願って

LGBTQ+に関係するイベントが多く開催される6月、プライド月間。
わたし自身、さまざまなイベントへの参加を通して、企業の存在感にもやもやしつつも、パワーをもらえた1ヶ月になったように思います。
大都会・東京の群衆のなかで
顔が見える神奈川県・真鶴町のコミュニティのなかで
あるいは、この世のどこかで
せめてプライド月間は、1人でも多くのクィアが「明日もどうにか生きていけるかも」と、感じられていたらいいなと思うばかりです。
■参考情報
・Tokyo Pride 2026公式サイト
・幸せをつくる真鶴時間「「西湘クィアプライド 2026」を開催します!」
・TBS CROSS DIG with Bloomberg「ディズニーもDEI見直し、管理職の報酬決定基準から多様性除外」
・Disney「「東京レインボープライド2024」にシルバースポンサーとして協賛」
・大林組のピンクウォッシングに抗議するクィア・ウチナーンチュの会 インスタグラム「大林組のTokyo Pride 2026協賛に抗議します」
・Feminism and Lesbian Art working group 「東京レインボープライド2024へのイスラエル大使館とBDS対象企業からの協賛についての公開質問状 〜植民地主義と民族浄化・ジェノサイド共犯と決別するために〜」
・HUFFPOST「東京プライド、今年のスポンサーにBDS対象なし。イスラエル支援企業のボイコット呼びかけ団体からは「非常に勇気のあるもの」と歓迎の声」


