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Writer/遥

「レズビアン=男性嫌い」は本当?

「レズビアンは男性が嫌いなの?」そんな問いを、男性から受けたことがあります。レズビアンであり、同性パートナーと暮らす私の実感として、恋愛対象と好悪は別の軸にあります。レズビアンと男性の関係性はもっと多様で、感じ方も人それぞれです。

なぜ「レズビアン=男性嫌い」というイメージが生まれるのか

異性を恋愛対象にしないというだけで「嫌っているのでは」と受け取られてしまうことがあります。そこには、異性愛が「ふつう」とされる社会で生まれる思い込みや、カミングアウトされた側の戸惑いが重なっていると考えています。

異性愛前提の社会で起きる「誤読」

異性愛が前提になっている社会では、異性を恋愛対象にしない理由を「嫌いだから」と、つい短絡的に理解してしまう人もいます。

しかし、恋愛的指向や性的指向と、男性への好悪は本来まったく別の軸です。

私自身は、物心ついたときから同性に惹かれていました。まだ「男の子」「女の子」の区別がはっきりする前から、自然と女の子に心が向いていたのです。

そこに理由やきっかけはなく、ただ「そうだった」というだけです。

しかし、異性愛が「ふつう」とされる環境では、この理由のなさが理解されにくいと感じています。

女性が好きだと伝えると「じゃあ男性が嫌いなの?」と説明を求められ、恋愛指向が好悪の問題に置き換えられてしまうことがあります。

もちろん、すべての異性愛者がそうした決めつけをするわけではありませんが、異性愛前提の社会ではこの誤読が生まれやすい土壌があるように感じるのです。

カミングアウトされた男性が否定された感覚になる理由

最近、周囲のレズビアンの友人と話していて、レズビアンだとカミングアウトすると「(男性である自分を)否定された」と感じる男性が一定数いることがわかりました。

私は話を聞いていて、この背景には、いくつかの心理的な要因があると思いました。

まず、一部の男性にとって「恋愛対象になり得るかどうか」は、自分の魅力や男性性の評価と結びつきやすいものです。

だからこそ「私はレズビアンです=あなたを含む男性は恋愛対象ではありません」という告白は、まるで自分という存在そのものを拒絶されたような気持ちになることがあるのでしょう。

また「女性はふつう男性を好きになるものだ」という異性愛規範が強い男性の場合は「まだ魅力的な男性に出会っていないだけだ」「いい男を知らないから女性が好きだといっているのだ」と考えやすくなります。

そこから「魅力的ではない男性としか出会っていないのだろう」「だから男性が嫌いなのだろう」という誤った推論に至ることも。

こうした反応は、長く信じてきた価値観が揺らぐ不安や戸惑いとも受け取れます。(関連記事はこちらNOISE:カミングアウトしたら、どう返してほしい? レズビアン当事者の目線で語る「ちょうどいいリアクション」

レズビアンの私が実際に男性から受けた質問と、その場の空気

男性から「レズビアンって男性が嫌いなの?」と聞かれたのは数回だけですが、どれも印象に残っています。

質問してきた男性のうちのひとりは、あっけらかんとしていて、ただ「見当がついていない」という様子でした。本当に悪意も探りもなく、ただ疑問として口にしただけのようでした。

私はその男性を人として信頼していたのでカミングアウトしたのですが、彼はLGBTに関する知識がほとんどなく、ただ知らないだけだったのだと思います。私は「男性が嫌いだからではない」と説明し、彼も素直に受け取ってくれました。

正直、無知ゆえに距離を置くという選択肢もありました。しかし、そのときはそれだけで関係を切るのはもったいないと感じたのです。

誰しも無自覚な偏見や差別心を抱えてしまうことがあるし、それは私自身も例外ではありません。

もちろん、だからといって傷つける発言が許されるわけではありませんが、対話を重ねることで変わっていく関係もあるはずだと、個人的には思っています。(関連記事はこちらNOISE:カミングアウトの「どこまで話すか」問題。LGBT当事者の友達とノンケの友達に伝えたこと

レズビアンと男性との関係性はもっと多様で「ふつう」

レズビアンと男性の関係は、一概には語れません。友人として自然に関わる人もいれば、過去の経験から距離を置く人もいるなど、そのあり方は人によってさまざまです。

レズビアンの私もパートナーも男性の友人がいる

私にもパートナーにも、男性の友人がいます。私の場合は、一緒に作業通話をする男性の友人もいれば、仕事の相談をするメンター的な男性の友人もいます。

私たちは性別で交友関係を選り分けることはしていなくて、基本的に「合う人は合うし、合わない人は合わない」というスタンスで交友関係を築いています。

もちろん、交友関係の基準は人それぞれの自由なので、異性と距離を置きたい人がいても自然だと思います。

私個人としては性別よりも、その人が誠実かどうか、安心して話せるかどうかのほうがずっと大事だと考えています。

恋愛対象ではないだけで、人間関係の可能性まで閉ざす必要はない。そんな感覚で、自然に男性の友人たちと関係を築いています。(関連記事はこちらNOISE:レズビアンの私と男友達。フラットな関係を保つための距離感

男性と交際した経験があるレズビアンの友人が語る「気づき」

私のレズビアンの友人のなかには、男性とつき合った経験がある人がいます。

彼女は当時、自分のセクシュアリティをはっきり自覚していなかったこともあり「周りがみんな異性とつき合うから」という流れで男性と交際したそうです。

彼は優しく、関係自体に大きな問題はなかったものの、恋愛感情だけがどうしても湧かない。その違和感を抱え続けるうちに「自分は女性に惹かれるのだ」と気づいたといいます。

彼女は、その経験を通して「自分がどんな相手に心地よさを感じるのか」がより鮮明になったと語っていました。男性との関係が悪かったわけでも、男性が嫌いになったわけでもなく、ただ自分の指向がどのような相手に向いているのかが見えたというだけ。

この友人の話を聞くたびに、レズビアンと男性の関係性はひとつの型にはおさまらず、そこにある気づきや学びも人それぞれなのだと実感します。

「男性が苦手」という感覚とセクシュアリティはイコールではない

「男性が苦手」という感覚は、しばしばセクシュアリティと混同されがちです。もちろん、特定の性別への苦手意識は、その人の恋愛観やパートナーシップに多少の影響はあるものの、セクシュアリティに直結するわけではないと考えています。

男性が苦手なレズビアンもいるが、それは個人の経験による

男性が苦手だと感じるレズビアンもいますが、その理由はあくまで個人の経験に根ざしたものであり、レズビアン全体の特徴として語れるものではありません。

たとえば、過去の人間関係で緊張しやすかったり、男性とのコミュニケーションがどうしても疲れてしまったり・・・・・・そういった感覚は人それぞれで、恋愛指向とは別軸で存在するものです。

もし「男性が苦手だから女性を好きになる」という仕組みが成り立つのなら、レズビアンの人口はもっと多くなっているはずです。実際には、男性への苦手意識が恋愛指向を決定することはほとんどありません。

ただ、個人的には、その苦手意識が「自分はどんな相手といると安心できるのか」を見つめるきっかけになることは、あると思っています。

その小さな違和感を手がかりに、自分のセクシュアリティやパートナーシップを築きたい相手に気づく人もいるでしょう。

とはいえ、男性への苦手意識はあくまで「その人が歩んできた経験」によるものであり、レズビアンである直接的な理由にはなりません。

「失礼な男性に出会った経験」が苦手意識を生むこともある

レズビアンの友人のなかには、特定の男性と関わった経験がきっかけで、男性に対してうっすら苦手意識を持つようになった人もいます。

男尊女卑的な価値観が垣間見える発言を耳にしたり、性的な冗談をいわれたりするなど、そうした出来事が重なり、男性と関わるときは少し身がまえてしまうようになったのだそうです。

ただ、彼女たちが語るのは「あのときのあの人の態度がしんどかった」という、非常に個人的で具体的な体験です。

つまり、苦手意識はあくまで特定の相手との関わりのなかで学習された反応に近いものです。それは恋愛指向とはまったく別の次元で働く、ごく自然な反応です。

男性全体をひとまとめにして嫌悪しているわけではなく「過去と同じような態度を取られるのでは」という警戒心が、先に立ってしまっているのでしょう。

こうした事例も踏まえると、レズビアンの男性への苦手意識は「セクシュアリティの本質」ではなく「個人が人間関係で負った傷」であることがわかります。

同性とパートナーシップを結ぶ女性もいる

私にはアロマンティック・アセクシュアル(他者に恋愛感情・性的欲求を抱かないセクシュアリティ)の友人がいるのですが、彼女は「一緒に暮らすなら女性がいい」らしく、同性の友人と生活をともにしています。

そこには男性への嫌悪感や苦手意識はまったくなく、ただ自分のライフスタイルに合う相手を選んだ結果として「パートナーが女性になった」というだけのことです。

恋愛ではなくても、安心して暮らせる相手とパートナーシップを結ぶことは、彼女にとって自然で心地よい生き方なのだと思います。

こうした関係性は、恋愛感情の有無だけでは語れない、多様なパートナーシップのひとつとして存在しています。

レズビアンは男性を否定したいわけではない

レズビアンが女性に惹かれることと、男性に対する苦手意識は別の軸にあります。

異性愛者が異性に惹かれるからといって同性が嫌いなわけではないように、レズビアンも女性が好きだからといって男性そのものを否定しているわけではありません。

レズビアンのなかには、男性と良好な関係を築いている人もいます。

今回のテーマに限らず「レズビアンはこういうもの」とひとまとめにせず、人それぞれの感じ方や経験の違いに目を向けていただけたらうれしいです。

 

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