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Writer/あさか

春から新学期をむかえたクィア・ノンバイナリーの悩み

この春から大学生になった人、進級した人、新しい場所で生活を始める人。新学期は新しい出会いに胸を躍らせる季節であり、クィアにとっては困難なことが多い印象もあります。わたしは今年、無事に大学で進級しましたが、新学期が始まる度に胃が痛くなることも。中高生や年度初めの社会人にも通じる話かもしれません。

新学期の自己紹介どうする? クィアやノンバイナリーならではの難しさ

年度初めのクィアにとっての難関の一つ。それは自己紹介です。

新学期の自己紹介でどこまで話す? カミングアウトになっちゃうときも

わたしは、自己紹介がそもそもとても苦手です。
性格的な面もあるかもしれませんが、クィアであることも大いに関係していると思います。

新学期、大学の自己紹介のテンプレは

・名前
・学年、学部
・やっている研究
・入っているサークル

です。

わたしは大学の研究でレズビアンに関係する調査をしており、所属しているサークルも、クィアサークルしかありません。

そのため、研究とサークルを正直に告げると、ほぼカミングアウトです。

わたし自身は、オープンにしていたほうが、ほかのクィアとつながれると思うので、新学期の自己紹介でできるだけ研究やサークルを正直に話すことが多いです。

でも、ほとんどカミングアウトだと思うと、うっすらと緊張感がただよいます。

トランスジェンダーやノンバイナリーの名前。カミングアウトの強要に

研究やサークル以外にも、新学期の自己紹介のなかで、ほぼカミングアウトになってしまうときもある情報。

それは、名前です。

トランスジェンダーやノンバイナリーにとって、名前の問題は大きく立ちはだかる壁。

わたしの大学では、通称名は使えないので、いくら社会的に性別移行していても、戸籍の名前しか登録できません。そのため、出欠をとるための名簿などにも、戸籍名が表示されてしまうことになります。

たとえばトランスジェンダー女性として生活していて、ホルモン治療などにより声や見た目などでは、普段は女性としてとおっているけれど、でも、戸籍は男性のままで「男性的な」名前の場合があります。

彼女の戸籍上の名前がクラス全体の名簿などに表示されてしまうと「なんで男性名なんだろう」「トランスジェンダーなのかな」などと、憶測されてしまうことにつながります。

特に新学期は
名簿を使って顔と名前を一致させようとしたり
なにかにつけ「正式な」登録が必要だったり

名前が表に出てしまう機会が少なくありません。これは結果的に、カミングアウトの強要なってしまいます。

通称名が使えない場所では、戸籍の名前がさらされないように注意してほしいです。

トランスジェンダーやノンバイナリーの名前。ミスジェンダリングに

ノンバイナリーにとっても、自己紹介における名前の問題は避けて通れないと感じます。

たとえば、わたしはノンバイナリーですが、戸籍上の名前は「女の子っぽい」名前。
でも語感や漢字が気に入っているので、改名するつもりはありません。

しかし、名前から、勝手に「女性だ」と決めつけられ「○○ちゃん」と呼ばれてしまうことがほとんどなのです。

このような事態を避けるため、わたしはできるだけ自己紹介のときに「○○(名前)です。○○って呼び捨てか、○○さんでお願いします」と言うようにしています。

日本語だと「ちゃん」「くん」でジェンダー分けをされることが多くあります。

自己紹介の項目の1つに「どういう敬称(ちゃん・くん・さん)で呼んでほしいか」を付け加えるだけで、トランスジェンダーやノンバイナリーにとって、より安全な場になる気がします。

新学期の新歓。クィアやノンバイナリーのもやもや

自己紹介もしんどいけれど、ほかにも新学期にちょっぴり大変だと感じるのが、新入生歓迎会(新歓)です。

「女子マネになりませんか?」。ノンバイナリーへのミスジェンダリング

わたしの大学では、4月がサークルの新入生歓迎会の時期として設定されています。

さまざまなサークルが各教室でブースを出し、新入生が興味のあるサークルの教室をまわって活動の様子を聞いたり、サークル入会を相談したりできる「新歓日」などもあります。

「新歓日」は特別に、各サークルがキャンパスでビラを配っていいことになっています。

そのため、建物の外や食堂近くなどで、さまざまなサークルの既存生が、新入生めがけてビラを配っているところを見かけます。

そんなときにノンバイナリーとして怖いのが「女子マネになりませんか?」という呼びかけ。

わたし自身も、この「新歓日」に「女子マネになりませんか?」と言われたことが何度もあります。

そもそも、プレイヤーをサポートするマネージャーとして、男性やノンバイナリーは募集せず、女性だけをターゲットに絞っていることころにももやもやしますし、それに加えてミスジェンダリングをされると、怒りを通りこして、うんざりです。

正直、見た目だけで判断し、わざわざ「女子マネ」と言う必要はないはずです。「マネージャーしませんか?」だけで充分だと思います。

どうしてもマネージャーは女性でなければならないのなら、応募資格のところに「女性」と書くだけで、よいのではないでしょうか・・・・・・。

新歓ご飯会で盛り上がる? クィアがのりづらい恋バナ

4月の新歓時期は、新入生をサークルに勧誘するため、ご飯会が多くなる時期でもあります。

わたしは1年生のとき、サークルを3つくらい見て、どこに入ろうか考えていたのですが、どのサークルでも、先輩たちと親睦を深めるためのご飯会がありました。

そこでよく話題に上がるのが、なぜか恋バナでした。

新入生は、ほとんどが先輩たちと初対面なので、共通の話題を見つけるのが難しいのかもしれません。

恋バナは「仲を深める」話題だと思っているのか、恋愛にまつわる話題が頻繁に出てくるのです。

そして、恋バナは、ほとんどいつも「シスジェンダー・ヘテロセクシュアル(異性愛)」前提。

クィアなわたしを「女性」だと勝手に判断したうえで「彼氏いるの?」と聞かれたことも何度もありました。

正直、そういう問いを投げかけられた時点で、そのサークルに入る気は失せましたし、周りの先輩などが「そういうこと聞くなよ」など言ってくれたことも皆無で、失望しました。

結果的にわたしは、それらのサークル3つとも、正式入会をするのをやめてしまいました。

新歓時期は、クィアに限らず差別やハラスメントが発生しやすい?

クィアとして、新歓時期に不安を覚える理由は、ほかにもあります。

既存生と新入生の間には、学年・年齢の違いだけでなく、既に大学やサークルのことを知っている先輩と、まったく知らない後輩という権力差があります。

既存生・新入生の間の差は、新入生が大学やサークルに慣れていくにつれて、やわらいでいくものだと思いますが、新歓時期は特にその差が大きいように感じます。

そのため、既存生から新入生に差別やハラスメントが起こっても、新入生が言い出せなかったり、そもそも暴力と気づけなかったりすることも。

わたしも、当時4年生の先輩に「彼氏いるの?」と言われたときは「パートナーいるの?って聞いてください」「勝手に異性愛者だって決めつけないでください」などと、はっきり言うことはできませんでした。

むしろ、一瞬ですが「大学ってそういうものか」と思ってしまったのです。その発言が問題なのではなく「わたしが大学に期待しすぎていた」「パートナーっていう言葉が普及していないのかも」という考えが頭をよぎりました。

クィアな友人たちに話してようやく「この間の発言はひどかった」「おかしいと指摘してもよい発言だった」と考え直せました。

新学期にクィアサークルをのぞいたほうがいい理由

新学期にクィアサークルで愚痴るわけ

新学期、しんどいことや「自分が悪いのかな」と思ってしまうことは、ほかにもきっとたくさんあるでしょう。

そんなときにやはり、クィア同士で集まって、愚痴り、ときに対処法をシェアするのは、とても大事だと思います。

問題を問題としてとらえ、似たようなことで悩んでいるのは自分ひとりではないと知ること。それだけで、新学期にだいぶエンパワーされるはずです。

クィアやノンバイナリーが、生き延びる方法を一緒に探す

クィアやノンバイナリーならではの「生き延びる方法」を情報交換できるところも、クィアサークルのよい点です。

たとえば、わたしの大学では、新学期は全員、健康診断を受けなければなりません。健康診断は「女子用」「男子用」の時間が分けられています。ノンバイナリーやトランスジェンダーのことも考えたシステムには、なっていません。

しかしあるノンバイナリーの友人は、学生事務に直接かけあったところ、特別にその人用の時間を設定してもらえたと言っていました。

クィアやノンバイナリーがいないことのようにされていても、交渉可能な場合も時にはあるでしょう。

クィアサークルは敷居が高いと言われがちだけど・・・

クィアサークルは、入るだけでカミングアウトになってしまったり、内部事情が分かりづらかったりして、入会のハードルが高いとよく聞きます。

でも、わたし個人としては、サブのサークルとしてでもいいから、大学にクィアサークルがあるなら、ぜひ新学期から足を運んでみてほしいと思います。

わたし自身、友人たちとクィアサークルを立ち上げて集まるようになってから、大学生活のしんどさがだいぶ軽くなりました。

もちろん、サークル内の雰囲気が合わなかったり、外国人差別などが横行しているクィアサークルもあるとは思うので、一概に「クィアサークルに入るべき」とは言えませんが、一度、のぞいてみることをおすすめします。

新学期、クィアやノンバイナリーはケアを忘れずに!

新学期は、多くの人が「今学期は勉強をがんばりたい」「友達つくりたい!」と意気込んでいるでしょう。

そんなとき、自分のケアが後回しになってしまうこともあるかもしれません。

でも、今まで書いてきたように、クィアやノンバイナリーにとって、新学期はけっこうしんどい時期であることも。

傷つきを後回しにせず、いつもよりちょっぴり意識して自分をいたわってみる。クィアやノンバイナリーにとって、そんな時期になればいいなと祈っています。

 

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