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Writer/遥

友人であるレズビアンからの告白。同性パートナーがいる私が選んだ “答え方”

私はレズビアンで、同性パートナーと一緒に暮らしています。数か月前に、親しいレズビアンの友達から突然告白され、驚きと戸惑いで気持ちが大きく揺れ動きました。

レズビアンの友達からの「好き」にまず感じたこと

私にはレズビアンの友達が複数人います。そのなかで、ここ数年でSNSを通じて知り合った友人がいます。私と同じく、同性パートナーと一緒に暮らしているその友達とは、お互いの生活や共通の趣味について時折語り合うような仲でした。

想定外の告白を受けて

ある日突然、親しい友達から「好き」と告げられたのです。

親しい友達のひとりとして交流してきた彼女から「好き」と告げられた瞬間、とても複雑な気持ちになりました。

私も彼女も同性のパートナーがいたので、まさか自分が恋愛対象として見られていたとは思っていなかったからです。

私は同性パートナーとの関係に何の不満もなく、日々の生活に安心と心地よさを感じていました。だからこそ、友人の「好き」という言葉をどう受け止めればいいのかわからず、戸惑いや困惑の気持ちが膨らんでいきました。

彼女の勇気ある告白を無視したくはないし、関係を壊すようなこともしたくない。でも、恋愛感情を返すこともできない・・・・・・そんな板挟みのような感覚のなかで、私はとっさに答えを出すことができずにいました。

レズビアンの友達に対して友情以外の気持ちはある? ない?

私に想いを告げてくれたレズビアンの友達に対して、正直にいうと恋愛感情は全くありませんでした。

私がこう断言するのは「クワロマンティック(恋愛感情と友情を区別できない/しないセクシュアリティ)」ではなく、友情と恋愛感情をハッキリと分けるタイプだからです。

友達と自分が恋愛関係になることを想像すると、生理的な嫌悪感がわいてしまい、どうしても友達を恋愛的な目線で見ることができません。この嫌悪感は「近親者との恋愛関係」に対して抱く感情と同じものだと、私は感じています。

ただ、告白をしてくれた友達を恋愛対象として見ることができない一方で、友達である彼女との関係を壊したくない思いも強くありました。そのため、彼女の気持ちを否定せず、それでも自分の立場は正直に伝えるという、言葉選びにとても悩みました。

レズビアンの友達が私に想いを告げた理由と背景

なぜ同性パートナーのいる友達は私に告白したのか。その背景には、彼女自身が抱える悩みがありました。

レズビアンの友達が抱えていた悩み

レズビアンの友達から告白を受けた後、本人から話を聞いたところ、彼女は同棲している同性パートナーとの関係に悩んでいたそうです。

私は彼女のパートナーに会ったことがあり、SNSでフォローし合う仲でした。友達は私と会うたびに、パートナーとののろけ話をしていたので、ふたりの関係は良好だと思っていました。

しかし実は、友達はパートナーの価値観の違いや、性格の不一致に悩んでおり、ずっと誰にも相談できずにいたのです。

心のよりどころ

告白の際に友達は、私との関係が自分にとってかけがえのない「心のよりどころ」だと打ち明けてくれました。

パートナーとの関係に悩み、不安や孤独を抱える日々のなかで、私との会話や何気ないやりとりが彼女に安心感を与えていたようです。

こうした背景から、少しずつ彼女のなかで友情とは別の感情が芽生え、想いを告げる決断につながったのだと感じます。

もちろん、「どこからが友情で、どこからが恋愛感情なのか」は人によって感じ方も線引きも異なります。

過去の恋愛を語る際に「友達から恋愛に発展することが多い」と話していたことは、覚えています。

だからこそ、今回の告白も彼女にとっては自然な心の流れだったのかもしれません。

告白までにあった、いくつかのサイン

今思えば、告白の前から彼女の言動にはいくつかのサインがありました。私の外見を褒めるような言葉をかけてくれたかと思えば、別の日に会うとなぜか緊張した様子でぎこちなく話すこともありました。

その後、交流を続けていくうちに「こんな話、あなたにしかできない」「もっと話したい」といった言葉を頻繁に口にするようになり、どこか距離を縮めようとする雰囲気を感じました。

当時は「もともと距離が近い人なのかな」と深く考えずに受け取っていましたが、今振り返ると、それらの言葉や態度は、彼女のなかで芽生えつつあった感情の表れだったのだと思います。

レズビアンの友達の告白に対する返事。私が考える “誠実な向き合い方”

私に告白した彼女にとって、私への想いが友愛なのか恋愛なのか、実際のところはわかりません。ただ、パートナーとの関係に悩み精神的に弱っていて、誰かに寄りかかりたくなっていただけかもしれません。いずれにしても、彼女が私への感情を恋愛感情だと判断し、告白を選択したのは事実です。

告白を受けたその場では返事を控える

レズビアンの友達から告白を受けたその日、私たちは居酒屋にいました。

彼女はお酒を飲んでいたので、告白を受けた直後は「酔った勢いでいってしまったのかもしれない」と思い、すぐには返事をしませんでした。私自身も突然のことに気持ちが追いつかず、安易に答えることができなかったのです。

その場では彼女の告白には触れず、「何かあった?」「パートナーさんとうまくいってないの?」と気づかう言葉をかけて、彼女の精神状態を知り、まずは落ち着かせることを優先しました。

心が不安定な様子だったので、返答を焦らず、彼女の心が少しでも和らぐようにと考えての対応でした。

その後、重い空気にならないように努めつつ、少し早めに切り上げて店を出ました。私はその夜、何度もやり取りを思い返しながら、彼女の気持ちと向き合い、返事の言葉を考えました。

「告白をキッパリ断る言葉」はつかわない

後日、私はLINEで友達にメッセージを送りました。それは、告白に対する返事というよりも、彼女が勇気を出して気持ちを伝えてくれたことへの感謝と、これからも大切な友人でいてほしいという思いを伝えるものでした。

関係を壊したくないという気持ちが強く、否定や拒絶と受け取られないように、言葉を何度も書き直しました。

キッパリと「ごめんなさい」「パートナーがいるから気持ちには応えられない」と断らなかったのは、友達から告白はされたものの「付き合ってほしい」とはいわれなかったからです。

友達は気持ちを伝えただけで、それ以上の関係を求めているようには感じませんでした。ただ、自分の想いを知っていてほしかったのだと思います。

だからこそ、私も真正面から答えを返すよりも、今の距離感や関係性を大事に思っていることを伝えるほうが、彼女の気持ちを傷つけずに済むと感じました。

関係を守りながら、彼女の想いに誠実に寄り添うには、その伝え方が最も穏やかだと思ったのです。

告白後は、しばらく会わずに “待つ”

LINEのメッセージでは、彼女のパートナーと話し合うように促す言葉も添えました。

友達がパートナーとの関係に悩み、それをひとりで抱え込んでしまっている状況だったので「もしパートナーとの関係に悩んでいるなら、一度きちんと話し合ってみてね」と優しく伝えました。

行き場のない感情を私に向けるのではなく、まずは彼女のパートナーと向き合って、今の生活を大切にしてほしいという願いを込めて。

友達は私からのメッセージに対して、感謝の気持ちと「落ち着いたらまた連絡するね」という言葉を返してくれました。

相手がまだ好意を抱いたままの可能性があるなかで、自分から「元気? 会いたいな」と声をかけるのは不誠実だと感じたため、私は自分からは連絡せず見守ることにしました。

レズビアンの友達から告白されたあと

レズビアンの友達からの突然の告白。私はその出来事を、自分のパートナーに伝えるべきか迷いました。正直に話すことで不安にさせてしまうのではないかという思いと、隠すことへの後ろめたさの間で揺れていたのです。

同性パートナーにはいう? いわない?

レズビアンの友達から告白されたことを、私はパートナーには伝えませんでした。正直に話すことで無用な心配をかけたり、余計な誤解を生んでしまったりするのではないかと思ったからです。

私としては、その友達とこれまでどおりに友人関係を続けたい気持ちがありました。だからこそ、わざわざ話題に出してパートナーを不安にさせるよりも、自分のなかにだけ留めて、穏やかな日常を保つことを選びました。

レズビアンの友達のパートナーには

告白を受けたあと、彼女のパートナーに連絡すべきか一瞬悩みました。

私たちは以前に何度か顔を合わせていて、SNSでもつながっています。ただ、それでも私から連絡を取るのは違うと感じ、やめることにしました。

パートナーとの関係は当事者同士で向き合うべきものであり、私が介入することで余計に混乱を招くかもしれないと思ったのです。事情を知らないまま言葉を選ぶことの難しさもあり、今は静かに見守ることにしました。

レズビアンの友達と私の現在

告白後のメッセージ以来、そのレズビアンの友達から連絡が来ていません。私もこちらから連絡をすることは控えています。

私としては、友達としての関係を大切にしたい気持ちは変わっていませんが、今は少し距離を置くことがお互いのためだと考えています。きっと彼女にも、自分の気持ちと向き合う時間が必要なのだと思います。

人と人との関係には、時に思いがけない感情の揺れが生まれるものです。

今回の件で、私は「誠実さとは何か」を改めて考えさせられました。迷いながらも選んだ言葉や距離感が、いつか胸を張って「これでよかった」と思える関係につながってほしいと願っています。

 

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