異性カップルと同じように、同性カップルも嫉妬や不安は芽生えるものです。レズビアンカップルである私たちも、付き合いたてのころはお互いの友人や知人に対してモヤモヤした感情を抱えていました。
同性カップルでも嫉妬する? 私の場合
交際8年になる同性カップルの私たち。付き合ったばかりのころは、彼女の職場の人のことで思い悩んだ時期がありました。
同性カップルあるある? 同性だからこそ、嫉妬してしまう
パートナーと付き合って数か月のころ、当時の私は彼女の「職場の同僚女性」に嫉妬していました。
彼女の話にたびたび登場するその女性は、明るくて、仕事もできて、誰とでも仲よくなれるタイプ。彼女がその人と飲みに行ったり、電話で長話をしている様子をみたりするたびに、私の心はざわついていました。
「ただの仲のいい同僚だから大丈夫」
「相手にも彼氏がいるし、そんなに心配する必要はない」
そうパートナーにいわれても、モヤモヤはなかなか消えませんでした。
同性カップルあるあるかもしれませんが、心のどこかで「同性だからこそ、油断できない」と感じていたのだと思います。ふたりの親しげな雰囲気が、私には特別にみえてしまっていたのです。
自分と違うタイプの女性にいだくおもい
当時の私は、あまり自信がありませんでした。
パートナーのことが好きだからこそ「彼女の気持ちがもし揺れたらどうしよう」「自分より相手を好きになったら・・・・・・」と、不安が膨らんでいくばかり。
今振り返ると、嫉妬の根っこにあったのは、「愛されている実感がほしい」という切実な気持ちだったように思います。
また、パートナーと仲のよい同僚が、卑屈な自分とは全く違う、明るくてサバサバしたタイプの女性だったので、なおさらまぶしく感じたのかもしれません。
自分に持っていないものを持っている相手だからこそ、劣等感を感じて嫉妬してしまったのでしょう。
異性に対してはどうか?
私はパートナーの同僚女性に嫉妬していたものの、彼女の同僚男性や、男性の友人には全く嫉妬しませんでした。
それは、彼女が惹かれるのは女性だけで、男性に惹かれることはないという事実があったからです。
つまり、異性である男性に対しては、恋愛的な脅威を感じることがほとんどなかったのです。
とはいえ、彼女が男性からアプローチを受けたときは「私の彼女に手を出すな!」という、嫉妬とは違った怒りのような感情がわいたのも覚えています。
パートナーが感じていたこと
私とは違い、パートナーは嫉妬するタイプではありません。しかし、付き合いたてのころは、違いました。
特定の相手に対するライバル意識
私のパートナーは、服装や雰囲気がボーイッシュなタイプです。それが理由なのか、付き合いはじめたころ、私がボーイッシュな女性の知人がいると伝えると、どこか面白くなさそうな顔をすることがありました。
本人に聞いてみると「自分と似たタイプがいると、ちょっとなんか・・・・・・」と、ぽつり。
彼女の場合、自分とよく似たスタイルの相手と無意識に比較して、対抗心をいだいていたのかもしれません。
ボーイッシュな女性への好奇心
パートナーはボーイッシュな女性へ対抗心だけでなく、純粋な好奇心もあったように感じます。
「自分以外のボーイッシュな女性って、どんな人がいるんだろう」。そんな視線で観察しているようにみえることがありました。
自分に似た相手への対抗心と同時に、共通点の多い相手だからこそ気になるという、不思議な感情が混ざっていたのだと思います。
■同性カップルにありがちな「異性にも嫉妬」?
同性カップルのなかには、同性・異性問わず嫉妬してしまう人もいます。私のパートナーも、ボーイッシュな女性だけでなく、男性に対しても対抗心のようなものがあったようです。
私の恋愛対象は女性で、男性を恋愛的な意味で好きになることはありません。それでも、私が男性の友人と会う際に、煮え切らない態度をみせていました。
それは、男性を「同性」とみなしての対抗心なのか、男性に対して嫉妬心や劣等感をいだいていたのか、そのあたりはわかりませんが、彼女のなかに何か引っかかる感情があったことは確かです。
同性カップルで違う嫉妬のパターン。私たちの乗り越え方
自分とは全く違うタイプの女性に劣等感をいだき、嫉妬する私。自分と似た相手に対抗心をいだくパートナー。嫉妬のパターンが違う私たちが、どのようにモヤモヤした気持ちを乗り越えたのか、お伝えします。
同性カップルの私たちは “伝えない”
私たちは、嫉妬の感情をストレートに伝え合うことはありませんでした。お互いに「重いと思われたくない」という気持ちがあったのだと思います。
しかし、私もパートナーも、モヤモヤした気持ちを隠せず、少しの不満や不安は自然に顔に出てしまうことがありました。
そんなときは、お互いに微妙な雰囲気を感じとって、相手が不安になるような行動をしないように心がけました。
相手の気持ちを察しつつ、相手の人間関係や行動を制限せずに見守る・・・・・・嫉妬心に振り回されずに自制するように努力したからこそ、嫉妬が原因で関係がこじれることもありませんでした。
ふたりだけの思い出を増やして、信頼を築く
自信のなさからくる嫉妬、似ている相手だからこそ感じる対抗心。こうしたモヤモヤした感情と折り合いをつけるのは、なかなか難しいことです。それは同性カップルも異性カップルも変わらないでしょう。
しかし、ふたりだけの特別な思い出を増やすことで、その感情を乗り越えられるのではと思います。
私たちは一緒に旅行へ出かけたり、おいしいものを食べたり、誕生日を祝い合ったりと、長い時間を共有していくうちに、自然と信頼が積みあがっていきました。
日常生活のなかで支え合い、ともに笑い合う時間が、私たちの絆を強くしたのだと感じます。こうした日々が積み重なで、嫉妬や不安も少しずつ解消されていきました。
お互いを大切にし、支え合ってきた事実があるからこそ、今ではどんな感情も乗り越えられると感じています。私たちの経験が、同性カップルのみなさんにも少しでも参考になればうれしいです。