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Writer/shu

ラブソングに共感できないクワロマンティックの私。それでも歌を楽しんでいる

みなさん、ラブソングはお好きですか? テレビの音楽番組、音楽アプリの話題のヒットソング、聞いてみて思ったんですが、ラブソングってめちゃくちゃ多くないですか!? きっと多くの人は、その歌詞にキュンとしたり、励まされたり、思い出に浸ったりするんだと思います。でも、正直私にはピンときません。

クワロマンティックの私は、ラブソングに共感できるはずがなかった

ここで話す「ラブソング」は、両思い、失恋、片思いなど恋愛のことをうたっている音楽全般のことだと思ってください。

ラブソングに共感できなかった学生時代

小学校くらいだったか、学校でうたう音楽以外の「世の中の歌」というものが、急にわかりだす時がくる。

最初は歌詞の意味もわからないが、中学生くらいになってくるとだんだん意味がわかってきて、ラブソングというジャンルがあって、いろいろな音楽があるんだな〜という感想を持つようになった。

その後、高校・大学と幅広くたくさんの音楽を聴くようになり、特に歌詞をちゃんと聴くことが好きになった。

ラブソングだってたくさん聴いてきたけど、歌の世界をリアルに感じ取ることはできなかった。応援ソングや家族愛の歌、友情の歌などは共感できるのに、唯一ラブソングだけピンとこない。そんな私がいた。

クワロマンティックという言葉に出会って腑に落ちた

20代も半ばになったころ、「クワロマンティック」というセクシュアリティを知った。クワロマンティックは、「自分が他者に抱く好意的な感情が、恋愛感情か否か(友情との違い)を区別できない」もしくは「恋愛感情と友情を区別したくない」などと説明される恋愛的指向。

ラブソングに共感して涙したり、キュンとしたりする世の中の人を見て、「あれ、自分って変なのかな?」と感じていた感覚は、おかしくはなかった。

でも、当時の私にクワロマンティックゆえとは、わかるはずもなかったんだ。

共感の輪の外で私が思っていること

恋愛感情がわからないクワロマンティックの私にとって、ラブソングは共感できないものなんです。

クワロマンティックの私にはさっぱりわからない世界

ラブソングは多くの人の共感を呼ぶ。その理由は歌詞にある。

「本気であなたを思っている」
「あなたに会いたくてしかたない」
「ずっと一緒にいたい」
「あなたは私のすべて」
「君じゃなきゃダメ」
「どこにも行かないで」

みたいな歌の世界ってよくあるけど、私はこういう想いを抱いたことがない。

だから、みんながラブソングに共感する話で盛り上がっていても、私はそのテンションの波に乗ることができない。

例えば、ラブソングのランキングを見ていくテレビ番組で、一般の人に街頭インタビューしているのをよく見る。

「初恋を思い出す」
「甘酸っぱい青春の思い出」
「キュンとした感覚がよみがえる」
「友達とカラオケでうたってなぐさめあった」
「フラれた後に聴いて励まされた」
「歌詞の ”あなた” を好きな人の名前にして好きな人の前でうたった」

いろいろ出てきて、ワイプに映るスタジオの出演者も「わかる〜!!」ってなっているけど、私はまったくそういう感情にはならない。

「そうなんだなあ」としか思わない。

輪の外で思っていること

世の中にたくさんあるラブソングに共感できないと、みんなが醸し出す音楽への共感の輪には入りづらい。それは、ちょっとした疎外感にもつながる。

共感できないなら、「どんな気持ちで聞いているの?」「うたってもつまらないのでは?」と思われるかもしれない。でもそんなことはない。実際、カラオケでラブソングをよくうたう。

歌詞を私自身に投影することはないが、メロディーや歌全体の世界観、ストーリー性、歌詞の表現、歌手の表現力やうたい方など、色々な要素で「うわ、この歌好きだわ〜」って思いながら聴いたり、うたったりしている。

私はラブソングが嫌いなわけじゃない。

共感はできなくても「いい曲だ!」という感情は生まれるのだ。

共感できなくても楽しめればいい

私には私の楽しみ方がある

私は、人類愛や友情、平和、絆をテーマにした歌にめちゃくちゃ共感する。

みんなが盛り上がるラブソングはひとごとにしか思えないけど、こういうテーマなら自分に投影できるから。

そうしたテーマでも、歌の世界の主人公とピッタリ重ならないことはある。

それでも「歌詞いい! メロディーもいい! この歌いい!」ってなることはあるし、カラオケで楽しくうたえる。音楽の聴き方、うたい方は自由。歌詞への共感だけが歌を好きになる入口ではないし、そこにしばられる必要もないと思う。

共感できなくても楽しめるよ

私のように、ラブソングに共感できない人がいるかもしれない。

そんな人たちに伝えたいのは、「音楽を楽しむことに、正解なんてない」ということ。そもそも、すべての音楽に共感はできないし、それが当たり前な気がする。

歌を作る人も、きっと一方向の解釈で聴いてほしいとは思ってはいないと思う。いろいろな解釈をする余地が残されているのが、歌の良いところだと私は思っている。

ラブソングに共感できなくても、友達と同じテンションで盛り上がれなくてもいい。
だから私は、今日もラブソングを口ずさんでいる。

 

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