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Writer/遥

新宿二丁目に行かないレズビアンによる “本気の友だちづくり” 体験談。セクマイさんとの出会いの場って?

30代、レズビアン、パートナーあり。仕事もプライベートも特に不満はないけれど、何かが足りない。そういえば私、最後に友だちと会ったのっていつだっけ──。年を重ねていくなかでふと気づいてしまった「友だちいない」問題。そして始まる本気の友だちづくり。今回は30代レズビアンの私が実体験をもとに、セクマイ友だちのつくり方を紹介します。

30代レズビアンが本気でセクマイ友だちをつくろうと思った理由

私は30代のレズビアンで、同性のパートナーと一緒に暮らしています。パートナーとの暮らしのなかで、私は充実感を覚えながらもどこか物足りなさを感じていました。そこでふと「ああ、私って友だちがいないんだな」と気づいたのです。

ライフステージの変化で学生時代の友だちと疎遠に

レズビアンである私がセクマイの友だちがほしいと思ったきっかけの1つに、学生時代の友だちと疎遠になったことがあげられます。

20代の頃、私は大学時代の友だちと定期的に会っていました。基本的には複数人で集まるパターンが多かったのですが、そのグループの中で特に仲の良い友だちと1対1で会うこともありました。

しかし、結婚・出産といったライフステージの変化により、徐々に集まるのが難しくなり、気づけばSNSだけ繋がっている状態でした。

SNSの投稿から、お互いの生活の様子は何となく把握しているものの、「今度お茶しない?」まで発展はしない・・・・・・。こうした悩みはセクシュアリティ関係なく、よくあることかもしれませんね。

セクマイ同士ならレズビアンであることを隠さなくて済む

学生時代の友だちのような “シスヘテロの友だち” ではなく、“セクマイの友だち” がほしいと私が思った理由は、自分がレズビアンであることを隠さずに、話せる相手がほしかったからです。

学生時代の友だちのうち、仲の良い数人には私がレズビアンであることを打ち明けていました。その友だちにはLGBTQ+に対する偏見はなく、会うと「彼女さん元気?」とフランクに聞いてくれました。

ただ、友だちは同性カップルの生活についてどこまで触れていいのかわからず、気を遣っている様子でした。

「彼女さん元気?」以上の質問は控え、私がパートナーとの生活について話しても、そこから話を掘り下げることはありません。おそらく失言をして私を傷つけないための、友だちなりの配慮なのだと思います。

すべて優しさからくるものだとはわかっていても、私はどこか距離を感じてしまっていました。

「こないだパートナーシップ宣誓したんだけど、あれってオンラインで完結できないのかな」
「タイで、同性同士でも結婚できるようになったね!」
「女性が好きと同性が好きって若干意味が違うと思うんだけど、どうなのかな・・・・・・」

同性カップルの生活のこと、政治のこと、セクシュアリティのこと・・・・・・そんな他愛のない話ができる友だちがほしい。

そんな思いから、私はセクマイの友だちをつくろうと決心しました。

パートナー以外のレズビアン・セクマイと交流したかった

家庭(パートナーとの生活の場)以外に自分のコミュニティがほしかったのも、セクマイ友だちをつくろうと思った理由です。

私にとってパートナーは、恋人兼親友のような存在です。

ランチに行くのもショッピングに出かけるのも、旅行をするのもパートナーと一緒。こんなにも一緒にいてくれる相手がいて恵まれていると思う一方、「もっといろんな人と関わって話を聞きたい」という気持ちも確かにありました。

もしかすると、友だちがいなかった当時の私は自身がパートナーに依存気味であることに危機感を覚えていたのかもしれません。

「パートナー以外との交友関係がない状況が続くと、どんどん視野が狭くなって価値観が凝り固まってしまうのではないか」
「ほかのレズビアンが、日々どんな風に生きているのか知りたい」

そんな思いが日に日に大きくなり、やがて私はセクマイ友だちづくりに向けて、本格的に動き出しました。

30代レズビアンが実践したセクマイ友だちのつくり方【オンライン編】

セクマイの出会いの場は、アプリやSNSなどの「オンライン」。オフ会・イベントなどの「オフライン」の2パターンに分けられます。それでは、私がオンラインでどのようにセクマイの友だちとつながったのか、使用したアプリとともに紹介します。

レズビアン・バイセクシュアルなどのセクマイ向けアプリ

友だちづくりの第一歩として、私はレズビアン・バイセクシュアルなどのセクマイ向けアプリに登録しました。試したのは「PIAMY」と「lafuru」です。

◉PIAMY
レズビアン・セクマイが出会える “共感” SNSアプリ。X(旧Twitter)のようなつぶやき機能があり、文字や写真を投稿できます。このアプリは恋人づくりだけでなく、友だちづくりにも活用できるとのこと。アプリの概要でも「すでに恋人がいる方にもオススメ」と紹介されています。

◉lafuru
LBTQ+向けのSNS掲示板アプリ。残念ながら、2024年9月末にサービスが終了してしまったようです。こちらもPIAMYと同じく、つぶやきを投稿できるタイプのアプリでした。

どちらも友だちづくりにも活用できるアプリでしたが、割合的には恋愛目的で使っている人が多い印象だったので、私は自分からメッセージは送らずに、つぶやき機能だけを使う程度に留めていました。

つぶやきのコメント欄で、私と同じようにパートナーがいる相手とやりとりをすることはあったのですが、当時はパートナーがいる人や友だちづくりを目的としたユーザーの数が少なく、その中から自分に合う相手を見つけるのはなかなか難しいと感じました。

X(旧Twitter)のセクマイアカウント

セクマイ向けアプリの利用を経て「アプリよりもユーザーが多いプラットフォームなら、自分に合う相手と出会えるかもしれない」と思った私は、次にX(旧Twitter)でセクマイアカウントを作成しました。

プロフィールに自身のセクシュアリティ(レズビアン)や趣味、パートナーがいる旨を記載して「#セクマイさんとつながりたい」というハッシュタグをつけてテキストや写真を投稿してみると、少しずつ相互フォローのセクマイユーザーさんが増えていきました。

Xの良い点はユーザーが多い点と、恋人の有無に関係なく「仲良くなろう!」とフランクに接してくれる人が多い点です。

投稿に対して、「私も〇〇好き!」「このお店素敵!」とコメントしてくれたり、そこから「じゃあ今度一緒に行こう!」と話が進んだりと、とにかく距離が縮まるスピードが早く感じました。

現在、定期的に会う友だちのほとんどは、X経由で仲良くなった相手です。

音声配信アプリでレズビアンの悩みを発信

セクマイの出会いの場としては、あまりポピュラーではありませんが、「Podcast」「stand.fm」などの音声配信アプリも個人的におすすめです。

実はセクマイの友だちをつくろうとする以前から、私は趣味として音声配信アプリで “声の日記” を配信していました。

「職場の人に、パートナーのことを彼氏と言い換えて、ところどころフェイクを混ぜて伝えてると、前に自分がどんなフェイクを話したか忘れちゃって、話すときに毎回あせる」
「こないだ買ったコーヒーマシンがかなり便利!!」

といった日常生活のことやレズビアンであることの悩みなどを、好き勝手に話していただけなのですが、当事者の視聴者さんや配信者さんがメッセージをくださることがあり、そこから友だち関係へ発展していきました。

音声配信アプリは、テキストや写真などから相手の人となりを推し量るXとは違い、声や話し方、言葉の紡ぎ方、話の内容から相手の雰囲気を知ることができるので、実際に会ったときにギャップを感じにくいのが魅力だなと思います。

初めて会うのに、初めて会った気がしない・・・・・・。そんな不思議な体験ができるのは、声でつながる醍醐味かもしれませんね。

30代レズビアンが実践したセクマイ友だちのつくり方【オフライン編】

レズビアンの “リアル” での出会いの場といえば、新宿二丁目のレズビアンバーが思い浮かぶ人もいるでしょう。ただ、私はお酒が弱く、新宿から住まいが離れていることから、なかなかレズビアンバーへ足を運ぶ気にはなれませんでした。そんな私がセクマイの友だちづくりの一環で参加した、オフラインのイベント・コミュニティを紹介します。

レズビアン向けのセクマイ友だちづくりオフ会

定期的に開催されるレズビアン向けのオフ会。フリーのレズビアン限定の恋人づくりオフ会もあれば、同性カップルやパートナーのいる人も参加できる友だちづくりを目的としたオフ会もあります。

なかには同性カップルだけが参加できるオフ会もありましたが、私は1対1で仲良くなれる相手を探していたので、恋人の有無にかかわらず参加できる友だちづくりオフ会を選びました。

私が参加したそのオフ会は定員が10人前後。

フリーの人、パートナーがいる人、カップルさんが集まっていたので、パートナーがいる人やカップルさんが恋人とのなれそめ、フリーの人が恋愛願望の有無や理想の関係性など、それぞれの立場で恋愛について自由に語るシーンがありました。

また、アニメ・漫画、ゲームが好きな人が多かったので、お互いにおすすめの作品を紹介し合う和やかな場面も。

前情報なしに、いきなりおしゃべりすることになるので緊張はしましたが、オフ会に来ている人は皆フレンドリーで誠実な人が多かったため、安心して交流の時間を楽しむことができました。

オフ会で仲良くなった数人とは、オフ会終了後にSNSのアカウントをフォローし合い、それぞれ個別で連絡を取り合っています。その数名とは、今でもたまにランチへ行く仲です。

セクマイorオールジェンダー向けのイベント

オフ会参加後、少し趣向を変えてレズビアン、バイセクシュアルを含むセクマイの人だけでなく、シスヘテロの人も参加できるオールジェンダーイベントにも足を運んでみました。

私が参加したのは代々木公園で行われた「陰気なクィアパーティ」。

あらゆる性別やセクシュアリティの人が参加できるイベントで、参加者がレジャーシートを持ち寄って寝転んだり、本やZINEを読んだり、楽器を演奏したりと、自由に過ごせます。

当日は一人で静かに過ごす人が多かったのですが、近くにいる参加者同士が交流する場面もありました。私は積極的に周囲の人に話しかけることはしませんでしたが、参加者それぞれが好きなことを各々のペースで楽しむ姿を見て、オフ会とは違った連帯感、心地よさを感じました。

このパーティでは友だちをつくることはできなかったものの、友だちとは別の「たまに集まって気ままな時間を過ごすコミュニティ」を見つけられた気がします。

30代レズビアンがセクマイ友だちづくりで感じたこと

パートナーありのレズビアンが、セクマイの友だちづくりを通して感じたのは、「アプリやSNS、オフ会など、出会いの場それぞれ違った魅力がある」ということです。

いろいろなプラットフォーム、コミュニティを試すことは、より自分に合ったホームを見つける手掛かりになるとも思いました。

いろいろ試して、自分の心地よいペースで無理なく友だちづくりができるといいですね。私の体験が、これからセクマイの友だちをつくろうと考えている人のちょっとしたヒントになれたらうれしいです。

■参考情報
PIAMY公式HP
Lafuru Xアカウント
Podcast
stand.fm
陰気なクィアパーティXアカウント

 

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