「好き」という言葉を聞いて何をイメージしますか? 少なくとも私の周りでは「好き=恋愛感情」と思う人が多いように感じています。では、「好き=恋愛感情ではない」と言う人がいたらどのように思うでしょうか。私自身がその1人で、”私の好きはみんなの「好き」とどこか違っている。でもその正体がなかなかつかめない” と、思い続けてきました。そんな私が「好き」の正体について考えてみました。
私の「好き」を分析してみた
クワロマンティックは、「自分が他者に抱く好意的な感情が、恋愛感情か否か(友情との違い)を区別できない」もしくは「恋愛感情と友情を区別したくない」などと説明される恋愛的指向です。私はこの恋愛的指向を自認しています。クワロマンティックの私が「好き」について紐解きます。
「好き」を細分化したら
私が「好き」というとき、まず人として好きであることは大前提です。ただ、交際したい、他の誰よりも一緒にいたい、などと思ったことがなく、これから先誰かとそうなりたいとも現時点では思っていません。
だから、学生時代に好意を抱いた人に対して「好き」と伝えたことはあっても、「付き合ってください」と伝えたことがなかったのです。
”まだ付き合いたいほど好きな人に出会ってないだけじゃない?” という声も聞こえてきそうですね。私もそう思っていました。でも、やっぱり何か違う・・・・・・。
普通に好きな人ができたらどんなにいいだろうか
みんなの好きがわかりたいし自分もそうなってみたい
何度も何度もそう思ってきたのです。でも、どれだけ考えても「好き=恋愛感情→付き合いたい」になるか、一向に分からないのです。
「好き」の度合いは常に変化している
私の場合、「好き」の度合いは常に変化しています。グラデーションがあると言った方がイメージがつきやすいでしょうか。同じ友達でも関係性の濃さが一人ひとり違うように、私はひとりの人に対する「好き」の度合いが、時と場合によって変わるのです。
例えば、「親身になって悩みを聞いてもらった」「褒めてくれた」のように、うれしいことをしてもらったとします。そうすると ”この人は私の味方なんだ!” ”受け入れてもらえてめっちゃうれしい!” ”お返ししたい!” と、その人への愛が一時的に高まります。
ありがとうが沸騰しているとでも言いましょうか。ただ、1ヶ月ほどで気持ちの高ぶりはおさまってしまい、元通りになるんです。
クワロマンティックの「好き」は誤解される
私が言う「好き」。これが周囲に通じないばかりか、ときに誤解されてしまいます。
「好き」を説明できないから通じない!?
私がクワロマンティックという言葉に出会う前のことです。
お互いに真面目な話ができる人と、毎日のように連絡をとっていたことがありました。その人のことは、人としては好きですが、恋愛感情は抱いていませんでした。
そのことを何気なく仲の良い人に話したところ、「それもう好きじゃん!」「まだ告ってないの? 付き合えばいいじゃん」と言われてとても驚きました。
思ってもみない反応だったからです。その時は「”好き” だけど、付き合いたい好きとは違うんだけどな〜」と、自分でも感情がよく分からないまま返してしまい、納得してもらえずに終わりました。
クワロマンティックという恋愛的指向を知った私は「好き」を封印した
私は、他者に抱く好意的な感情が恋愛感情なのか、それとも友情なのかが分からないまま、「好き」という言葉を使っていました。そうすると、先ほど話したような誤解が生まれます。
そんなもやもやを抱えていたなか、インターネットで調べて出会ったのが「クワロマンティック」という恋愛的指向です。
限りなく私の思っていることに近い! と安心しました。
正直、カテゴライズは好きではありませんが、世の中にも同じような人がいて、クワロマンティックという恋愛的指向がある、ということが分かっただけでも、救われた気がしたのです。
そして私は
人を好きにならないほうがおかしい
なんで誰かを好きにならないの?
などと、すぐに恋愛ゾーンに持ち込む人に対する予防策として、「好き」という言葉を封印することにしました。
クワロマンティックの「好き」は一言で表せない
クワロマンティックにとって関係性の境界は曖昧
クワロマンティックの私にとって、関係性の境界が曖昧なのは、友達と恋人の間だけではありません。親しい人の中にも、何を自己開示しているか、どの程度深く自己開示しているか、があるように思います。
例えば、親しい人と一緒にいたときに「この方とは友達ですか?」と聞かれたら、ちょっと返事に迷ってしまうかもしれません。友情のようなものがあったとしても、名前をつけるということ自体に違和感を感じてしまいます。
関係性に名前をつけたくないし、関係性にラインを引く必要も感じないのです。だから私は、親しい人を「私に良くしてくれる人で、私も良くしたい人」などと表現することがあります。
「好き=恋愛感情」が唯一の答えだと思っているあなたへ
クワロマンティックの私にとって、「好き」の感情は、「好き」という2文字におさまるものではありません。相手への愛は、波のように変化していて、「好き」の度合いは刻々と変わっているんです。
それが急にあふれ出たとき、正体不明の「好き」という感情が出てくるのだと認識しています。
この想いをすべて受け止めてくれる人がいたらいいのですが、もしいなかったとしても伝えたいことがあります。それは、「私の感情をあなたの思う関係性に勝手に押し込めないでほしい」ということです。
「好き=〇〇」の〇〇に入る言葉は人それぞれで、恋愛感情でない人もいる、そしてさらに細かいグラデーションがあって、本人たちにも良くわかっていないことがある。
そう心に留めておいてもらえるだけでもうれしいです。
■参考情報
・As Loop
・クワ(クォイ)セクシュアルとは?【恋愛と友情の違いがわからない!】(JobRainbow MAGAZINE)