NOISE ライター投稿型 LGBT情報発信サイト
HOMEすべての記事 ポリアモリーにおけるパートナーとの情報共有

Writer/きのコ

ポリアモリーにおけるパートナーとの情報共有

複数の人と同時に、それぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイル「ポリアモリー」。その当事者である私のもとには、日々さまざまな質問や悩みが届く。今回は「彼氏がポリアモリーのようだけど、他にも相手がいるのか言いたくないみたいでモヤモヤしてしまう。きのコさんは複数人と付き合っていることをはっきり伝えるのでしょうか?」という質問に答えていく。

何をどこまで? ポリアモリーの情報共有

ポリアモリーで、何をどこまで情報共有するのか?

今回は質問に答えつつ「カップル内で、何をどこまで情報共有するのか?」という問題について、考えていきたい。

先日、以下のようなご相談をいただいた。

彼氏がポリアモリーぽくて私はそれに対して否定はしていません。
ただ私は、他に付き合ってる人がいるなら教えてほしいとおもっていますが、彼氏は言いたくないみたいです。

しかし、私は言ってもらうことで自分の中で納得できてすっきりできるのに、言われないとずっとモヤモヤしてしまいます。

言って欲しいとおもうのは私のわがままなのはわかるのですが、、、
きのコさんは複数人と付き合うなかで、全員に他にも付き合ってる人がいることをはっきり言うのですか?

ポリアモリーの人からして、そこをはっきり伝えておくのは当たり前のことなのですか?

 ”教えてほしい” タイプのポリアモリー

「他に付き合っている人がいるなら教えてほしい」という気持ちに対して、私としてはとても共感する。私も基本的に ”教えてほしい” タイプのポリアモリーだ。「言ってもらうことでスッキリできるのに、言われないとずっとモヤモヤする」というのも私と同じ。

まず、ポリアモリーで重要なのは「全員の合意」だ。自分が複数人と、そして恋人が複数人と付き合っている場合、全員がその関係に合意していることが大切。

私自身も、複数人と交際する時は、他にも付き合っている人がいることを全員に伝える。最低限、そこは伝えないとそもそもポリアモリーが成立しないと考えている。

ただ、そこから先の情報をどこまで公開するか、しないかは、カップルごとに違っていいと思う。

情報共有の順番。SNSに書く前に

何でも「言いたい」タイプのポリアモリー

私個人は、好きな人との関係において、わりと何でも「言いたい」タイプ。

自分が恋人とどう過ごしたか(いつ、誰と、どこで、どんなデートをしたか、何を話したか、どう感じたかなど)を他の恋人にも話したい。他の友達にも惚気たり、SNSでも普通に書いたりしたい。

それに、自分の恋人が他の恋人とどう過ごしたかも、話してもらえると嬉しい。

私にとって重要なのは「まず最初に私に直接伝えてほしい」ということ。直接伝えてくれれば、ポジティブな反応もネガティブな反応も返しやすい。

逆にたとえば、私の恋人が私の友達とデートしたことを、直接聞く前に恋人や友達のSNSで見かけたらムッとしてしまう。

SNSに書く前に直接ひとこと 伝えてもらえれば、気を遣って私に直接伝えてくれる姿勢に対して私への尊重を感じるし、「楽しんでね」とポジティブに返しやすくなると思う。

まず私に情報共有してほしい

以前、こんなことがあった。

私のメタモア(パートナーのパートナー)のSNSで「Aちゃんとパートナーシップを結びました!」という喜びの投稿を見かけたのだ。Aちゃんと言うのは、私のパートナーのこと。そして、そのメタモアのパートナーでもある。

メタモアとAちゃんがパートナーシップを組むのは良い。ただ、私がそれを どちらからも一切知らされず、メタモアのSNSで知ったことはショックだった。

パートナーシップを結ぶなら、SNSに書く前に私に直接伝えてほしかったな、と思う。「パートナーシップ制度を利用しようと思う」とひとこと 連絡してくれれば、もちろん反対はしない。

事前に情報共有されていれば、ショックを受けることもなかったと思っている。

パートナーとSNSで繋がるかどうか問題

パートナーとのSNSの繋がり

もちろん、ここまで書いてきた 内容は、恋人やメタモアのSNSを見ている場合の話だ。

そもそも「恋人のSNSは見ない」という方法もアリだと思う。私も、パートナーの表アカウントはフォローするけど裏アカウントはフォローしない、など距離感は調節している。

昔は、もっと「何でも言いたい!」「何でも聞きたい!」という気持ちが強かったように思う。ただ、最近は「言いたい」に比べて「知りたい」はそれほど強くなくなってきたような気がしている。もちろん嘘や隠し事はやめてほしいけれど。

好きな人とは、SNSでゆるく繋がっておくくらいがちょうど良いのかもしれない。とはいえ、人生を左右するような大きな出来事については、連絡をもらえると嬉しい 。

心地いい “情報共有度” とは

相談者の方の「他に付き合っている人がいるなら教えてほしい」という気持ちと、彼の「言いたくない」という気持ちの間には乖離がある。

自分の気持ちを抑圧する必要はなくて、なぜ言ってほしいのか、彼はなぜ言いたくないのかをお互いに言葉で伝え合うことが大切だと思う。ポリアモリーでも、「言いたい/言いたくない」「聞きたい/聞きたくない」の感覚は人それぞれ違う。

全員で紙に書き出してみると価値観の違いもわかりやすくなるし、話しやすくなる。

正しさや優劣はなくて、お互いが合意できるかどうかが重要だ。

そして、もし自分に3人の恋人がいたとしても、全員に同じ情報公開ルールを使う必要はない。誰しも、自分の大切な人たちにとって心地いい “情報共有度” を、模索してみてほしいと思う。

 

RELATED

関連記事

ロゴ:LGBTER 関連記事

TOP