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Writer/HOKU

東京レインボープライド(TRP)だけじゃない! 全国のプライドイベントとLGBTQ向けセーフスペース

先日、東京レインボープライド(TRP)に友人と行ってきた。その時に感じた代々木公園の熱気。「ここには味方しかいない」という安心感。どんな恋人同士も、当たり前の存在として堂々と手をつないで歩いていることへの喜び。どれも364日間、ほとんど感じることのできない「特別な」ものばかりだ。その「特別」を少しずつで良いから「日常」につなげていきたい。そんな思いから筆を執った。

東京レインボープライド(TRP)に触れて、改めて人数の「力」を感じた

人いきれで疲れ果てた、熱気溢れる東京レインボープライド(TRP)での一日

東京レインボープライド(TRP)の会場、代々木公園。だだっ広い代々木公園のイベント会場一面を、人、人、人が埋め尽くしていました。土砂降りの中、ずぶ濡れになりながら友人と会場を歩きまわります。満員電車・・・・・・とまではいかないまでも、どこを見渡しても人がいて、少し手を伸ばせば簡単に人にぶつかてしまう。それくらい混んでいました。

最初は友人との待ち合わせもうまくいかず、パレードの場所もわからず、びちゃびちゃの地面で靴は泥だらけと踏んだり蹴ったりではあったのですが、雨の中をカラフルなレインボーグッズたちがひしめき合う様は、絶望の雨から希望に向かう虹そのものでした。

東京レインボープライド(TRP)にいるのは「全員味方」という測り知れない安心感

こんなにたくさん人がいる。それは、少なくとも、この東京に、表立ってLGBTQの味方をする人たちが代々木公園を埋め尽くすくらいいる、ということ。味方なんてどうせいないんだ、と死にたくなった時、目にしたあの光景をふと思い出すことにつながるかもしれないです。それって、ものすごく、本当にものすごく、私たちLGBTQ当事者にとって大切なことなのだと思います。

「私たちはここにいて安全だ」と思えることは現実にはそうそうありません。家すら安全ではない人たちもいるし、一歩外に出たらそこは小さな差別といつ出会うとも知れない危険な戦場。どう戦おう、どう身を守ろう、と思いながら生きている人もたくさんいるでしょう。かくいう私も、その一人です。

東京レインボープライド(TRP)には、その緊張が全くありませんでした。もちろん、いい意味で。こんな会が毎月もしあったら。近所にこんなに安心していられるスペースがあったら。そう思いました。

「TRP以外、大阪でもプライドパレードやってる?」と聞かれた時に、即答できなかった自分にショックを受けた

話は変わるが、Instagramのストーリーで「TRPに行きます!」と投稿した時のこと。大阪に住んでいる友人から、「行ってみたい。大阪でもやってる?」と聞かれました。私は即答できませんでした。知らなかったのです。

言い訳にはなりますが、私はイベント情報に元々うとい方。LGBTQ関連ニュースを調べることはあっても、元々イベント自体にそこまで興味がありませんでした。TRP自体も、友人やLGBTQ関連の情報発信をしている人たちから情報を得て、「みんな行くなら行こうかな」と参加を決めたきらいすらあります。

でも、仮にもジェンダーやLGBTQについて発信をする身であるなら、直前に友人から教えられて行くことを決めるのではなく、自分から誘うくらいの気概を見せたいところでした。

そして、行ってから気づきました。イベントは、「周りに味方がいない」と思いがちな人たちにこそ参加して欲しい、ということに。大人数で集まるのは苦手な私も、TRPに行くことで、本当に安心することができました。

間違いなく、必要なのです。
できることなら、なるべく近くに。
「味方がこんなにいる!」と喜ぶ人を、全国各地に増やしていくために。

どこで、どんなイベントが行われているのか? LGBTQ向けのセーフスペースは東京以外にもあるのか? 興味を持った私は、調べ始めました。

各地域のプライドパレード・プライドイベント

ここでは、2022年に開催予定の各地域のプライドパレード・イベントについてお話ししていきます。私が救われたのはプライド関連のイベントなので、各地域にあるプライドパレード・プライドマーチ系のイベントを主に紹介していこうと思います。

北海道・東北地方のプライドパレード・イベント

・5/21 いわてレインボーマーチ
・5/28 Akita Pride March
・6/5 青森レインボーパレード
・6/12 みやぎにじいろパレード
・6/26 第3回小樽プライド
・秋開催予定 さっぽろレインボープライド
・開催未定 ふくしまレインボープライド

東北のイベントはこれから開催するものがほとんど。復興とレインボーをテーマとしているイベントもあり、積極的に情報発信をしています。

東北のほとんどの県にプライド関連のイベントがあることを恥ずかしながら、初めて知りました。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

関東地方のプライドパレード・イベント

・6/3 プライドカンファレンス(東京)
・6/25, 26 おうちでプライド2022(オンライン)

関東はTRPが大規模イベントだからなのか、その他の地域で開催されるプライド関連のイベントは多くないようです。関東と一括りにしても、人数の多い地域だからこそ色々な場所でイベントが開催されたら・・・・・・と思うのは私のわがままでしょうか。

とはいえ、東京はやはり少し調べるだけでもLGBTイベントが多く見つけられるのが良いところだとは思います。

中部・近畿地方のプライドパレード・イベント

・5/14 名古屋レインボープライド2022
・10/8, 9 レインボーフェスタ(大阪)
・11/6 奈良レインボーフェスタ
・開催未定 金沢レインボープライド

大阪のレインボーフェスタは関西随一の規模を誇るイベント。TRPに参加できなかった人たちも、レインボーフェスタで同様の盛り上がりを感じることができるかもしれないですね。

既に開催してしまってはいますが
Hakuba Rainbow Festival
レインボーフェスタ和歌山
京都レインボープライドパレードフェス
Himeji Liberation March

など、数多くのイベントがありました。ご存じなかった方はぜひ来年以降、参加されてみてはいかがでしょうか。

中国・四国・九州・沖縄地方のプライドパレード・イベント

・10/16 岡山レインボーフェスタ
・11/20 ピンクドット沖縄創立10周年記念パレード
・開催日未定 まんで!さぬきレインボーパレード
・開催未定 九州レインボープライド

中国・四国・九州にも各一つずつプライドイベントがありました。また、ピンクドット沖縄は、レインボーではなく、ピンクのものを身につけて参加するイベント。それぞれに地域色があり、素敵なイベントになりそうですね。

(参考)
OUT JAPAN   https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/features/23.html

いつでも逃げ込める、LGBTQのためのセーフスペースはいずこ?

イベントは素晴らしい。でも、日常はイベントではありません。イベント以外の364日、私たちはこの世界で生きのびなければならないのです。ふと辛くなった時に「ここは味方しかいないから行ってみようかな」と思える「セーフスペース」が必要なのではないでしょうか。まだまだ少ないですが、LGBT向けの常設セーフスペースをいくつかご紹介しようと思います。

LGBTQのためのセーフスペース「プライドハウス東京レガシー」(新宿)

TRPの会場である代々木公園から出たら、そこはいつもの日常でした。さっきまでは同性同士のカップルが手を繋いだり抱き合ったりしながら、「当たり前」に歩いていたはずなのに、目の前に見えるのは異性同士(と見える)カップルのみ。猛烈に寂しくなりながら歩いていました。でも、代々木公園からそう遠くない新宿に、あるんです。常設のLGBT向け施設が。

一度遊びに行ったことがあります。雑居ビルの中にある、いくら長居しても良い、安心できるスペース。みんな喜んで迎えてくれて、たくさん資料をくれました。小さなTRPに行ったような気持ちになれる場所。

色々なイベントも行っているし、イベント以外の時間にふらりと行っても構わない。専門家による相談スペースもあるし、その場からイベント発信をすることもできる。本当にどう使っても、どんなふうに過ごしても怒られない安心できる場所。トイレもジェンダーフリーです。

水・木が定休日で開館時間は13:00-19:00。
もちろん入館料は無料。遊びに行けば、思わぬ出会いがあるかもしれないですね。

LGBTQのためのセーフスペース「SHIPにじいろキャビン」(横浜)

こちらのセーフスペースを運営している特定非営利活動法人SHIPは、セクシュアルマイノリティが自分らしく健康に暮らせる社会の実現を目指している団体。HIV予防の啓発活動やゲイコミュニティ向けの季刊誌「Crew」の発行、カウンセリングから性感染症検査までさまざまな活動を行っています。

その中でも、コミュニティスペースSHIPにじいろキャビンは、「買い物帰りや学校帰り、仕事帰りにふらっと立ち寄って、本を読んだり、おしゃべりしたりできるサロン」として開設されたものです。

開館時間は水・金・土の16:00-20:00と日の14:00-18:00。
図書コーナーやインフォメーションコーナーも併設されていて、ゆっくりと情報を集められそうですね。

LGBTQのためのセーフスペース「プライドセンター大阪」(天満橋)

プライドセンター大阪は、2022年4月1日にオープンした常設のLGBTQセンター。「LGBTQだけでなく、その周囲の人、LGBTQに関して学びたい人など、誰でも利用」できることを、コンセプトとした空間です。

公式サイト上で現在できることとしては、ZOOMでのオンライン相談があります。他のサービスについてはまだ準備中のようではありますが、定期的に開館し、スタッフの方が常駐しているようなので、一度遊びに行ってみるのはいかがでしょうか。

開館時間は、月木金土の15:00-20:00。

LGBTQのためのセーフスペース「HACO」(博多)

HACOはゲイ・バイセクシュアル男性を中心としたLGBTQのためのオープンスペース。特にHIVに関わる活動を中心的に行っているが、どんな人でも安心して使えるように、というコンセプトで開かれた空間なので、男性でなくても、LGBTQでなくても、使用することができます。

もちろん、LGBTQやHIVについて調べることも可能だし、仕事をする、待ち合わせをする、ミーティングに使用する、などの用途でも使うことができる自由さが特徴になっています。

開館時間は、木・金の15:00-22:00、土・日の18:00-22:00。

「調べよう」と意気込まなくても情報が入ってくる世の中になってほしい

ストーリーで発信した。思わぬ人からメッセージが来た。

TRPが「いつ」「どこで」「どのような形で」行われるかをぼんやりとしか知らなかった。興味を持たない人は、このイベントの存在を一生知らないままなのか。少しだけLGBTQというテーマに興味を持っている人も、もしかするとTRPの存在は知らないかもしれない。とても勿体無いことではないでしょうか。結局は興味を持った人々のあいだで情報がぐるぐると循環し続けることになってしまっているような気がするから。

だから、私はTRPに行くこと・行ったことを、ストーリーに載せました。LGBT関連の話題に興味がある、なんて私が全く知らなかった友人たちから、「いいね!」や「実は興味あるんだ」「行ったんだね!どうだった?」「来年行ってみようかな」といった声が寄せられたりしました。そのコメントたちを見て、心がギュッと掴まれました。

調べてみよう。行ってみよう。できれば、発信してみよう。

自分の中にも、緊張する気持ちはありました。普段から発信したりしている方ではあるものの、どうしても「LGBTQについて発信している」という事実それ自体が、必要以上にひとから嫌悪されるのではないか、という気持ちになってしまうからです。

でも、嫌悪する人は離れていくし、興味を持つ人は近づいてくる。それに、クィアスタディーズ(LGBTQを含むセクシュアルマイノリティに関する研究)に興味を持ち、発信していること、それ自体が私自身を構成する要素です。だから、もし発信することで、結果的に届けたい層に情報が届いているなら。私は、それで満足。そのことに、最近ようやく気づきました。

発信することは怖い。特に、自分の意見を発信することは怖いこと。LGBTQ関連のイベントに行くことは、「LGBTQの味方だ」という意見を行動で発信することにはなります。さらに、その様子をSNSに載せることは、自分の友人たちにその意見を知らせること。だからこそ、怖いのです。

意見を発信した後、私はとても無防備な状態。批判されるかもしれない、気持ち悪いと言われるかもしれないし、攻撃的な人間なのだと思われるかもしれない。どう判断されているのか、どう思われているのか、私には全くわからない。そういう意味で無防備な状態です。でも、それでも、無防備になるからこそ、出会えるものもあるのだと私は信じているのです。

LGBTQ向けセーフスペースがもっともっと知られたら、きっと最高だろうな

セーフスペースを多くの人に知って欲しいからこそ、私は、知りたい人に情報が届くまで発信し続ける。それで、もしセーフスペースの存在が周知され、人が増え、必要性も高まり、どんどん増えていけば、TRPの会場内で見た光景を、もっともっと街中で見ることができるかもしれない、と思います。そうしたら、会場から出て、「あぁ、夢が終わってしまった」と思わずに済むかも。それってすごく、最高だ。きっと。

 

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