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Writer/アルナルガルベマサル

トランスセクシャルとトランスジェンダーの違いをご存知ですか?

トランスを英語で書くと「Trans」、英単語のTransfer,Transitなどを想像すれば、トランスの意味合いも分かりやすいかもしれません。つまり「乗り越える」だとか「通り越す」という意味合いがあるのが接尾辞としてのトランスです。

トランスセクシャルとトランスジェンダーも、共通の「Trans」という接尾辞がある為、LGBT当事者であってもなくても、意味を混同してしまうこともしばしば。今回は似て非なるトランスセクシャルとトランスジェンダーの違いという観点から、LGBTQの世界を紐解いていこうと思います。

性自認の理解を深める為に!まずはトランスジェンダーの定義を見直そう

ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルに関しては、皆さんある程度の知識があると思います。しかしトランスジェンダーとなると、その知識の認識度も大分揺らいでくる方も多いはず。

トランスジェンダーとトランスセクシャルの根本的な違いを知る前に、今一度トランスジェンダーに関して定義をしっかりと把握することから始めましょう。

性と身体の不一致のベースは、トランスジェンダーにあり!

私は数学的な思考がとても苦手なのですが、トランスジェンダーを明確に説明する為には、統計における集団をイメージしていただくと分かりやすいと思うのです。

人間という抽象的な大きな存在からなる母集団がいたとします。そこには肌の色だとか宗教だとか、様々なすみわけが行われている訳ですが、性にスポットライトを当ててみるとどうなるでしょうか?

異性愛者と呼ばれる男性→女性、女性→男性を愛する集団がいて、その隣にはいわゆるLGBTQと呼ばれる性的マイノリティーが存在しています。LGと呼ばれる集団にはレズビアンとゲイがいて、Bは勿論バイセクシャルという集団を形成していますね。

ここでTと呼ばれるトランスジェンダーに着目してみると、これがなかなか一筋縄ではいかないのです。トランスジェンダーとは、「生物学的な性と、心の性が一致しない状態」を指します。つまりは男性として生まれたのに、女性の心を持っているいわゆるMTFのケース、反対に女性として生まれながら心の性は男性というのがFTM、また生物学的な性に疑問符を持ちながら、意識する性自認が男でも女でもない場合などをXジェンダーと呼びます。(MTX、FTXと表します。)

テレビや映画を通して見かける業界の方でも、オネエ系のタレントさんをよく見かけますが、このオネエ系という言葉だけで性自認を判断することはしばし誤解を生みます。例えば毒舌ファッション評論家のピーコに映画評論家のおすぎさんの場合はゲイですし、演歌歌手の美川憲一さんは賛否両論ありますがMTXが適当だと言えるでしょう。

例え生物学的な性から判断して、本人の仕草や口調に違和感を感じたとしても、そのまますぐにトランスジェンダーと判断することは出来ません。人それぞれ性に関する考え方、価値観は自由気まま、上記では例の1つとしてあえて性自認の説明をしましたが、そもそも人々の性を周りが定義付けることこそ、むしろ適切なことではないのですから。

トランスセクシャル=トランスジェンダー?混同しやすい2つの性自認

トランスジェンダーの定義をしっかりと理解していれば、トランスセクシャルの意味も然りと頭に入ってくるはずです。それでは本題のトランスジェンダー、トランスセクシャルの相違点について、一緒に考えてみましょう!

心と身体の性を一致させたいトランスジェンダーがトランスセクシャル!

以前Facebook(アメリカ版)の性別欄には、50種類以上の性別欄が用意されているとお話ししたと思います。つまり細かく定義付けてしまうと、人間の性は両手では足りない位に種類わけが出来てしまうのです。

心と身体の性に不一致を感じる母集団であるトランスジェンダーの中には、大きく分けて①トランスセクシャル、②トランスヴェスタイト(異性装)に分けられます。まずトランスセクシャルに関してですが、こちらは性に違和感を感じているトランスジェンダーの中でも、特に自身の身体に対する拒絶感が強く、ホルモン療法や性別適合手術を通して自身があるべき性に移行するべき希望を持っているケースです。

つまり生まれた性≠心の性のパターンで、身体と心の性別を一致させたい人々をトランスセクシャル、そうではない人々をトランスジェンダーと呼ぶ訳ですね。しかしトランスセクシャル当事者の中でも、ホルモン療法を途中で辞めてしまったり、経済的事情または手術に対する恐怖心から性別適合手術を行わない人も少なくありません。

トランスセクシャルの人々の最終ゴール地点が、ホルモン治療を行うだけで満たされるのか?性別適合手術を済ませ、見た目もより理想に近づける為に美容整形手術に臨むのか?それとももっとその先にある性別変更が目的なのか?一言でトランスセクシャルと言っても、本人のあるべき理想の姿はそれぞれ異なるのです。

またトランスジェンダーの一つであるトランスヴェスタイトに関しては、いわゆる男性なのに女性の恰好を、女性なのに男装をしていることを指し、いわゆるマツコ・デラックスやミッツマングローブさんのような女装家の方が好例かもしれませんね。ただしトランスヴェスタイトの中でも、性嗜好の一つとして純粋に異性装を楽しむ異性愛者も少なくありません。(今流行りの男の娘など。)

トランスジェンダー、トランスセクシャルの性指向について

トランスジェンダーとトランスセクシャルの違いについて説明してきましたが、ここで更にもう一つ大切なことをお話ししたいと思います。

例えば生物学的な性が男性だけど、心の性は女性のパターンを想定してみましょう。考えられる性自認は以下のようになります。

①MTF (トランスジェンダー)

心は女性だけど、性別移行までは考えていない。ただしトランスジェンダーでも、ホルモン療法を行っている人も少なくないので、トランスジェンダーとトランスセクシャルの概念は非常に流動的とも言えるのです。

②MTF (トランスセクシャル)

心の性である女性に身体を少しでも近づけたいと思っているのが、トランスセクシャルですね!ただし金銭面や健康面などの負担が大きいため、心に願うだけで実行しない方も少なくありません。またトランスセクシャルでありながら、生物学的性別が女性の場合は子宮を残し、いずれはパートナーとの間に子どもを持つことを希望するカップルも見られます。

③MTX(Xジェンダー)

性別の揺らぎを感じながらも、男性であるべきか?女性であるべきか分からない、または中性であると感じる場合、はたまた気分によって男性、女性とあるべき性が異なる場合もあります。個人的にゲイやレズビアンと自称していても、実際はXジェンダーだというパターンが潜在的に多いように感じます。

④MTF (トランスヴェスタイト)

心と体の性の不一致があまり強くない時に、異性装をすることで精神的な満足感を得る方もいます。

このように大別して4つのパターンに別れる訳ですが、MTFだからといって、必ずしも性的な興奮を覚える対象が男性だとは限りません。あくまで性自認と好きになる対象である性指向は別であると理解してください。

つまりこの例の場合だと、MTFの異性愛の場合(男性を愛する)、MTFの同性愛の場合(女性を愛する)、またはバイセクシャルの場合もあれば、性にこだわらず人を愛するパンセクシャルや、性に限らず人に全く惹かれない指向のアセクシャルの場合すら考えられるのですから。

性同一性障害とトランスセクシャルの違いについて

トランスジェンダーとトランスセクシャルの違いは分かって頂けたと思います。しかしトランスセクシャルと同様によく聞く言葉として性同一性障害という言葉がありますが、あなたは両者の相違点、きちんと理解していますか?

性同一性障害は医学的診断目に使用される!

まずはっきりさせたいことは、障害というネガティブな2文字が含まれているからと言って、決して精神的な障害という訳ではありません。性同一性障害、トランスセクシャルなどの言葉が勝手に一人歩きしている時代ですが、性同一性障害はいわゆるお堅い医療用語としてメインに使用されます。

性同一性障害は「Gender Identity Disorder」という英語の頭文字をとり、GIDとも呼ばれますが、性同一性障害の定義としては、生物学的な性と心の性が明確に異なり、精神的なカウンセリング療法などに加え、あるべき性へ身体を適合させようという意思があるものに対して下される医学的診断名のことを言います。

つまり生まれ持った身体を自身が思うあるべき性自認に向けて、性別移行を望む状態(つまりはトランスセクシャルですね!)の方に当てはまる診断名ということですね。

性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインで定められた、細かな問診やカウンセリングを重ね、診断基準を満たした場合にのみ性同一性障害と診断されます。

しかし性同一性障害に似たもので性別違和というものがあり、生まれながらの性に違和感を覚えるものの、断固とした性自認が定まらないケースや肉体的な性別移行を望まないケースも報告されています。

その為いわゆる自称で性同一性障害だと思い込んでも、医師の診断の結果、性別違和であり性同一性障害ではないと診断される場合も少なくないのです。

まとめ

今回は混同しやすいトランスジェンダー、トランスセクシュアルそして性同一性障害についての相違に着目してみました。

いわゆるマイノリティーがマイノリティーでなくなりつつある時代を迎えるにあたり、デリケートな性自認を誤解することは、まさに百害あって一利なし!LGBTQという言葉が浸透し、世界が一つのベクトルに向かう時期だからこそ、社会人として、一人の人間として、正しい知識を持って多様性を啓蒙していくことが今求められていることなのです。

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