NOISE ライター投稿型 LGBT情報発信サイト
HOMEすべての記事 性同一性障害(GID)とは-原因や割合、トランスジェンダーとの違いも含めて解説
PICK UP

Writer/アルナルガルベマサル

性同一性障害(GID)とは-原因や割合、トランスジェンダーとの違いも含めて解説

性同一性障害はゲイ、レズビアンとは異なります。あなたは性同一性障害について、本気で知ろうとしたこと、当事者を理解しようとしたことはありますか?

性同一性障害……皆さん一度は聞いたことがある言葉だと思います。でも上手に説明出来ない、トランスジェンダーとの違いがわからない方も少なくないはず。

今回は性同一性障害の見えにくい部分にクローズアップして、その本質とあり方についてお話したいと思います。

知っているようで知らない、性同一性障害の本当

性同一性障害イコール同性愛と勘違いしていませんか?LGBT当事者でさえ、性同一性障害について誤解を持っている位、その定義はオブラートに包まれています。

ここでは性同一性障害とはなんぞや?という、究極にシンプルな疑問の答えを一緒に紐解いていきましょう。

性同一性障害の定義

性同一性障害とは英語でGender Identity Disorder の頭文字を取り、「GID」(ジーアイディー)と呼ばれています。性同一性障害を一言で説明すると、生まれ持った性と自認する性が異なるだけでなく、心と身体の性差を一致させたい!そんな状態を指します。つまりホルモン療法や、性別適合手術を望む、心と身体の性自認が異なる人々を性同一性障害者と呼んでいるのです。

性同一性障害は精神医学上の1つの診断名ですが、同性愛が病気ではないように、性同一性障害も病気ではありません。障害という否定的な響きをもつ言葉がゆえ、しばし性同一性障害の印象を悪くすることがあります。しかしあくまで、生まれ持った性と自認する性が異なる人々を医学的に区別する為の呼称であり、差別的な意味合いがあるわけではありません。

性同一性障害になる原因は妊娠中?

医学的に性同一性障害の原因を解明しようとしても、明確な答えは未だに分かっていないのが現状です。しかし多くの医学的データを要約すると、生まれ育った環境ではなく、先天的な理由、つまり妊娠中に起きるある現象が性同一性障害の原因になると考えられています。

皆さん生物の時間に習ったと思いますが、染色体がXYだと男性、XXだと女性に身体の性が決定します。しかし受精し胚が形成されたばかりの時期は、まだ性決定がされていない為、どちらの性にも移行が可能なのです。生後約8週目付近で精巣が発育すると、テストステロンが分泌され男性器の元になるウォルフ管が発達。反対に卵巣が発育した場合は、女性器の元になるミューラー管が発達していきます。

身体の性決定がなされた後にホルモンシャワーと呼ばれるホルモンの集中投下が始まりますが、身体の性は男性なのにテストステロンの分泌が少ない場合は、心の性が女性に。一方で身体の性は女性なのに、何らかの理由でテストステロンを浴びてしまうと、心の性が男性になってしまう。これが心と身体の性誤認を産む原因なのではと言われているのです。

なお、このような現象がおきるのは「妊娠中のストレス」が原因とする声をネットなどで見かけますが、上述のように医学的にははっきりとした原因はまだ解明されておりません

年々増える性同一性障害患者の推移

昨今性同一性障害で悩む方人が増えており、北海道文教大学池田宮司教授が発表した数値によると、札幌市内での性同一性障害者は2800名余り。この数値を全国規模に置き換えると、約4万6千人以上の性同一性障害者がいると考えられます。ただし性同一性障害を抱えながらも、病院を受診していないケースはこの数には含まれません

また一般社団法人gid.jp日本性同一性障害とともに生きる人々の会が調査した性別変更の推移を見てみると、2004年の97人から徐々に増え続け、2016年には865人もの人が性別変更をしたことが分かっています。

1951年に日本発の性別適合手術を受け、性別変更を受けた永井明子さん(MTF)以降、着実に性同一性障害者の数は増えていますが、まだまだ正しい知識の啓蒙はそれに追いついていないのが現状です。

<参考リンク>
http://demo.jamas.or.jp/api/opensearch?q=[%92r%93c%8A%AF%8Ei]/AU
http://www.gid.jp/html/GID_law/index.html

性同一性障害とトランスジェンダーの違いについて

トランスジェンダーと性同一性障害は違う!

よく聞かれるのがトランスジェンダーと、性同一性障害の違いについてです。結論から言ってしまうと、トランスジェンダーと性同一性障害は、イコールではありません

トランスジェンダーとは、「心と身体の性に違和感を持っている人」のことを指します。トランスジェンダーの定義にも明確な答えはありませんが、性別適合手術を望まず、心と身体に違和感を持っている人と捉えればわかりやすいでしょう。

詰まるところ、トランスジェンダーという母集団の中でも、医療行為を伴った性別変更を望む人が、性同一性障害者なのです。性同一性障害者は自身の生まれ持った性別に、強い拒否感を示す場合が多いと言われていますが、その性別の違和感の度合いも十人十色、大小様々。

時には高校卒業とともにお水の世界に羽ばたきお金を貯めて、タイで性別適合手術を受ける人も少なくありません。しかし性同一性障害者の中でも体へのメス入れには否定的な見解を持っている人もおり、ホルモン療法のみで充実した社会生活にプライベートを送っている人もいるくらい。また様々な理由で性別適合手術に踏み切れず、更に自身の葛藤を募らせる人が多いのも実情です。

一言で性同一性障害と言っても、「どんな自分でいたいのか?」という究極のアンサーは、それぞれ異なります。それが人間の性決定の危うさであり、そして個性を形成する要素なのかもしれませんね。

性同一性障害者の診断とQOLを向上させるガイドライン

個人的に性同一性障害を治療する、という言葉は使いたくありません。ここでは、性同一性障害の診断から人生の質を向上させる為のガイドラインについて、お話したいと思います。

性同一性障害の診断基準と問題点

性同一性障害で悩む人は、自身が自覚するジェンダーアイデンティティーを強く主張します。心と身体に違和感があるのだから当たり前なのですが、その自称具合が性同一性障害の診断を難しくしているのです。

私自身が思うのは性同一性障害と身体醜形恐怖症(自分の容姿を「醜い」と感じてしまう疾患)は似ているということ。つまり「あなたは醜くないよ!思い過ごしなので、元気を出して生きてください!」と醜形恐怖で悩む人に言ったところで、本人の醜いという自認は決して薄れません。

それと同じく性同一性障害を主訴として病院を受診しても、「あなたは性同一性障害じゃありません」と言われたらどうでしょう?きっとそんなはずはない!自分はホルモン療法を受けたいし、性別適合手術も視野に入れているんだと反発する人が多いはずです。

通常性同一性障害の診断では、日常生活でどれだけ苦痛を持っているか、永続的な苦痛か否か、そして何故本人が性同一性障害だと思っているのかを、長いスパンで診断することが基本です。

しかし医師と心と心の対話が出来ていないが為に、本当に必要な治療を受けられない場合も少なくありません。性同一性障害を訴える人を的確に診断することは大変難しく、更に人の性は移り変わることもあるので、本当に正しい診断結果が出るとは限らないのが現状なんです。

性同一性障害と共に生きるということ

人それぞれが望む形での打開策は異なりますが、現在日本では2人以上の医師による正式な「性同一性障害である」という診断の元に、心理的なカウンセリングとサポート、ホルモン療法そして性別適合手術の3つのステップが用意されています。

性同一性障害はホルモン療法、性別適合手術が全てのような風潮もありますが、精神的なサポートはそれ以上に大きな心の安定剤になることは言うまでもありません。

大人と子どもでは医師による対処方法も異なり、子どもの場合は当たり前ですがホルモン療法や性別適合手術ではなく、学校生活や家族とのあり方をカウンセリングによってサポートするのが主流です。

大人の場合は、特に先を見据えた姿勢が性別適合手術を急がせてしまうケースが多く見受けられます。特に外国で性別適合手術を受けた場合、術後経過が悪かったり、想像とは異なる審美性に肩を落とし手術自体を激しく後悔するパターンも……その為医師を介さない自分主導の服薬や外国での手術は、しばし大きなリスクを伴います。

性別適合手術が保険適応に!?

性同一性障害で悩みながらも、その高額過ぎる性別適合手術に躊躇していた人は少なくありません。しかし2018年から性別適合手術が、保険適応が検討されるという嬉しいニュースが飛び込んできました。

保険が適応された暁には、3割の自己負担のみで治療が可能になります。この社会的保障が実現すれば、手術費用の負担が大幅に減り、性同一性障害者にとっては待ちに待った医療改革となることでしょう。ただしホルモン治療に関しては、保険適応外の据え置きになるということです。

まとめ

性同一性障害を抱えている人を、身近に接することはあまりなく、あなたにとって違う世界でのお話しかもしれません。

しかし性同一性障害という、肉体的苦痛がないイタミを抱えている人々の葛藤は、私たちの想像を絶するもの。一言で性同一性障害と言っても、性別適合手術をした人、ホルモン治療のみの人、そして全く手付かずの人などさまざまです。

狭くなりがちな1つの尺度に、人々の尊厳や威厳というスパイスを加えて見守れたら、きっと性同一性障害を抱える人の苦しみを少なくすることが出来る、そう思いませんか?

RELATED

関連記事

ロゴ:LGBTER 関連記事

TOP