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ずっと恋愛不適合者なんだと思ってた。レズビアンだと気づいてから、一変した恋愛観【前編】

幼い頃から快活で、学生時代も異性からかなりモテていた様子の島谷さん。端から見れば、いわゆる “リア充” のように映っていたことだろう。しかし、島谷さん自身は、「彼氏と別れるたびに解放された気分だった」「ずっと自分は恋愛不適合者なんだと思っていた」と、青春時代の恋愛経験を後ろ向きに語る。そんな島谷さんが、生まれて初めて本気で恋をした相手。それは、自分と同じ “女性” だった。

2017/09/25/Mon
Photo : Tomoki Suzuki  Text : Mana Kono
島谷 優希 / Yuki Shimatani

1993年、富山県生まれ。駒沢女子大学人間関係学科に在学中、不動産系の株式会社LIVMOでインターンを経験。新卒で他の不動産企業へ就職するも、退職して再びLIVMOでフルコミッション契約を結ぶ。現在はフリーランスとして働く傍ら、自身が立ち上げたLGBT当事者向けの不動産サービス「Yu-Mo」の運営にも携わる。

USERS LOVED LOVE IT! 15
INDEX
01 活発だった幼少期
02 周囲の目を気にしていた
03 彼氏をちゃんと好きになれない
04 上京して人生をリセットしたい
05 東京での新生活
==================(後編)========================
06 初めて本気の恋をした
07 進路の変更
08 自分の得意ジャンルでLGBT支援ができれば
09 いつかは家族にも “レズビアン” だと伝えたい
10 カミングアウトで、心が軽くなった

01活発だった幼少期

男子の中で紅一点

小さい頃は活発で、男友だちが多かった。

「女の子とは遊びの好みが合わなくて、いつも男の子たちと外で遊んでいました」

「男子に混じって遊んでいる女の子は珍しかったから、幼稚園では目立っていたと思います」

家族の中では、3人兄妹の末っ子長女。

兄が2人いたこともあって、物心ついた時から男の子遊びが当たり前だった。

「でも、歳の離れた兄たちには結構いじられていました(笑)」

「だから、どうやったら兄たちに負けずにポジショニングを取れるか、いつも考えていましたね」

男子からは比較的好かれていたと思う。

でも、当時はまだ “恋” がどのようなものなのか、自分ではよくわかっていなかった。

「自分が “女” だとも特に意識したことはなかったし、性別に関してはまだフワフワしていたように思います」

サッカーに夢中

通っていた小学校は生徒数が少なく、自分の学年にはなんと18人しかいなかった。

「富山のすごい田舎だったんですよ(笑)。もちろん学年で1クラスしかないので、6年間ずーっと同じメンバーで過ごしました」

「その後あまりに人数が減りすぎて、今では母校は廃校になってしまったんですけどね・・・・・・」

小学校に上がってからも、活発さは変わらず。

「4年生の時には、兄の影響でサッカーを始めたんです」

女子チームもあったが、男子チームにひとり混じってプレイすることが多かった。

「その方が鍛えられるかな、と思ったんですよね。女子だけだと体がなまっちゃうと思って」

放課後や学校が休みの日も、練習や試合でサッカー一色だった。

学年が上がるにつれ、周囲の女子たちは恋愛トークに花を咲かせるようになっていったが、自分はまだ誰かを好きになったことはなかった。

「でも、一応まわりに話を合わせて、好きな男子がいるていにしていました」

男性アイドルのような芸能人にも全然興味がなかった。

「その頃は恋愛っていうよりも、本当にボールが友だち、みたいな感じだったんですよね(笑)」

「でも、1学年年上の女の先輩とすごく仲が良くて、よく一緒に遊んでいたのを覚えています」

先輩が卒業してしまう時には、すごく悲しくてずっと泣いていた。

「しばらく経ってその時のことを思い出した時に、『もしかして先輩のことが好きだったから、あんなにさみしかったのかな』って思ったんですよね」

「でも、当時は全然自覚していませんでした」

02周囲の目を気にしていた

ちょっとした逸脱行動

中学も地元の学校へ進学。

小学校時代とは打って変わり、1学年100人以上と人数も多い学校だった。

「そのためか、環境はかなり変わりましたね。やんちゃな子とか、いろんなタイプの生徒がいました」

部活はバトミントンクラブに入ったほか、学外では、大人も集まる女子サッカーのクラブチームに所属していた。

放課後や休日は、相変わらずスポーツに明け暮れる毎日。

「だから体育全般はそこそこできたんですけど、学校の成績はすごく悪かったんです」

何事にも興味を持って率先して取り組んでいたのだが、それが逆に “逸脱した行動” と取られていたのだと思う。

「先生には、協調性がなくてあんまり言うことを聞かない生徒だと思われてたんじゃないですかね」

「あと、ちょっとやんちゃ系のグループに入っていたので、目をつけられていたと思います(苦笑)」

年上の先輩たちに気に入られたこともあって、夜家に帰るのが遅くなる日もしばしば。

当時、家庭教師をつけていたのだが、勉強もサボりがちになっていた。

「それもあって、帰りが遅かった時に、お母さんに思いっきり頬をひっぱたかれたこともありました」

ポジショニングが何より大切

帰りが遅くなることはあったものの、その他の面で親に反抗していたわけでもなかった。

「やんちゃな友だちと行動はしていましたが、私としては、自分がそれほど悪いことをしているという認識はなかったんです」

というのも、校内でのポジショニングにとても気を遣っていたからだ。

「中高では、自分のポジションをどこに置くかをすごく重視してて」

「どのグループに所属していたら、うまく周囲に馴染んで卒業まで円滑に過ごせるかって、かなり考えていました」

田舎という閉ざされたコミュニティの中では、立ち回りを間違えれば死活問題にもなってしまう。

そうした状況も見越して、あえて安定的なやんちゃグループに属していたのだ。

「だから、グループのみんながちょっと悪いことをしていても、自分はそれに加わらずに輪の外から眺めてる、みたいな感じでしたね」

「校外のサッカーチームでは、すごく仲のいい友だちが多かったんです。だから、言い方は悪いんですけど、学校の友だちはちょっとぞんざいにしていた部分がありました」

教師からも、「君はサッカーが大事なんだろうけど、校内での人間関係を適当にあしらっていないか?」と指摘されたこともあるほどだった。

03彼氏をちゃんと好きになれない

彼氏はいたけれど・・・・・・

初めて彼氏ができたのは、中1の頃。

相手を本当に好きだったというよりは、恋に恋している状態だったと思う。

「どちらかといえば、スポーツ系っていうよりはインテリタイプの男子でした」

「でも、彼とは1ヶ月くらいしか続きませんでした」

その後も告白されて何人かの男性と交際をしたものの、だいたい短期間で別れてしまった。

「いつも、私から音信不通になってしまうんです。同じ学校だから相手と顔を合わせたりはするんですけど、メールとかは無視しちゃってましたね」

どうしていつも交際が続かないのか。

うっすらとではあるものの、なんとなく思い当たる節はあった。

もしかしたら、自分は女の子が好きなのかもしれない。

「でも、やっぱり田舎だし、それまで築いてきたポジショニングを崩したくないって気持ちが強かったんです」

だから、同性との恋愛に踏み出すのはリスクが大きすぎると思った。

「それで、結局その後も『今回は好きになれるかも』と期待しながら、男の子と付き合ってました」

「あと、これもあんまり良くなかったなとは思うんですけど・・・・・・自分のポジションを守るために、カースト上位の男子を選んで付き合ったりしてましたね(苦笑)」

恋人に執着する意味がわからない

毎回「今度は好きになれるかもしれない」と期待していたものの、どの男性と付き合っても気持ちは燃え上がらなかった。

「一応、最初は好きにはなるんですよ。でも、多分 “Love” ではなくて “Like” の延長線上にあったんだと思います」

「だからなのか、気持ちが全然保たないんです。熱がすぐ冷めちゃうんです」

とはいえ、付き合っている彼女だったら、バレンタインにはチョコレートをあげないといけない。相手の誕生日にはプレゼントをあげないといけない。

「そういうのが面倒で、イベントの前に別れてしまうことが多かったですね。なんか窮屈になるんですよ」

自分はいつもそんな調子だったから、周囲のカップルがなぜ恋愛で一喜一憂しているのか、当時はまったく理解ができなかった。

「みんな、本当に好きな相手には見返りを求めないじゃないですか?でも、私は全然そうはなりませんでした」

私はこれだけ尽くしたんだから、あなたも同じだけ尽くして。

そうやって、ギブアンドテイクの関係性を求めていたと思う。

でも、男性と触れ合うこと自体は嫌ではなかったし、キス以上の経験もある。

「男性嫌悪があるわけではないんです」

「多分、兄がいたこともあって、スキンシップの延長みたいな感覚でした」

04上京して人生をリセットしたい

バイセクシュアルなのかもしれない

高校生になってからも、相変わらず彼氏を作ってはすぐに別れてを繰り返していた。

「でも、高1の時に、もしかしたら自分はバイセクシュアルなんじゃないかって初めて思ったんです」

小学生の時に女の先輩を大好きだったのは、もしかしたら恋愛感情だったのかもしれない。

ふと、そう気づいたのだ。

「でも、レズビアンっていうよりは、『女の子もいけるんじゃないか』って感じでした」

当時、まだ自分の中で確信はなかったから。

「『自分の勘違いじゃないか』とか、『本当に好きになれる男性にまだ出会えていないだけなんじゃないか』とも思っていましたね」

「男性を好きになれないわけじゃない」と思いたかったから、その後も彼氏を作り続けていた部分もある。

「でも、いつも短命・・・・・・。私はずっと自分が恋愛不適合者だと思ってたんです」

自分は冷めて別れるパターンばかり続いたから、友だちが失恋でショックを受けているのもあまり理解できなかった。

「ほかにも男はいっぱいいるんだし、別の人とまた付き合えばいいじゃん!って思ってましたね」

どの彼氏と別れても何も思わなかった。

むしろ『やったー!』と、解放された気になっていた。

東京に行きたい

高校受験をしたものの、希望校には不合格。

仕方なく、偏差値がそれほど高いとはいえない学校に進学した。

しばらくは勉強もせず不真面目に過ごしていたが、段々と進路について考えるようになっていった。

「中学生の頃から、東京に行きたいっていうのはずっと考えていたんです」

東京に親戚がいたこともあって、小さい頃から東京にはよく遊びにいっていたのだ。

「原宿とか、いろんなところを訪れて、『自分の住んでる富山はなんて遅れてるんだろう』って思ったんですよね」

東京には、自分がこれまで知らなかった人やものがたくさんある。

「東京に憧れてたんです。逆に言うと、地元はあんまり好きじゃなかったんです」

富山はコミュニティの幅も狭いし、情報量だって少ない。

「だから、自分のことを知らない人たちがいる場所で、もう一回人生をやり直したいって、思うようになっていきました」

両親の後押しもあって、東京の大学受験を決意する。

「ちょうど高2の時に東日本大震災が起きて、その時に臨床心理士の仕事を知りました。それで、自分もその仕事に就きたいなと思ったんです」

「そこから大学もいろいろ調べたんですけど、行きたい学校には偏差値が全然届いていなくて」

そこで、高3の4月から猛勉強を始めた。

「ピークの時は、1日3時間睡眠でした」

「中学時代からサボっていたから、1年で6年間分勉強しなきゃいけなかったんですよね(笑)」

短期間ながらも勉強に励んだ結果、東京の女子大に無事合格できた。

05東京での新生活

憧れの東京

大学進学と同時に、ずっと憧れていた東京での生活をスタートさせる。

初めてのひとり暮らしということもあって、最初の1ヶ月はかなり苦労した。

「それまで食事は親が作ってくれるのが当たり前だったし、富山は食材もいいものが揃っていたんですよね」

上京してから、自炊はあまりせずにコンビニ弁当ばかり食べていたら、体を壊してしまったのだ。

「東京の食べものって、私には合わないんだなって思いました」

「富山のご飯が恋しくて、カルチャーショックというか、一種のホームシックになってたと思います」

とはいえ、新生活はとても充実していた。

「東京の環境は想像通りでした。求めれば、どんな人にも出会えるんだなって実感できたんです」

大学にも仲のいい友だちはいたが、どちらかといえば校外での活動に力を入れていた。

友だちの紹介から、社会人や芸能人も多く集まるクラブイベントの制作スタッフを務めることになったのだ。

「そこでいろんな出会いがあったんです。企業の社長さんとか、それまで出会うことのなかったような人たちがいっぱいいましたね」

初のカミングアウト

大学生になってからは、コンビニでアルバイトも始めた。

「高校生の時にもコンビニバイトをしてたんです」

「新生活がスタートしたばかりだから、せめてバイトは慣れてるものにしようと思って、コンビニを選びました」

職場で知り合った女の先輩とは意気投合し、互いに相談ごとをする機会も増えていった。

「そんな折に、先輩から『もしかしたら自分は男性より女性の方が好きなのかもしれない』って相談されたんです」

その流れで、「実は、私もそうかもしれないんです」と何気なしに話した。

人生初のカミングアウト。

「それで、これはチャンスだ!と思って、新宿二丁目に、先輩とふたりで初めて繰り出したんです」

「それまでずっと行ってみたかったけど、ひとりじゃ行きにくいなと思っていたので」

初の二丁目訪問では、残念ながらレズビアンの知り合いを作ることはできなかった。

「でも、その時流れで行ったゲイバーのママさんに、席について10分くらいで『あなた、これまでに誰かを本気で愛したことないでしょ?』って言われたんです」

「最初に軽く挨拶をして、カラオケを2曲入れて歌った直後のことだったんですけど・・・・・・。恋愛トークなんてほとんどしていないのに、ですよ?」

日々さまざまな人間に出会って話を聞いてきたママさんだからこそ、自分を前に何か感じるものがあったのかもしれない。

「ちょっとした会話や身のこなし、カラオケの選曲から判断したのかもしれないですね」

「そう言われて、ハッとしました」

これまで、彼氏は普通に何人もいたし、元彼に振られたこともなかった。

自分では、うまく恋愛できていると思っていた。

でも、自分自身、心の底から誰かを愛したことはあっただろうか・・・・・・?


<<<後編 2017/09/27/Wed>>>
INDEX

06 初めて本気の恋をした
07 進路の変更
08 自分の得意ジャンルでLGBT支援ができれば
09 いつかは家族にも “レズビアン” だと伝えたい
10 カミングアウトで、心が軽くなった

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