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私がレズビアンであることを、受け入れてほしい人がいる。【後編】

私がレズビアンであることを、受け入れてほしい人がいる。【前編】はこちら

2017/10/23/Mon
Photo : Rina Kawabata Text : Ryosuke Aritake
山本 麻耶 / Maya Yamamoto

1990年、北海道生まれ。小学校高学年からアニメや漫画の世界にハマり、BL作品にも興味を持ち始めた。高校を中退した後、インターネット上で知り合った女性と初めて交際し、自身の性指向を認識する。現在は上京し、交際3年目の女性パートナーと同棲しながら、アルバイトで生計を立てている。将来の夢は、LGBTフレンドリーな飲食店を立ち上げること。

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INDEX
01 人の影に隠れていた子ども
02 無自覚の変化にあふれた学生時代
03 若さと勢いで始まった恋愛関係
04 認めてもらえなかった “彼女”
05 男性との交際が導いたレズビアンという道
==================(後編)========================
06 求める理想とギャップのある現実
07 新たな環境に出ていく決意
08 受け入れてくれた人と受け入れてもらいたい人
09 大好きな人との未来を思い描ける幸せ
10 伝えていきたい自由に生きる意味

06求める理想とギャップのある現実

瞬間的な恋

20歳を超えてからは、さまざまな女性とつき合ってきた。

短い期間で別れることも多かった。

「寂しかったのもあって、恋人を作っては別れてを繰り返していました」

「ネットで知り合うパターンが多くて、一度直接会って、そのまま疎遠になることもありました」

「私もやんちゃだったんですね(苦笑)」

自分から、別れを切り出すことが多かった。

考え方が少し合わないだけで、「この人は違うのかな」と感じた。

1人の人と長続きすることは、ほとんどなかった。

条件は “思いやりを持つこと”

恋愛で重視していることは、互いに思いやりを持つこと。

「例えば、年上だから奢るっていう考え方は、すごく嫌です」

「パートナーは平等だと思うので、会計の時に財布を出す振りくらいはしてほしい(笑)」

「あと、ケンカもあんまりしたくないな」

どんな事でも、話し合いで解決していきたい。

気になることがあったら、隠さずに指摘し合いたい。

「モヤモヤしたままにしないで、次の日には何事もなく『おはよう』って言える関係が理想ですね」

男性役を任される恋愛

女性との恋愛で、唯一気になっていることがあった。

相手に、男性性を期待されることが多かった。

「身長が高いので、どうしても男性役に回ることが多かったんです」

「私も、かっこいい方がいいのかな、と思いながらボーイッシュな格好をしていたんですけど」

本当の自分はかわいらしい服が着たかった。

男性役や女性役という括りに捉われずに、人を好きになりたかった。

「自分に男性役って意識がない分、役割が固定になるがちょっと嫌でした」

07新たな環境に出ていく決意

断念した一度目の上京

20歳になったばかりの頃、静岡に住んでいた年下の彼女がいた。

「当時、私は上京しようと考えていたんです」

「同棲は考えていなかったんですけど、彼女から『一緒に住みたい』って言われて、2人で住める家を探していました」

こっそり探していたが、不動産会社から母に確認のための連絡が行ってしまった。

「お母さんには『一緒に住むなんて聞いていない』って、止められました」

「まだ女の子と一緒にいるのはダメなんだな、って思いましたね」

母に止められたことを知った彼女から、「これからのことを考えたい」と連絡が来た。

直感的に、距離を置きたいのだろうと感じた。

「彼女の中で気持ちが決まっていることを感じたので、私から別れを告げました」

許された二度目の上京

上京のために貯めていたお金は、アニメや漫画などの趣味に注ぎ込んだ。

しかし、3年ほどが経った頃、再び「上京した方がいいかな」と思い立った。

「東京に行かないと、きっと後悔するって思ったんです」

両親は、上京については反対しなかった。

「住む家が決まった時、お母さんは『もう決まったの? 寂しい』って言っていました」

「当時は、『賃貸契約の2年が経ったら帰る』って話していましたね」

「実際は、今年で上京3年目に入りましたけど(笑)」

東京に来て最初に感じたものは、人の冷たさ。

タクシーの運転手の人柄が、北海道とはまったく違った。

「地元の札幌では、運転手さんとの会話が多かったし、トランクを開けたり荷物を入れたりしてくれたんです」

「でも、東京では自分でトランクを開けなきゃいけないし、愛想もないなって感じて」

「東京に住み始めた頃は、ホームシックになりました」

ベランダに出て、北に向かう飛行機を眺める日々だった。

同時に、憧れの街に住んでいるという喜びも確かにあった。

「アニメが好きだから、わざわざ神田の職場を選んで、秋葉原によく通っていました」

アニメグッズや同人誌を買い漁り、メイドカフェを巡った。

地元ではできなかったことを満喫した。

「札幌よりお店も多くて盛り上がっているので、すごく楽しかったです」

「食べ物や空気、人柄は札幌がいいけど、遊べて楽しいのは東京ですね」

08受け入れてくれた人と受け入れてもらいたい人

やさしすぎる人との出会い

具体的に上京に動き出した頃、「なりきり掲示板」で1人の女性と出会った。

掲示板を通じて意気投合し、相談事に乗ってもらう間柄になっていた。

「彼女もレズビアンで、男性役に回ることが多かったらしいんです」

「だから、『エスコートして』って言われるのはしんどい、って話にも乗ってくれました」

「気持ちをわかってくれたことがうれしかったです」

やりとりをしていく中で、彼女から「つき合ってほしい」と告白された。

うれしい申し出だったが、断った。

「彼女があまりにもいい人だから、私にはもったいないと思ったんです」

「少し時間が経って、彼女がまた告白してくれたんです」

「この人なら大丈夫、って思って、つき合い始めました」

「今も大切なパートナーです」

そのままを受け入れられる関係

上京してからは、半同棲のような日々を送っていた。

「1回もケンカしたことがないんですよ」

「彼女が、思いやりを持って接してくれるからだと思います」

彼女との交際が始まってから、女の子らしい服を着られるようになった。

「本来の私を受け入れてもらえたんです」

「逆に、彼女は最初フェミニンな感じだったんですけど、今はもともと好きだったボーイッシュな格好が多いんです」

服のテイストや髪形が、正反対になっていく関係が面白かった。

マンションの契約更新のタイミングで、同棲することを決めた。

「彼女のお父さんに、保証人になってもらいました」

「彼女のご両親には、一度お会いしたことがあるんです」

彼女の故郷・沖縄に行った時、帰りの空港で彼女の母親にこう言われた。

「あの子のことを、よろしくお願いします」

自分の気持ちを伝えたい人

同棲する際、不動産会社に「母には連絡しないでほしい」と伝えると、「わかりました」と承諾してくれた。

だから、現在母は同棲していることを知らない。

「お母さんは察しているのかわからないですけど、恋愛のことは何も聞かないです」

「ただ、彼女は『一緒に住んでいることだけでも知ってほしい』って思っているみたいです」

彼女の気持ちを汲み、近いうちに母に話そうと思っている。

しかし、そう決意する度に、18歳の頃の家族会議の記憶がよみがえってしまう。

「両親と当時の彼女との話し合いがトラウマで、勇気が出ないんですよね」

「お母さんの言葉で、今のパートナーを傷つけてしまうのが嫌だな、って思って」

それでも、やさしい母にはいつか認めてもらいたい。

そのためには、自分の思いを真摯に伝えるしかない。

「彼女には精神的にも金銭的にも支えてもらっているので、その感謝の気持ちをお母さんに伝えたいです」

上京してから、うまく眠りにつけず、病院に通っていた時期があった。

その時期を乗り越えられたのも、彼女がそばにいてくれたから。

「私は1人じゃなくて、陰で支えてくれた人がいるんだよ、って言えたらいいなって思います」

09大好きな人との未来を思い描ける幸せ

お揃いの指環

今年の9月で、今のパートナーとつき合い始めて3年が経つ。

1人の相手と、ここまで長く一緒にいた経験はなかった。

つき合って1年が経った頃、彼女がお揃いの指環を欲しがった。

自分は、買うことをためらってしまった。

「ペアの指環を買っても、すぐに別れてしまった経験があったので、もうちょっと経ってから渡したかったんです」

「正直にそう話したら、彼女は『5年まで待つ』って言ってくれたんです」

3年目を迎えると、5年目が徐々に現実的になってきた。

指環の話をしていた時に、自然な流れで「結婚式も挙げたいね」と言っていた。

「彼女は私の1歳上なんですけど、お互いに30歳になる前に式を挙げたいねって」

「今はお揃いの指環と同じタイミングで、結婚式もしようって考えています」

ダブルドレスの結婚式

すでに結婚式に向けて動き始めている。

沖縄で挙げるつもりだ。

「景色がキレイだし、彼女の親戚も呼びやすいので、沖縄に決めました」

「できれば、お母さんにも出席してほしいんですけどね」

「そのためにも、結婚式の前までにはちゃんと彼女がいることを話さなきゃなって」

今は会場の資料を集めて、2人で見ながら検討している段階。

「彼女は『最近太ってきたから、ドレスは着たくない』って言うんですよ」

「でも、彼女のご両親にドレス姿を見せてあげたいから、無理やりドレスを着せます(笑)」

「2人ともカラードレスに魅かれているので、純白のドレスではないかもしれません」

住んでいる埼玉では、まだ同性パートナーシップ制度は導入されていない。

それでも、彼女と一緒にいることが大切だと思っている。

パートナーと共有している夢

彼女と2人で抱いている夢がある。

LGBT当事者が訪れやすい店を立ち上げたい。

「前々から、30代後半ぐらいに2人でお店を出したいねって話しているんです」

「この年になって現実的になってきたので、いろいろと勉強中です」

2人が住んでいる埼玉に出店することが目標。

「SNSでつながっているレズビアンの方の中には、埼玉に住んでいる方が多いんです」

「もしかしたら、埼玉には当事者の人たちが多いのかもしれないって感じて」

将来の夢を共有できるほど、信頼できるパートナーの存在は大きい。

10伝えていきたい自由に生きる意味

好きな生き方を貫くこと

「私はフリーダムに生きてきたので、こういうヤバいやつもいるんだよって伝えていきたいです(笑)」

特別な人生を歩んできたわけではない。

ただ、レズビアンだから見えてきたものがあった。

「もうちょっと生きやすい世の中になればいいのにな、って思うんですよね」

世の中には、第三者に敷かれたレールの上を、仕方なく歩いている人がいる。

その姿を見ると、「自分の好きなことをすればいいのに」と感じる。

「私は彼女と手をつないで、街を歩いています」

「でも、人前では手をつなげない、って感じている当事者の方もいるんですよね」

「何の差別もなく、みんながフリーダムに生きられたらいいのに、って思います」

恵まれた人間関係

女性が好きかもしれないと自覚しても、周囲から茶化されることはなかった。

「レズビアンであることを打ち明けた人たちは、みんな受け止めてくれました」

「人には恵まれているな、って感じますね」

現在の職場では、2人にだけカミングアウトしている。

1人は、女性とつき合った経験のある先輩の女性。

もう1人は、元カレがバイセクシュアルだった同期の女性。

「当事者と関わった経験のある人には、話しやすいですね」

環境には恵まれてきたが、唯一否定された母とは、いまだに向き合えずにいる。

一番受け入れてほしい人

10代の頃、当時の彼女との交際を反対された時は、母とケンカしたこともあった。

「反抗期だったのもあって、お父さんが止めに入るくらい激しいケンカもしました」

「お母さんに、至近距離で茶碗を投げられたこともありましたね(苦笑)」

その時は、母の言う通りにした方がいいかもしれないという思いが、一瞬よぎった。

「結局は自分の気持ちを曲げられなくて、好きなようにしてしまったんですけどね」

悩まなかったわけではなく、辛くなかったわけでもない。

ただ、それでも自分の気持ちに嘘はつきたくなかった。

「今は、お母さんに受け入れてもらいたい気持ちが一番大きいです」

「それでもお母さんに『無理だ』と言われたら、仕方ないかなって思います」

「ここまできたら、いまさら来た道を引き返すつもりもないですから」

本当は、結婚式が親孝行になればと思っている。

しかし、母が受け入れてくれなければ、親孝行にはならない。

それでも、選んだ道を突き進もうと思えるのは、信頼できるパートナーが隣にいるから。

「彼女がそばにいてくれることが、大きな安心感につながっていますね」

いつか大切な人に、自分の気持ちが伝わると信じて・・・・・・。

あとがき
よくある質問「好きなタイプは?」。好意のある相手ならば、努力して寄せたいと感じることも。新しい出会いで麻耶さんは、少しずつ知り合ってける安心感と自分の気持ちを大切することを知った■フンワリとした雰囲気、堅実さが麻耶さんの魅了だ。自身を見つめることで、目標を得られた。だから積み重ねる一歩が小さくても、大変なときもなお頑張ろうとできる。カラードレスの結婚式、ペアリング、カフェ・・・一緒に夢をみた。(編集部)

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