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私と私の大切な人が 幸せになる方法【後編】

私と私の大切な人が 幸せになる方法【前編】はこちら

2015/09/01/Tue
Photo : Mayumi Suzuki Text : Kei Yoshida
木戸 麻衣子 / Maiko Kido

東京生まれ。グラフィックデザインの専門学校を卒業後、アパレルブランド3社やコンサルティング会社に勤める。アパレル業界では、現場での経験のほかにセミナーを受講するなどして、コミュニケーションスキルを高め、ストアマネージャーとしての業務を長く担当。2015年3月、新宿三丁目にミックスバー「Bar M’s factory」をオープン。レズビアン寄りのバイセクシュアル。

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INDEX
01 レズビアンとして、会社員として
02 ありのままの自分で生きるための店
03 親友に伝えた「好き」という気持ち
04 両親とレズビアンである自分との距離
05 社会を不満に思う前にできること
==================(前編)========================
06 自分を偽る苦しさからの解放
07 レズビアンカップルと結婚と出産
08 未来のための新たな仕事
09 セクシュアリティで悩まないで
10 人生に必要なのは一歩を踏み出す勇気

06社会を不満に思う前にできること

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パートナーシップ制度は、うれしいけれど。

インタビュー時は、パートナーとの付き合いが始まって、まだ2ヶ月。

二丁目のレズビアンバーで初めて会ってから、何度か顔を合わすうちに意気投合したということだ。

すでに一緒に住んでいるというふたりの今後について訊いてみた。

「これからも一緒にいたいと思っています。結婚ができるのなら、したいですよ。でもパートナーシップ制度は利用しない。実は、渋谷区に住んでいるんですけど。もちろん、制度が認められたことは、ふたりで喜びましたよ」

「『日本が変わっていくね、よかったね』って。私は、婚姻関係に近い権利を認められたいんじゃなくて、彼女と結婚したいから。でも、今の日本じゃ無理ですよね。とはいえ、海外で結婚しても、結局は日本に戻ってきたら無意味だし」

「それでも、特に社会に対して不満はないんです」

結婚したいけど、できない、けれど不満ではない、と木戸さんは言う。

どんな状態であっても、今、楽しく生きる方法はいくらでもあると思っているからだ。

現状のままで、幸せを探す大切さ。

「セクシュアルマイノリティは日本では生きにくい、そう言って悩んでいる人が多いのは事実。愛する人が現れても、結婚できない。社会に認めてもらえない。私も、誰かと別れるたびに思います」

「いつまで、こんな恋愛を続けるのかと。でも、できないことを悲しむよりも、できることをやって楽しく生きたほうがいい。社会を変えるのは難しく、自分を変えるのはもっと難しい」

「自分は自分。それを認めて、自分と自分が大切に思っている人が幸せに生きられるような方法を考えるべき」

「もちろん、今回のパートナーシップ制度のような、私たちセクシュアルマイノリティも住みやすい社会になるための活動に対しては、協力できることがあったらしたいと思っています」

「同時に、現状のままだとしても、自分と身近な誰かの未来を前向きに捉えることこそが、まず大切だと思うんです」

どんなに悩んでもレズビアンである自分は変わらない。

ならば自分をそのまま受け入れて、前向きに生きていこう。

確かに、セクシュアリティに関係なく、不安や不満を言い出したらキリがない世の中である。木戸さんの言葉は、きっと誰にでも響くはずだ。

07レズビアンカップルと結婚と出産

パートナーと家族になりたい。

パートナーと結婚したいと思っている、と言う木戸さん。では、思い描いている “家族のかたち” は、どのようなものなのだろう?

「家庭をもって、落ち着きたいという気持ちが強くて。ずいぶん前から子どもも欲しいんですよね。パートナーと私と子ども・・・・・・・。家族になりたいんです」

レズビアンカップルが子どもを得る方法のひとつとして、第三者である男性から精子を提供してもらうという方法がある。

しかし、木戸さんは気が進まないと言う。

それは、譲り受けた精子とパートナーの卵子のもとに誕生した子どもは、木戸さんの遺伝的要素を持ち合わせていないから。

パートナーが産んだ子どもならば愛せる。だけど、家族として、自分だけ、どこか疎外感を感じてしまうことにも頷ける。

子どもがほしい同性カップルとハードル。

当然のことながら、同性カップルが子どもを授かるためには、第三者である異性の協力が必要となる。

ゲイカップルとレズビアンカップルの4人で協力し合って、表向きは異性愛カップルとして結婚する場合もあれば、ゲイカップルが代理母を依頼する場合もあるし、レズビアンカップルが精子提供者を募る場合もある。

そして、養子を迎えるという方法も。

いずれにせよ、法律の後ろ盾のない同性カップルにとっては、子どもを授かるということは相当な覚悟がいる。

経済的基盤の確保、周囲や子ども自身へのカップルの関係性の説明など、越えなければならないハードルは山ほどある。

「私は、私の分身である子どもが欲しいんです。できることならば、私の卵子と精子提供者で授かった子どもをパートナーに産んでほしい」

「そうすれば、私とパートナーと子どもは、家族としてひとつにつながれるから」

2015年2月には、ケンブリッジ大学とイスラエルのワイツマン科学研究所の共同チームによって、男性の皮膚細胞から卵子と精子をそれぞれ作製できることが明らかとなった。

2年後には、この技術をもとに子どもをつくることも可能になると言われている。

すると、ゲイカップルがふたりの子どもを授かることも夢ではなくなるのだ。

しかし、現段階では、Y染色体をもたない女性の皮膚からは精子を作製することはできない。

レズビアンカップルは科学技術の進歩を、もうしばらく待たねばならないようだ。

08未来のための新たな仕事

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さらなるステップアップを目指して。

パートナーと一緒に生きていくために、結婚や子どものこと、そして経済的基盤となる生業のことを、お互いに話し合って選びとっていく未来が、そこにある。

木戸さんは、その未来のために仕事についても新たな展開を考えているという。

「脱サラして、店をもち、オープンして間もないけれど、なんとか軌道にのって。でも、それは最終目標だとは思ってないんですよ。もう、次のビジネスのことを考えています。パートナーも飲食店に関わる仕事をしてきたので、彼女と一緒に店に立つのではなく、彼女に店を任せて、私は新しい仕事をしようかと」

「実は、アパレル業界でストアマネージャーとして現場をまとめていた経験を生かして、コンサルティングのトレーナーをやっていたことがあるんです。その知識とスキルをもとに、またコンサルティングを始めるのも、ひとつかなと思っています」

「コンサルティングは、ぶっちゃけ、パソコンと脳があればできる仕事ですが、重要なのはビジョン」

「始めるにあたって、看板としてセクシュアリティを掲げるかどうか、私の強みはなんなのか。そこがクリアになったら挑戦したいですね」

今までのつながりを生かしたい。

同時に、軌道にのっているというバーについても、次のステップを予定している。

「実は、年内に2店舗目をオープンさせたいとも考えていたんです」

「でも、まだこの店でもやれることがあるな、と思って。せっかくアパレルに長年携わってきたので、そのつながりを生かして何かできたらと」

「お酒とファッションの組み合わせ、面白いと思いません? 世の中で他に例を見ないこと、やってみたいですね」

仕事のこれからを話す木戸さんは、ひときわ生き生きとしていた。

新しいことを考えることが楽しくて仕方がない。そんな想いがひしひしと伝わってくる。

ひたすら前へ。

幸せだと思える未来へ。
たとえ壁にぶち当たったとしても、力強く壁を越えていく。

木戸さんの圧倒的に前向きなパワーは眩しいくらいだ。

09セクシュアリティで悩まないで

ハッピーに生きるためにはどうしたらいいのか。

そんな木戸さんの前向きなパワーに惹かれて、店を訪れる客は多い。

ときには、恋愛の悩みを打ち明けられることも。

「気になってる相手を連れてきて、『どう思う?』なんて聞かれたり。分かんないよって言いながらも、思ったことは伝えてます。悩み相談を受けることも多いけど、深刻なのはあまりないかな」

「私が、悩んでいる時間がもったいないって思ってる人間だから(笑)。立ち止まって考えることは必要だけど、悩んでも解決できないこともありますしね。例えば、レズビアンとして生きて行くことが辛いって悩んでいても答えはない。世の中に隠して生きなきゃいけないし。それってしんどいことだし」

「やめられればラクだよね、でもやめられないでしょって」

「そんなことより、自分がハッピーに生きるためにはどうしたらいいのかってことを考えようよってアドバイスしますね」

まず、自分がどうしたいかを考える。

ときには正面から受け入れ、ときには優しく突き放す。

そんな木戸さんの対応には嘘がない。
だからこそ、多くのひとの信頼を得られるのだと納得できる。

では、もし今ここに、自分のセクシュアリティについて悩んでいる人がいたら、木戸さんは何を伝えたい?

「今、私はこうやって、真っ直ぐに幸せに向かって突っ走って、悩んでる時間なんてない、なんて言っているけれども、私にも悩んだ経験はあります。なんで私は女性を好きになっちゃうんだろう? レズビアンなの? バイセクシュアルなの? きっと誰もが悩むんです。そんなとき、自分がどうしたいかを考えるんです」

「女性が好きかも、と思うのであれば、一歩進んで女性と付き合ってみるとか。その一歩を踏み出すことができないなら、誰かに相談する。相談する人がいないなら、相談できるような信頼出来る相手を探す」

「一歩一歩でいいから、勇気を出して、とにかく行動を起こすこと。失敗したっていいんです」

「一歩進んで、失敗して立ち止まって、また進んで。決して立ち止まり続けないで、前へ進む勇気をもつことが一番大切なんだと思います」

10人生に必要なのは一歩を踏み出す勇気

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自然のなかで、生きるパワーを充填。

前進する力に満ち溢れている木戸さん。そのパワーの源は、一体なんだろう?

「ハワイかな。もう大好きで。もう20回以上訪れてるんですよ。青い空と青い海を眺めながら、ビーチに寝っ転がってるだけで、ものすごく解放された気持ちになるんです」

「ストレスなんて吹っ飛びますね。趣味らしい趣味なんてないので、ハワイに行くことが唯一の趣味かも(笑)」

「アパレル時代にバイヤーの仕事で、ハワイに買い付けに来たときに、現地の人と仲良くなって、観光客が行かないような洋服屋やレストランを教えてもらったんです。そこから、ハワイに行くのが楽しくて楽しくて」

「実は、ちかぢか8泊10日くらいで行こうかと思ってるんです。LGBTが行くようなバーがあるらしいんで、今回は行ってみようかな」

ハワイ州では2013年11月に同性婚が認められている。

そのため、ハワイへ移住するLGBTが増えているんだとか。

その話題になると、「本当に、ゆくゆくはハワイに住みたいと思っているんです。そしたら、パートナーと結婚できますね!」と明るく笑った。

幸せになるために、前へ。

「私は、私が幸せになるためにはどうしたらいいのかを常に考えている人間」

「私が幸せになるには、私が大切だと思う人が幸せでなければ。結婚も、子どもも、仕事も、そのための方法を考えているんです。でも、考えているだけではなく、行動に起こすことこそ大切です」

「必要なのは、勇気。ちょっとの勇気で、不安や不満が解消されたら、また一歩幸せに近づくんだと思うんです」

「勇気を出して、自分を盛り上げるのは自分」

そんな彼女のメッセージは、多くの人にとって、自らの人生を自らで前へと進むための後押しとなるだろう。

木戸さんの一歩は、とても大きく力強い。

パートナーの手を引いて、自分とパートナーが幸せだと思える未来へと、きっと一緒に進めるほどに。

あとがき
撮影の中盤、穴があいている靴下にスタッフみんながドッと笑う。そう、それは麻衣子さんの[穴]だった。スタイリッシュでクールな印象にお茶目さが加わった。はにかみ笑顔の瞬間■自分の目で見て、自分の耳で聞いて生きていく。麻衣子さんの話にしは、どれも難しさがない。ご両親へハッキリとは伝えなかったセクシュアルのこと。カムアウトの方法が、ハッキリしたものとは限らないと、ここにもある[いろいろ]を教えてくれた。(編集部より)

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