INTERVIEW
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人と違う自分を、スゴイと思える。【前編】

セクシュアリティは99%レズビアン。大学2年生のときにミクシィを使ってカミングアウトした。個別に言うより、さくっと広まるその感じがよかった。だから “人と違う” ことで葛藤することは、あまりなかった。悩むより、自分を大事にすることができた。なぜなら、“人と違う” ということは、スゴイこと。それは、私の個性だから。その価値を教えてくれたのは、自分が愛し、愛された人たちだ。

2017/07/11/Tue
Photo : Mayumi Suzuki Text : Ray Suzuki
林 亜由未 / Ayumi Hayashi

1988年、大阪府生まれ。セクシュアリティで活動するときは「林もやし」とも名乗る。大学では美術を専攻。専門学校職員、IT企業などを経て現在は就職活動中。2009年から2014年までインターネットラジオ「林もやしのセクシュアルマイノリ茶」を月2回のペースで配信。2009年から2015年まで関西レインボーパレードの実行委員として運営に携わる。2017年春からyoutubeでレズビアンの日常を描くオリジナルドラマを発表している。

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INDEX
01 カミングアウトは、ミクシィだった
02 ボーイッシュで、グループ嫌いな女の子
03 仲良しの女の子が、気になる存在に
04 私の中に潜む闇を、隠し続けて
05 初告白と、LB高校生オフ会を招集!
==================(後編)========================
06 人と違う私って、スゴイ
07 SNSカミングアウト後の反響と解放感
08 家族にカミングアウトは、結果オーライ
09 「自分らしく、ありのままに」を実践する
10 自信喪失を乗り超えて、ドラマで再起動!

01カミングアウトは、ミクシィだった

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言っちゃおう、と思って

家族に告げるよりも前に、親しい友だちに話すよりも前に、SNSのミクシィを使って、カミングアウトをした。
大学2年生だった。

「当時、今のFacebookみたいにミクシィが流行ってて。ミクシィの日記に書きました」

特定の人に向かってするカミングアウト、というよりも、サクっと周知させる。そのほうが、ずっと自分らしいはず。

でも書き始めると、思いのほか、長文を綴ってしまった。

「なにも知らない人でもわかるように書いたら、長文になっちゃった(笑)」

いきなりSNSで公表することに、躊躇はほとんどなかった。

「なんでだったんだろう、きっかけは・・・・・・。『もう言っちゃおう』っていう気持ちが、ずっとあったんだと思うんですよね」

ひとりひとり、個別に話そうとは、とりたてて思わなかった。

「ミクシィに、これ見て『別になんともないよ』って思った人は、今度会ったときにネタにしてね、『無理や』っていう人は離れていいです、って書きました」

自分の周りから人が離れてしまってもいいや、と思っていた。

このカミングアウトとほぼ時を同じくして、インターネットラジオ番組の配信も開始する。

番組名がふるっていた。

その名も「林もやしの、セクシャルマイノリ茶(ティ)」。

司会進行を自ら務め、毎回のゲストとセクシュアルマイノリティ談義で盛り上がる番組だ。

「マイノリティのティは “茶”。カフェでお茶を飲みながら話すレベルのものを、ネットの波に乗せました」

大学卒業後も配信を続け、会社員生活が忙しくなる24歳ごろまで続けていた。

99%、レズビアン

性指向については、今でも迷うことがある。

けれど、たぶんレズビアンだと思っている。

「なんて言えば、一番しっくりくるんだろう。男性がどうしてもダメかと問われれば、そうでもなかったりするから、バイセクシュアルなのかもしれない」

「でも今の可能性としては、99%レズビアン」

男性とは、高校時代、大学時代に3人と付き合ったことがある。

違和感を、感じなかったわけではない。

男性芸能人も、普通に「かっこいい」と思ってきた。

中学生のころ、初めてファンになった芸能人は、KinKi Kidsの堂本剛だった。

「男性に違和感はあったけど、お付き合いしたのは3人だけだし、と今でも思う。男性でも合う人がいるんやったら、合うのかも。だから、99%」

可能性を、厳密には否定できないから、99%だ。

「でも最近は、自分のことを『レズビアン』『レズです』って言ったりするので、言い慣れてきたかもしれませんね」

02ボーイッシュで、グループ嫌いな女の子

ずっと、ボーイッシュな女の子だった

小学校入学以前の記憶は、おぼろげだ。

決して活発な子どもではなかったと思っている。いわゆる、人見知りする子どもだった。

「通っていた保育園は女の子2人しかいなくて、あとは男の子。どっちかっていうと内気。あまり言葉がうまく出なかった。家の中では元気だけど、外では恥ずかしがる、みたいな」

でも、そんな内気な性格は、成長とともに変化していく。

「小学校の高学年くらいから、クラスの一番の人気者になってました。自分でいうのもあれですけど(笑)」

小学校は、大阪の守口市立。

1学年1クラスの小さな小学校だった。

クラス替えがないので、1年生から6年生までメンバーはほぼ変わらない環境だ。

卒業アルバムを開くと、そこには、ショートカットのボーイッシュな姿が映っている。

「今と一緒です(笑)」

「このまま。ずっとショートで、男の子っぽい。ボーイッシュな女の子として、そのまま大人になりました」

苗字が林だから、ハヤ、はーちゃん、と呼ばれていた。クラスでは、“いじられキャラ” として人気があった。

「わりと誰とでも仲がいい。誰とでもすぐ仲良くなれるタイプ。男の子とも、女の子とも、仲が良い子だったと思います」

小学校は制服だったから、毎日スカート。

諦め、あるいは慣れ、のような感覚で身につけていた。

兄と一緒に通っていたピアノ教室で、発表会が開催されたときのこと。

兄と同じ、白いシャツに短パンで臨んだところ、ピアノの先生からダメ出しをされてしまう。

それ以来、発表会はずっと制服のスカートで通した。

私服でスカートを選ぶことは、なかった。

そんな女の子だった。

グループ行動が嫌いだった

自分が女性だという認識は、ある。

「でも、100%社会が望んでいる女性像かというと、そんなことないと思ってます」

フリフリの服、フェミニンなファッションに身を包むのは、自分の趣味じゃない。

「なんて言うんでしょう、女の子らしく、とかってあまり好きじゃない。それは小さい時から変わらずに持っている気持ちです」

小学生のときに誰とでも仲良くできたのは、男の子、女の子という暗黙の壁を、身軽に乗り越えていたから、なのかもしれない。

「そのころからグループが嫌いでした。どこに所属することもなくて。特に女子はあるじゃないですか。グループが」

女子特有の、グループ行動。

それが苦手だった。

「だから、ふらふらしてました。こっちでは誰々ちゃんの悪口言ってる、あっちでは誰々ちゃん。わぁっ、て思って。聞かなかったふりしてましたね(笑)」

女子たちの裏表のある言動には、へきえきしたものだ。

「やっぱり嫌ですよね、隠れてコソコソっていうのは。今もそうです。あれは嫌ですね」

03仲良しの女の子が、気になる存在に

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初恋の相手は、女の子

初恋は、小学校中学年くらいだった。

「女の子を好きに、というか、気になるようになった。これって、恋かな。みんなが好きになるのは男の子だけど、自分は女の子なんや、と、うっすら思いました」

相手の子は、クラスのなかでも可愛らしいタイプ。

「天然ボケの子でした。頭はめっちゃいいけど、いじられキャラ。ずっと仲良くしていて、なんか好きだなって」

クラスメートたちが恋バナを始めたのも、この頃だった。

「『誰が好きなん?』って聞かれるようになったり。そのときは、クラスで一番、足の速い男の子の名前を言って、みんなと合わせておいた(笑)」

そうすればバレないと思った。

これは、みんなに言うことではない

バレたら、まずい。そういう思いがあった。

「本能的にわかる。女の子が好きって言ったらダメだなって。わかったんですよね」

かと言って、そのことを深刻に悩むことはなかった。

周りの多くの女子とは違い、私は女の子が好きだ。そのことを、淡々と受入れていた。

「別に気にしていなかったし、悩むとかもなかったけど、これはみんなに言うことではない、とは思いました。・・・・・・ひねた子で(笑)」

屈託のなさと、大人びた感情が、入り混じる。

中学生のときにも、好きになった女子はいたが、心に秘めた。

高校2年生のときに好きになった女子に告白するまで、このことを周りに言うことはなかった。

そのときまでは。

04私の中に潜む闇を、隠し続けて

部活動をしなかった、もう一つのわけ

小学校から大学まで、部活やサークル活動はしなかった。

ドッジボールが得意で、美術の授業が好きだったけど、運動部や文化部に属しての活動はしなかった。

グループが嫌いだったからだし、ひとり行動ができたから。

でも、それだけではなかった。

「そこに、私の闇が潜んでいるんですよ・・・・・・」

今まで、ごく親しい人たち、つきあった彼女たち以外には、あまり明かしてこなかったことがある。

「私、割と家庭環境がよくなくて。誰でも、何かしらあるとは思いますが」

幼稚園の頃、お母さんが倒れてしまった。不安神経症だった。

当時、30代だったお母さん。それまでのように外出することが難しくなり、自宅にいても、生きることがしんどうそうに見えた。

「私が5歳で、お兄ちゃんが6歳のとき。お母さんは、がんばり過ぎちゃうタイプみたいで。それがあって、おうちのお手伝いをすることになって」

この頃のことを思い出すと、辛い感情の記憶が蘇り、自然と涙がこぼれてしまう。

「当時のことを、あまり覚えていないんです。ただ、家にいると、負のオーラ、マイナスのオーラを感じていたような気がします」

やりたい部活もあったが、家の手伝いが優先されるので部活には入らなかった。

放課後、友だちの家に遊びに行くこともできなかった。

夕方5時までには帰宅し、買い物や料理を手伝う日々が続いた。

お兄ちゃんもお父さんも、家族みんなで、お母さんを支えていた。

楽天的な気持ちで乗り越えて

でも、それを暗い時代だったとは、絶対に思いたくない。

「割と早い段階で悟っていたかな。自分がスタンダードだなんて思ってないし、自分の家族だけが変だとか思ってない。そんなもんかなって」

学校でも明るく朗らかに、そしてひょうひょうとしていた。

お父さんとお母さんは離婚しているわけではないし、自分たち兄妹も元気にしている。

そう思えば、自分の身の上について、心の整理がつく。

「私たぶん、どっちかって言うと楽天的なんです。お父さん似(笑)」

ちなみに、顔立ちもお父さんによく似ている。

「あまり深くは考えずに、なんとかなるだろうって考える」

みんな、誰かしら、何かある。何かしらあるのだ。

でも、今までこの話を人にしてこなかったのには、わけがある。

「あんまり辛かった話をすると、なんでしょう、セクシャルマイノリティの子って、それが話の材料になってしまうじゃないですか」

家庭環境が、性指向と因果関係があるかのような文脈で語られてしまって、いいのか。

全然、関係ないのに。

だから、言わないできた。

「なんか同じ気がするんです。女の子が好きって言えなかったのと同じで、このことは言わないほうがいいって、本能的に思っていました」

05初告白と、LB高校生オフ会を招集!

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高校でできた彼女の存在

高校は、科目選択のできる自由な校風の公立高校に進学。
デッサンやデザイン、陶芸など美術系の科目を選択した。

「運動もできたし、勉強もできた、あ、自分で言っちゃった(笑)。そんななか何が好きかなと思ったときに、絵を描くことが一番好きだなと思って」

そして、高2のときのクラスメートに恋をして、告白。

「女の子が好きだと初めて人に言ったのは、その子に告白したとき。それが最初でした」

「友だちで仲良くて、なんとなくお互い好きなのがわかる。わかったんです、私」

告白は、初詣の帰りだった。

「京都の平安神宮から清水寺っていう、いつものルート」

でも、このときは断られてしまう。

「ダメって言われて、あれ?って思って。私はたぶん好き同士だと自覚していたのに(笑)」

諦めずにその後の2回目の告白で、OKの返事をもらう。

「好きやで。友だちとしてではなく、恋愛として好きやで」

「私、女の子やけど、って言いました。そのことに対して、彼女の驚きはなかったみたい。だから、ちゃんと考えてくれました」

LB高校生オフ会を招集!

彼女ができてから、高校生活はますます楽しくなった。

デートは、自転車に乗って近所の河川敷へ。

「私がボーイッシュだったので、どう見えてたでしょうね? わかる人にはわかる感じだったと思います」

女性が好きであるという自分。

でも、そのことを悩むことも、もうほとんどなかった。

「中学校くらいでうちに初めてパソコンが来て、インターネットで調べたんですよね。すると『あ、こんなにいるんや』と思って」

インターネットによって目の当たりにできたのは、自分と同じ性指向が否定されることもなく、きちんと肯定されている様子だった。

高3になると、ネットを介して積極的に人と会うようになる。

「ネットで知り合ったレズビアンやバイセクシュアル、トランスジェンダーの方と会ってました」

「どの掲示板を見ても『飲みましょう』って書いてあるけど、まだ18歳だから飲めない。そういう人も多いんじゃないかと思って『高校生オフ会』しませんか?って声をかけました」

初めて招集した高校生オフ会は、レズビアンとバイセクシュアルを中心に15人くらいがカラオケボックスに集合。

このときに出会った仲間には、今でも仲のいい友だちがいる。


<<<後編 2017/07/13/Thu>>>
INDEX

06 人と違う私って、スゴイ
07 SNSカミングアウト後の反響と解放感
08 家族にカミングアウトは、結果オーライ
09 「自分らしく、ありのままに」を実践する
10 自信喪失を乗り超えて、ドラマで再起動!

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